熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

MITスーザン・ホックフィールド学長の嘆き・・・もう一つの高等教育の課題

2005年04月23日 | 政治・経済・社会
   英国ファイナンシャル・タイムズ紙が、MIT初めての女性学長ホックフィールド氏に、インタビューし、興味深い記事を載せていた。「米国は、数学や科学で凋落し、テクノロジー面での活力が落ちており、基礎研究に対する支出の減少を食い止めないと大変なことになる。ワシントンに出かけて、科学ファンドの増額を要求するのだ。」と言う。
   2002年以降、米国の非軍事R&Dに対する連邦政府支出が毎年減少しており、その中でも、基礎研究、長期間に亘って商業的価値を産まない最先端リサーチに対する連邦支出の減少は特に顕著である。最も価値のあるリサーチへの資金を求めて四苦八苦している教授を見たり、科学軽視の風潮が強まると、将来の待遇を悲観して、数多の優秀なタレントがテクノロジー分野に向かわなくなる。
   最近、科学分野での米国の学者の受賞率や学術論文の掲載件数が減ってきており、物理学やエンジニアリング部門を専攻する学生数が徐々に減少している模様で、この分野での優秀な人材こそ経済に活を与え得るのであって、これは大変危険な兆候だと言う。ホックフィールド学長は、自分は、Sputnikの陰で育った世代で、あの頃は、数学や科学やエンジニアリングに没頭することが素晴らしいことだと誰もが思っていた、と言う。
   もう一つの重要なコメントは、外国人の学問分野での貢献。
MITの11人のノーベル賞学者の3分の1以上、そして、エンジニアリング分野の学者の大半は外国人である。ところが、入国ビザ取得が難しくなり国内教育重視の傾向の結果、MITへの外国からの申請者が減少し、2002年以降、50%を割った。アメリカの驚異的な活力の源泉は、外国からの優秀な人材を無尽蔵に吸収してきた胃袋の大きさだったのである。

   この記事、極めて示唆に富んでいるが、日本の場合はどうであろうか。東大生が、中学程度の数学でも70%程度しか正解を得られないと言うショックな番組をある民放で放映していたが、公文だけが気を吐いている様子では、理・科学、工学教育の現状は、お寒い限りなのではなかろうか。
一方、このバブル経済の崩壊とその後の経済不況の結果、国家も企業も国民も、目先不要不急の支出を切り、大切なものへの投資や支出を切り詰めてきた。大切なものを見失って来たかも知れない。
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