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1月5日、鎌倉芸術館で、能楽協会・鎌倉能舞台主催「日本全国 能楽キャラバン!in神奈川」が開催された。
演目は、講演「父子の愛-石橋山のドラマ」葛西聖司
狂言「文蔵(ぶんぞう)」野村萬斎
能「七騎落(しちきおち)」観世喜正
NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の先触れのような公演である。
コロナ前には、毎月通っていた国立能楽堂へは、ほぼ2年、ご無沙汰しているのだが、まず、地元鎌倉で、格好の能狂言が演じられるので、出かけた。
一般的な小劇場に、能舞台を設えているので、柱がなくて橋掛かりが短く、見所はすべて正面席で、やや舞台を高みから見下ろす形になるなど、能楽堂とは、雰囲気が随分違うが、かなり、能狂言の鑑賞には良くできていた。
狂言「文蔵」は、3年前に、京都茂山家の大蔵流の舞台を見ている。
主(茂山千三郎)の許しも得ずに、都見物に出かけた太郎冠者(茂山あきら)が、主の叔父の家で頂いた御馳走の名前を思い出せなくて、主のいつも読む草紙に出てくる名前だと言って、主に、源平盛衰記の石橋山合戦を語らせて、文蔵と言う名を聞いて、温糟粥(うんぞうがゆ)の名を思い出すと言う話である。
この狂言の重要なポイントは、「語り」が大変重要な芸で、主は、葛桶に腰を掛けて、石橋山合戦の様子や情景を派手な身振りを交えて、息の流れを生かして緩急を付けながら、迫力満点に語り続ける。
主萬斎の素晴らしい語りと惚けた調子の石田幸雄の太郎冠者の相性が良く、楽しい舞台であった。
石橋山合戦とは、何の関係もないのを、一くさり仕方話で語らせて、狂言師の巧みな芸を披露させるという名曲だが、
「それはうんぞう、これは文蔵、よしない物を食らうて主に骨を折らせた。しさりおれ」と𠮟り飛ばして幕。
能「七騎落」は、石橋山の敗戦の後日譚で、
源頼朝(中森建之介)が石橋山の合戦で敗れ、安房上総へ落ち延びるにあたり、船中には8騎が居て8は縁起が悪いから1人船から降ろせと命じる。諍いののち、土肥実平(観世善正)が、泣く泣く我が子遠平(富阪耀)を船より降ろす。遠平は討死の筈だったが、頼朝側に寝返った和田義盛(舘田善博)に助けられ、送り届けられて、親子涙の対面を果たす。
上演が少なくて、それほどポピュラーでもないのか、岩波講座や角川の「能を読む」など私の持っている参考文献には記述がないので、インターネットの断片情報で繋ぐ以外に情報源はない。
ただ、難しい謡は少なくて詞章は口語口調の対話方式が主体であり、中森貫太師が考案した字幕スクリーンが役に立って、非常に分かりやすくて十分に楽しむことができた。世阿弥の能のように無限能ではなく、いわば、時代劇のワンシーンを切り取ったような芝居なので、全員、直面である。
この能の見どころは、親子の対面がなって感動したシテ実平が舞うラストシーンの男舞である。 男舞は「安宅」などでも楽しめる、亡霊ではない現実の男の舞う舞で、笛・小鼓・大鼓によって勇壮に囃されるテンポの速い舞で、善正の端正で格調高い舞いが感動的であった。
萬斎の長男野村裕基が、アイ船頭で、清新な芸を披露していた。
演目は、講演「父子の愛-石橋山のドラマ」葛西聖司
狂言「文蔵(ぶんぞう)」野村萬斎
能「七騎落(しちきおち)」観世喜正
NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の先触れのような公演である。
コロナ前には、毎月通っていた国立能楽堂へは、ほぼ2年、ご無沙汰しているのだが、まず、地元鎌倉で、格好の能狂言が演じられるので、出かけた。
一般的な小劇場に、能舞台を設えているので、柱がなくて橋掛かりが短く、見所はすべて正面席で、やや舞台を高みから見下ろす形になるなど、能楽堂とは、雰囲気が随分違うが、かなり、能狂言の鑑賞には良くできていた。
狂言「文蔵」は、3年前に、京都茂山家の大蔵流の舞台を見ている。
主(茂山千三郎)の許しも得ずに、都見物に出かけた太郎冠者(茂山あきら)が、主の叔父の家で頂いた御馳走の名前を思い出せなくて、主のいつも読む草紙に出てくる名前だと言って、主に、源平盛衰記の石橋山合戦を語らせて、文蔵と言う名を聞いて、温糟粥(うんぞうがゆ)の名を思い出すと言う話である。
この狂言の重要なポイントは、「語り」が大変重要な芸で、主は、葛桶に腰を掛けて、石橋山合戦の様子や情景を派手な身振りを交えて、息の流れを生かして緩急を付けながら、迫力満点に語り続ける。
主萬斎の素晴らしい語りと惚けた調子の石田幸雄の太郎冠者の相性が良く、楽しい舞台であった。
石橋山合戦とは、何の関係もないのを、一くさり仕方話で語らせて、狂言師の巧みな芸を披露させるという名曲だが、
「それはうんぞう、これは文蔵、よしない物を食らうて主に骨を折らせた。しさりおれ」と𠮟り飛ばして幕。
能「七騎落」は、石橋山の敗戦の後日譚で、
源頼朝(中森建之介)が石橋山の合戦で敗れ、安房上総へ落ち延びるにあたり、船中には8騎が居て8は縁起が悪いから1人船から降ろせと命じる。諍いののち、土肥実平(観世善正)が、泣く泣く我が子遠平(富阪耀)を船より降ろす。遠平は討死の筈だったが、頼朝側に寝返った和田義盛(舘田善博)に助けられ、送り届けられて、親子涙の対面を果たす。
上演が少なくて、それほどポピュラーでもないのか、岩波講座や角川の「能を読む」など私の持っている参考文献には記述がないので、インターネットの断片情報で繋ぐ以外に情報源はない。
ただ、難しい謡は少なくて詞章は口語口調の対話方式が主体であり、中森貫太師が考案した字幕スクリーンが役に立って、非常に分かりやすくて十分に楽しむことができた。世阿弥の能のように無限能ではなく、いわば、時代劇のワンシーンを切り取ったような芝居なので、全員、直面である。
この能の見どころは、親子の対面がなって感動したシテ実平が舞うラストシーンの男舞である。 男舞は「安宅」などでも楽しめる、亡霊ではない現実の男の舞う舞で、笛・小鼓・大鼓によって勇壮に囃されるテンポの速い舞で、善正の端正で格調高い舞いが感動的であった。
萬斎の長男野村裕基が、アイ船頭で、清新な芸を披露していた。