
C&Cユーザーフォーラムで、シャープ町田勝彦社長の講演「シャープのオンリーワン経営」を聴講した。
多少ニュアンスは違うが、キヤノンの御手洗冨士夫社長の経営哲学と同じ日本の経営に対する確乎たる信頼と日本の歴史と伝統が育む文化力に対する確信に満ちた戦略経営について熱っぽく語った。
シャープは、社名にもなったシャープペンシルやベルトのバックルを創作した早川徳次氏が創業した技術オリエンテッドな会社で、今や液晶テレビAQUOSで市場NO.1の優良企業。町田社長は、付加価値の付いた亀山ブランドの大型液晶テレビの創出等オンリーワン経営戦略について、その経営哲学を交えて講演したのである。
社長に就任したのは、1998年で日本経済最悪の時期だったが、最大の試練は、「選択と集中」戦略で、コア事業として、液晶を取るかICを取るかの決断であったと言う。
当時、IC部門に会社の比重がかかっていて優秀な社員も多くそれなりの成績を上げていたが、液晶部門は、設備投資の40%以上を占めながら全社の赤字の48%を出すなどお荷物ではあったが、将来を見越して液晶に集中することに決めたと言う。
最大の問題は、優秀な社員のモチベーションを落とさないこと。ICについて生産は止めるが、内需に貢献するオンリーワン商品のキーデバイスの開発に注力することにして士気を維持した。
オンリーワン戦略を支える「和の経営」について、真っ先に語ったのは、「本業重視と選択と集中による効率経営」であった。
先の決断に基づいて、液晶事業に経営資源をシフトしてIC部門への投資を抑えて安定した収益を確保できる体制作りに注力した。
この点は、アベグレンが、日本の電機会社が集中と選択の戦略を取らずに何でも手がける総合電機を目指して業績の悪化を招いたとして批判しているが、シャープは、パソコン事業を捨てたキヤノンと同じ様に勝ち目のない事業を捨てて液晶に集中したのである。
また、ブランド力がなくて販売店で涙を呑んだのでブランドイメージを上げる為に苦労したと言うが、今、吉永小百合のAQUOSで生きている。
次に意を用いたのは「夢の共有」。
1人たりとも無駄働きをさせられないので、全社員のベクトルを合わせビジョンを共有することが大切だと感じて、「2005年までに、カラーテレビは、ブラウン管から液晶に置き換える」と宣言した。
液晶テレビの商品化については、パネルの大型化、視野角、応答速度、等々問題があったが、一丸となった技術のブレイクスルーは凄い物で、瞬く間に解決し、液晶パネルと独自デバイスの融合によって差別化した今日の高度な大型液晶テレビが生まれたと言う。
更に重要なのは、「垂直統合と技術の融合を支えた緊急プロジェクト制度」。
社長が新製品を企画すると、社長直属の特別プロジェクトが立ち上がり、各事業部門から優秀な社員が集まり新製品の開発に挑戦すると言う。
カルロス・ゴーンのプロジェクトにも相通ずる「事業部門の壁を乗り越えた人材」の結集とその総合力の発露によるブレイクスルーである。
非常に重要なもう一つの戦略は、「日本でのものづくりにこだわる」と言うこと。
一時期、日本の製造業が海外にシフトして空洞化したことがあったが、日本の生産技術の停滞と流出、中国等の台頭に脅威を感じて、製造業の国内回帰を図り「日本でモノづくりを極めたい」と考えた。
液晶パネルは、自動車や複写機の様に、中国等で製造可能な組み合わせ(モジュラー)製品ではない摺り合わせ(インテグラル)製品なので、日本人の得意な分野であり差別化してオンリーワンの時期を長引かせられると言う。
「和の経営」については、ドラッカーの「日本の家族主義的な経営」を引用して、日本の強さである「和」の力を存分に利用・活用した経営の重要さについて語った。
「人を大切にする経営」であるべきで、技術やノーハウは属人的なものであるので終身雇用制度は重要であり、リストラは、もっての外。この日本的な良さと成果主義と実力主義とのバランスが大切である。
「多能さ」の育成も重要で、I型人間ではなく、巾のあるT型人間の育成が要請されている。
人材は石垣のようなもので在るべきで、多種多様な石が積まれている故に石垣は堅固なのである、とも言う。
日本と日本人を信じて日本でモノづくりを極める、それが町田社長の経営哲学であり、世界一の技術で、世界一の液晶パネル工場で、世界一の液晶テレビを製造する、そこで生まれた亀山ブランドが世界を制覇しようとしている。
多少ニュアンスは違うが、キヤノンの御手洗冨士夫社長の経営哲学と同じ日本の経営に対する確乎たる信頼と日本の歴史と伝統が育む文化力に対する確信に満ちた戦略経営について熱っぽく語った。
シャープは、社名にもなったシャープペンシルやベルトのバックルを創作した早川徳次氏が創業した技術オリエンテッドな会社で、今や液晶テレビAQUOSで市場NO.1の優良企業。町田社長は、付加価値の付いた亀山ブランドの大型液晶テレビの創出等オンリーワン経営戦略について、その経営哲学を交えて講演したのである。
社長に就任したのは、1998年で日本経済最悪の時期だったが、最大の試練は、「選択と集中」戦略で、コア事業として、液晶を取るかICを取るかの決断であったと言う。
当時、IC部門に会社の比重がかかっていて優秀な社員も多くそれなりの成績を上げていたが、液晶部門は、設備投資の40%以上を占めながら全社の赤字の48%を出すなどお荷物ではあったが、将来を見越して液晶に集中することに決めたと言う。
最大の問題は、優秀な社員のモチベーションを落とさないこと。ICについて生産は止めるが、内需に貢献するオンリーワン商品のキーデバイスの開発に注力することにして士気を維持した。
オンリーワン戦略を支える「和の経営」について、真っ先に語ったのは、「本業重視と選択と集中による効率経営」であった。
先の決断に基づいて、液晶事業に経営資源をシフトしてIC部門への投資を抑えて安定した収益を確保できる体制作りに注力した。
この点は、アベグレンが、日本の電機会社が集中と選択の戦略を取らずに何でも手がける総合電機を目指して業績の悪化を招いたとして批判しているが、シャープは、パソコン事業を捨てたキヤノンと同じ様に勝ち目のない事業を捨てて液晶に集中したのである。
また、ブランド力がなくて販売店で涙を呑んだのでブランドイメージを上げる為に苦労したと言うが、今、吉永小百合のAQUOSで生きている。
次に意を用いたのは「夢の共有」。
1人たりとも無駄働きをさせられないので、全社員のベクトルを合わせビジョンを共有することが大切だと感じて、「2005年までに、カラーテレビは、ブラウン管から液晶に置き換える」と宣言した。
液晶テレビの商品化については、パネルの大型化、視野角、応答速度、等々問題があったが、一丸となった技術のブレイクスルーは凄い物で、瞬く間に解決し、液晶パネルと独自デバイスの融合によって差別化した今日の高度な大型液晶テレビが生まれたと言う。
更に重要なのは、「垂直統合と技術の融合を支えた緊急プロジェクト制度」。
社長が新製品を企画すると、社長直属の特別プロジェクトが立ち上がり、各事業部門から優秀な社員が集まり新製品の開発に挑戦すると言う。
カルロス・ゴーンのプロジェクトにも相通ずる「事業部門の壁を乗り越えた人材」の結集とその総合力の発露によるブレイクスルーである。
非常に重要なもう一つの戦略は、「日本でのものづくりにこだわる」と言うこと。
一時期、日本の製造業が海外にシフトして空洞化したことがあったが、日本の生産技術の停滞と流出、中国等の台頭に脅威を感じて、製造業の国内回帰を図り「日本でモノづくりを極めたい」と考えた。
液晶パネルは、自動車や複写機の様に、中国等で製造可能な組み合わせ(モジュラー)製品ではない摺り合わせ(インテグラル)製品なので、日本人の得意な分野であり差別化してオンリーワンの時期を長引かせられると言う。
「和の経営」については、ドラッカーの「日本の家族主義的な経営」を引用して、日本の強さである「和」の力を存分に利用・活用した経営の重要さについて語った。
「人を大切にする経営」であるべきで、技術やノーハウは属人的なものであるので終身雇用制度は重要であり、リストラは、もっての外。この日本的な良さと成果主義と実力主義とのバランスが大切である。
「多能さ」の育成も重要で、I型人間ではなく、巾のあるT型人間の育成が要請されている。
人材は石垣のようなもので在るべきで、多種多様な石が積まれている故に石垣は堅固なのである、とも言う。
日本と日本人を信じて日本でモノづくりを極める、それが町田社長の経営哲学であり、世界一の技術で、世界一の液晶パネル工場で、世界一の液晶テレビを製造する、そこで生まれた亀山ブランドが世界を制覇しようとしている。