
日本ICT産業のガラパゴス化については、衆知のトピックスではあるが、今度の日経主催、総務省後援のICT JAPAN 2007「ICT国際競争力強化に向けて」でも、重要な論点になり、議論が交わされた。
パネル討論で、一橋大伊丹啓之教授などは、日本のICTの国際競争力のなさは世界7不思議の一つだと言いながら、
豊かな国内市場で、小さな差別化指向の類似の開発に多くの企業が犇き合って競争している産業構造に問題があって、早急に統合、合併、事業移管等抜本的対策を取らない限り明日はない。
その再編も、待ったなしで、民間企業に任せてはダメで、企業がつぶれるくらいに日本政府が強力なイニシャティブを執って実施しなければならない。と言う。
ガラパゴス化について、野村総研村上輝康理事長は、更に、キャリア主導、モジュール化、ハイエンド指向、等の要因についても語っていた。
要するに、NTT主導で出来上がった国際標準のGSMではない国内需要を満たす為のみの市場で、それも、それなりに利益があがるぬくぬくとした国内市場での出入り業者による金魚鉢の中での競争に明け暮れている訳だから、日本企業の対応は、グローバル市場の趨勢から大きく逸脱している。
アプリックス郡山龍社長によると、日本の携帯電話は多品種少量生産。1機種4~50万台が精々であるが、グローバル市場でのノキア、サムソン、モトローラなどは、何千万から億の単位で生産しており、とにかく数量が問題で、安くてコスト競争力は足元にも及ばない。日本業者が挙って、ケイタイ「日本丸」を立ち上げて競争しないとダメで、早晩、安い外国製品が並行輸入で入ってきても不思議ではない。
大量生産方式の生産はメーカーに任せて徹底的にコストを下げて、必要な仕様変更コストは、キャリヤーが持つべきだ、と言う。
伊丹教授は、日本のICTが弱いのは、日本語のハンディが大きいと言いながら、結局、バブル崩壊時に、そしてその後も、企業が十分に投資資金を投入出来なかったことで、これに、生産規模の小さい多数の弱小企業の存在が経営資源の分散を招いて大量生産を阻害したことが最大の問題だと言う。
したがって、郡山社長が、大量生産によって良質な製品を安く生産するという真っ当な製造戦略の基本に立ち戻るべきで、GPS方式が悪いとか販売奨励金が悪いと言った末梢的な話ではないと論じたのに対して、
伊丹教授は、賛成だと言って、トヨタが世界に冠たるのは、大量生産故であって、その結果、プリウスやレクサスが生み出されたのであり、村上氏の言う産業のエコシステムや高品質差別化の問題ではないとコメントしていた。
しかし、日本のモバイル生産は10億台以上の市場の0.45億で占拠率はたったの5%に過ぎないのに、アプリックスの売上の大部分は海外であり、日本のパーツメーカーの売上は世界の30%に達して過半を押さえているメーカーも少なくないと言う。
結局、世界標準を目指した大量生産方式で、グローバル市場で戦えるような産業構造を構築しない限り、
デジタル時代となってモジュール化が極端に進行し瞬時にコモデティ化するようなハイテク市場では、抜群のコスト競争力をつけない限り生きて行けないと言うことである。
アベグレンが、あれほど集中と選択と言っていたのに、バブル崩壊時にはソニーや松下を筆頭に存亡の危機に直面していたにも拘わらず、日本の電機・電器メーカーは依然として何でも屋の総合家電メーカーであり、携帯電話に10社も犇き合って同じ様なものばかり造っている。
総務省の中田睦政策統括官が、問題の一つは、電電公社の崩壊によって基礎的研究開発に齟齬を来たし、この肩代わりを国がやれなかったことだと言ったことに対し、潰したのは総務省ではないかと、司会の日経関口和一論説委員が追い討ちをかけていた。
このパネル討論の前に、国連のITU(国際電気通信連合)前事務総局長であった内海善雄早大客員教授が、基調講演「日本企業への期待と提言」で日本のICT企業を語り、次のように指摘していた。
(何故売れる商品を売らないのか?)と問うて、
・海外で売る意思がない
・売れる商品を生産する体制が取りにくい(技術開発投資)
・総花方式で、力が分散(得意分野への特化)
・リスクを取らない横並び主義の蔓延(国内キャリァからの独立)
(現状打破の提言)
・先が読め、リスクが取れる経営者を頂く
・政府は、リスクを取る企業には、個別企業でも支援(標準化活動支援)
・外人活用(国際的な人的交流、国際で活躍できる人材に投資)
最後に注意すべきこととして、
・誰もリスクを取らないもたれ合いの所謂オールジャパン体制
・欧米から反発されブロックされるので日本発の技術を世界標準化すると言う発想、を避けることが望ましいと話を締め括った。
このフォーラムは、日本がデジタルICT産業で最も遅れていると言われているソフトウエア分野には踏み込まなかったが、ハードウエア分野だけでも、これ程までにグローバル市場からの乖離があるのであるから、ものづくり立国ジャパンのの前途も多難である。
ある意味では、第二の大量生産方式経済社会に回帰しつつある製造業での企業戦略の見直しが求められていると言えようか。
パネル討論で、一橋大伊丹啓之教授などは、日本のICTの国際競争力のなさは世界7不思議の一つだと言いながら、
豊かな国内市場で、小さな差別化指向の類似の開発に多くの企業が犇き合って競争している産業構造に問題があって、早急に統合、合併、事業移管等抜本的対策を取らない限り明日はない。
その再編も、待ったなしで、民間企業に任せてはダメで、企業がつぶれるくらいに日本政府が強力なイニシャティブを執って実施しなければならない。と言う。
ガラパゴス化について、野村総研村上輝康理事長は、更に、キャリア主導、モジュール化、ハイエンド指向、等の要因についても語っていた。
要するに、NTT主導で出来上がった国際標準のGSMではない国内需要を満たす為のみの市場で、それも、それなりに利益があがるぬくぬくとした国内市場での出入り業者による金魚鉢の中での競争に明け暮れている訳だから、日本企業の対応は、グローバル市場の趨勢から大きく逸脱している。
アプリックス郡山龍社長によると、日本の携帯電話は多品種少量生産。1機種4~50万台が精々であるが、グローバル市場でのノキア、サムソン、モトローラなどは、何千万から億の単位で生産しており、とにかく数量が問題で、安くてコスト競争力は足元にも及ばない。日本業者が挙って、ケイタイ「日本丸」を立ち上げて競争しないとダメで、早晩、安い外国製品が並行輸入で入ってきても不思議ではない。
大量生産方式の生産はメーカーに任せて徹底的にコストを下げて、必要な仕様変更コストは、キャリヤーが持つべきだ、と言う。
伊丹教授は、日本のICTが弱いのは、日本語のハンディが大きいと言いながら、結局、バブル崩壊時に、そしてその後も、企業が十分に投資資金を投入出来なかったことで、これに、生産規模の小さい多数の弱小企業の存在が経営資源の分散を招いて大量生産を阻害したことが最大の問題だと言う。
したがって、郡山社長が、大量生産によって良質な製品を安く生産するという真っ当な製造戦略の基本に立ち戻るべきで、GPS方式が悪いとか販売奨励金が悪いと言った末梢的な話ではないと論じたのに対して、
伊丹教授は、賛成だと言って、トヨタが世界に冠たるのは、大量生産故であって、その結果、プリウスやレクサスが生み出されたのであり、村上氏の言う産業のエコシステムや高品質差別化の問題ではないとコメントしていた。
しかし、日本のモバイル生産は10億台以上の市場の0.45億で占拠率はたったの5%に過ぎないのに、アプリックスの売上の大部分は海外であり、日本のパーツメーカーの売上は世界の30%に達して過半を押さえているメーカーも少なくないと言う。
結局、世界標準を目指した大量生産方式で、グローバル市場で戦えるような産業構造を構築しない限り、
デジタル時代となってモジュール化が極端に進行し瞬時にコモデティ化するようなハイテク市場では、抜群のコスト競争力をつけない限り生きて行けないと言うことである。
アベグレンが、あれほど集中と選択と言っていたのに、バブル崩壊時にはソニーや松下を筆頭に存亡の危機に直面していたにも拘わらず、日本の電機・電器メーカーは依然として何でも屋の総合家電メーカーであり、携帯電話に10社も犇き合って同じ様なものばかり造っている。
総務省の中田睦政策統括官が、問題の一つは、電電公社の崩壊によって基礎的研究開発に齟齬を来たし、この肩代わりを国がやれなかったことだと言ったことに対し、潰したのは総務省ではないかと、司会の日経関口和一論説委員が追い討ちをかけていた。
このパネル討論の前に、国連のITU(国際電気通信連合)前事務総局長であった内海善雄早大客員教授が、基調講演「日本企業への期待と提言」で日本のICT企業を語り、次のように指摘していた。
(何故売れる商品を売らないのか?)と問うて、
・海外で売る意思がない
・売れる商品を生産する体制が取りにくい(技術開発投資)
・総花方式で、力が分散(得意分野への特化)
・リスクを取らない横並び主義の蔓延(国内キャリァからの独立)
(現状打破の提言)
・先が読め、リスクが取れる経営者を頂く
・政府は、リスクを取る企業には、個別企業でも支援(標準化活動支援)
・外人活用(国際的な人的交流、国際で活躍できる人材に投資)
最後に注意すべきこととして、
・誰もリスクを取らないもたれ合いの所謂オールジャパン体制
・欧米から反発されブロックされるので日本発の技術を世界標準化すると言う発想、を避けることが望ましいと話を締め括った。
このフォーラムは、日本がデジタルICT産業で最も遅れていると言われているソフトウエア分野には踏み込まなかったが、ハードウエア分野だけでも、これ程までにグローバル市場からの乖離があるのであるから、ものづくり立国ジャパンのの前途も多難である。
ある意味では、第二の大量生産方式経済社会に回帰しつつある製造業での企業戦略の見直しが求められていると言えようか。