熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

中国経済のダイナミズムは何時まで

2007年06月17日 | 政治・経済・社会
   先日の日経の「中国経済シンポジウム」で面白かったのは、やはり、中国人のパネリストで、莫邦富氏の中国人経営者のハングリー精神論と中国経済バブルと人民元切り上げを懸念する関志雄氏の意見であった。

   莫氏は、
   日本人は、過去のケースや経験を引いて中国はこうだからこうなると言った予測を好んで行うが、中国は一つの国と言うよりはそれ自身で一つの世界であるから、そんな予測は当て嵌まらない。
   進んだ先進国のような地域もあれば、遅れた貧しい地方もあり、格差があり色々な要素が混在した国であるから、違った動きをするのだと言うのである。

   最近、現在オイルマネーの恩恵を受けて急速に成長しているドバイに行った時、そこの見本市にやって来て、熱心に商談を進めている中国の自動車会社があった話をした。
   莫氏自身も知らない中小の自動車会社であるが、持ち込んだ4台の車だけでも売れればよいと思って売り込んでいたら100台も売れたと言う。
   品質など保証の限りではないが、買う方のアラブの商人も、どうせ、砂嵐ですぐに痛んで使えなくなるのだから安い方が良いのだと言って買うと言う。
   このような中国の会社が、後から後から世界の市場に繰り出して失敗しても失敗しても人海戦術で、海外の市場に売り込み続けていると言うのである。

   このような中国地場の中小自動車会社であっても、5万台の売上しかなくても15万台規模の工場を平気で建設する。
   欧米や日本の自動車会社と競争できる技術があるわけでもないのに、独立独歩で経営し、合弁の道も求めない。
   元々政府から保護もエサも与えられたことなどないので、短期的に競争に負けるのなど少しも怖くないし、むしろ、トラが出てくる市場ほど、飢えたオオカミが出るチャンスがあるのだと言う。
   正に、ハングリー精神の権化であり、合弁にあぐらをかいているひ弱なトラの方が今に太刀打ち出来なくなろう、と莫氏は言う。

   莫氏の最新刊「中国は敵か、味方か」という新書を並行読みすると結構面白いが、この方は多少、中国と日本の架け橋となろうといった優等生的な叙述となっている。
   何故か、ナショナルジオグラフィック6月号が、一寸異質な記事「中国の即席都市 ”勝ち組”の肖像」を掲載しており、地方都市が急速に開発されてゆく狂騒曲を、ブラジャー部品の製造でのし上がって行く起業家を追いながら凄まじい中国の変貌振りを伝えている。
   莫氏の言うハングリー精神が、如何に中国人の起業家意識を刺激して現在の中国の経済社会を動かしているかが良く分かる。

   中国人の株ブームについては、中国人は、暴落の恐ろしさを未経験で知らないので、自分だけは逃げられると思っており、一度痛い目に遭わなければ分からないであろうと言う。

   野村の関氏は、現在の中国は生産性が低いので元が今日のような水準にあるのであって、中国の生産性がアップして本当に国際競争力が付けば必然的に元も上がって行く。これは日本の過去を考えればよく、日本の国際競争力が付いた時に一挙に円が上昇したのであって、これと同じ経路を辿る筈だと言う。
   株価の上昇については、経済成長、元切り上げ圧力をかわすための外為市場への介入による過剰流動性、2008年度から企業所得税率が33%から25%へダウン、非流通株対策の進展などの要因によって上がっており、株価の暴落はあり得るし、中国経済についても、オーバーヒート気味なので、バブル調整による景気後退はあると予測している。
   過ぎたるは及ばざるが如しで、経済性成長が度を越すと元の切り上げなど外圧が入るので、程ほどの成長が望ましいとも言う。
   
   日本の戦後も凄かったと思うが、経済社会の変化に加速度が付き過ぎた今日、中国の凄まじい変化は、普通の頭と神経では理解出来ないのかもしれない。

   
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