熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

「科学技術と産業」国際シンポジューム・・・科学技術の光と影

2005年09月15日 | 政治・経済・社会
   昨日、東京全日空ホテルで、ジェトロと日本学術会議主催で、「科学技術と産業」国際シンポジューム2005が開催されたので聴講した。
   その前日まで世界の学者や閣僚等多数が参加し、京都で開催されていた「STS(Scinence and Technology in Society)フォーラム第2回年次総会の後を受けて開催されたもので、STSフォーラムでは、皇太子殿下のご挨拶や小泉首相の基調講演が行われた。

   皇太子殿下は、科学や技術の成果が、人々総てに公平に配分されているのかどうか、科学や技術が自然と調和できるのかどうか、科学や技術が無限の可能性を持っていると言う理由だけで開発されることが許されるのかどうか、科学・技術の急速な進歩に鑑みながら問題提起をされている。
   一方、小泉首相は、科学・技術の光と影に言及しながら、環境保護と経済発展は両立出来ると言い切っている。

   今回の両会議とも、科学技術の進歩については、影を克服して光を見出そうと言う空気が強かったようである。
   今回のフォーラムは、エネルギー、生命科学、情報通信の3分科会に分かれて行われた。
   私が興味を持ったのは、日本、ケニア、南ア、インド、米国の学者で構成されていた「生命科学」分科会で、「食料の安全性と国際保険への展開」と言うテーマで議論されたが、参加者全員が、「遺伝子組み換え」の農産物に賛成したと言うことである。
   ヨーロッパの学者が参加しておれば、恐らく、反対したであろう。先進国も開発途上国も、貧困の撲滅へのGM食品への期待とバイオテクノジーの発展による健康への期待は限りなく大きい。
   自然に帰れ、と言うシュプレッヒ・コールは、この分野で一番高いはずだが、2050年には、世界の人口が90億人に達すると言う。
   人類が、総て等しく食べて生きてゆく為には、遺伝子組み換えでも何でも、とにかく、食料を増産せざるを得ない、人類は悲しい運命にある。
   いつまで経っても、人類はマルサスの呪縛から抜けられない。

   エネルギーについては、石油高騰や環境破壊など議論された。
   しかし、ケニアのDr.フローレンス・ワンブグ女史は、「アフリカでは、エネルギーと言えば、マキのことなのだ、木を切り倒して森林を後退させ環境破壊し、更に貧困を促進している」と言う。
   インドのガヴァードハム・メータ教授は、基調講演で、「携帯電話を持つ人々と同じ数の人が、この世界で貧困に喘いでいるのだ」と言う。
   開発途上国の人々は、時には限りなく科学と技術の進歩に期待を持つ。貧困に喘ぐ苦しい生活を脱して、起死回生への一足飛びの進歩の為には、科学・技術に夢を託す以外にないのかも知れない。
   一方、先進国では、自分達だけの1人善がりの科学・技術の開発に現を抜かしていると言うのに。

   IT関連情報通信関係の話だが、面白かった。議論されなかったが、私の関心事は、インターネットが、民主主義にとって良いことなのかどうかである。
   インターネットは、瞬時に国民の民意を表現できる。
   間接民主主義であったのが、ある意味で、インターネットのお陰で、国民投票など行えば、直接民主主義に転換してしまう。
   これについては、また項を改めたい。
   

   

   
   
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