
丁度、歌舞伎の「籠釣瓶花街酔醒」を観た時に、「壊れ窓理論の経営学」を読んでいて、第一印象が肝心だと言うことが頭に残っていたので、一目惚れで八ッ橋に恋に落ちた佐野次郎左衛門のことが妙に印象に残ってしまった。
一目ぼれを、直覚の愛と言うらしいが、とにかく、この病に取り付かれると、次郎左衛門のように身上を投げ出して破滅を招いてしまう程強烈なこともある。
それだけ、第一印象と言うのは人々に強いインパクトを与えるもので、後で考えると、何故あの時にあんなことを思ってしまったのかと反省することもあるが、兎に角、第一印象と言うものは非常に危険な魔物でもある。
ところで、マイケル・レヴィンの「壊れ窓理論の経営学」であるが、多くの有名企業の例を引いて、色々な角度から企業のほんの些細な欠陥・壊れ窓から会社が崩壊して行く過程を経営学の視点から克明に分析している。
逆に考えれば、壊れ窓を生じさせない経営に徹すれば、競争会社に勝てる戦略を打てるということになり、経営戦略論のテキストともなっていて面白い。
ところで、レヴィンは、この顧客の「第一印象」が如何に重要であるかを、”商品に差がない場合の戦略”と言う章で書いている。
ペプシ派とコカ・コーラ派、クリスピー・クリーム派とダンキンドーナツ派、等を例に引いて、徹底した販売戦略が巧を奏して強烈なブランドイメージを顧客に植えつけてロイヤリティを確立して、何故、客が他に移らないかを問題にしている。
最近、極端に言えば、薄型TVにしろ、自動車にしろ、言い方は悪いが、何処の製品を買っても殆ど性能に関係なく、所謂、コモデティ化していると考えられるが、客によってはSONYに拘り、ベンツに拘る特別な消費者の心理が分かるような気がする。
製品やサービスに差がないならば、消費者は既に確立した購買習慣を変えない。
何故なら、自分の選んだブランドの方が優れていると信じている。
そう信じることによって、そのブランドを選んだ自分を正当化し、ファンであることを認定しているのだ、とレヴィンは言う。
ところで、この強烈なブランド・イメージを消費者に与えるのは、第一印象、たった一度しかない、第一印象である。
これは極めて早い時期――公告や評判、店舗での経験、会社が提供するサービスの利用などを通じ、消費者と企業が始めて接触した時――に決まる。
第一印象を与える要素は多々あるが、最も重要なのは、顧客の目に触れる店舗設備と実際に対応する店員が決め手となる。
競合他社の熱心な顧客が来ても、他社と同水準のサービスでは駄目で、差別化したより良い体験を提供しない限り、他社への強烈な忠誠心は切り崩せない、と言うのである。
コモデティ化して殆ど商品に差のない場合の戦略は、有効かつ適切な販売戦略を打てるかどうか、この一点に尽きる。
そして、製品の質の確かさは当然だが、購買後の顧客を裏切らないような十分なアフターサービス体制の確立である。
何処で顧客が悪い印象を持って脱落して行くか知れないからで、如何なることがあっても壊れ窓を作ってはならないのである。
レヴィンが、あのマリリン・モンローの夫君ジョー・ディマジオの感動的な逸話を書いている。
ディマジオは、いつでも力の限り最高のプレーをした。
何故なら、スタンドには彼のプレーをはじめて観る客がいるに違いなく、その客に「私のベストを奉げる」義務があるからだ、と言った。
どんな時でもベストを尽くすことに激しい執念を燃やしたディマジオには、壊れ窓などなかった。
56試合連続安打の偉業は、あの天才イチローもまだ達成していない。
一目ぼれを、直覚の愛と言うらしいが、とにかく、この病に取り付かれると、次郎左衛門のように身上を投げ出して破滅を招いてしまう程強烈なこともある。
それだけ、第一印象と言うのは人々に強いインパクトを与えるもので、後で考えると、何故あの時にあんなことを思ってしまったのかと反省することもあるが、兎に角、第一印象と言うものは非常に危険な魔物でもある。
ところで、マイケル・レヴィンの「壊れ窓理論の経営学」であるが、多くの有名企業の例を引いて、色々な角度から企業のほんの些細な欠陥・壊れ窓から会社が崩壊して行く過程を経営学の視点から克明に分析している。
逆に考えれば、壊れ窓を生じさせない経営に徹すれば、競争会社に勝てる戦略を打てるということになり、経営戦略論のテキストともなっていて面白い。
ところで、レヴィンは、この顧客の「第一印象」が如何に重要であるかを、”商品に差がない場合の戦略”と言う章で書いている。
ペプシ派とコカ・コーラ派、クリスピー・クリーム派とダンキンドーナツ派、等を例に引いて、徹底した販売戦略が巧を奏して強烈なブランドイメージを顧客に植えつけてロイヤリティを確立して、何故、客が他に移らないかを問題にしている。
最近、極端に言えば、薄型TVにしろ、自動車にしろ、言い方は悪いが、何処の製品を買っても殆ど性能に関係なく、所謂、コモデティ化していると考えられるが、客によってはSONYに拘り、ベンツに拘る特別な消費者の心理が分かるような気がする。
製品やサービスに差がないならば、消費者は既に確立した購買習慣を変えない。
何故なら、自分の選んだブランドの方が優れていると信じている。
そう信じることによって、そのブランドを選んだ自分を正当化し、ファンであることを認定しているのだ、とレヴィンは言う。
ところで、この強烈なブランド・イメージを消費者に与えるのは、第一印象、たった一度しかない、第一印象である。
これは極めて早い時期――公告や評判、店舗での経験、会社が提供するサービスの利用などを通じ、消費者と企業が始めて接触した時――に決まる。
第一印象を与える要素は多々あるが、最も重要なのは、顧客の目に触れる店舗設備と実際に対応する店員が決め手となる。
競合他社の熱心な顧客が来ても、他社と同水準のサービスでは駄目で、差別化したより良い体験を提供しない限り、他社への強烈な忠誠心は切り崩せない、と言うのである。
コモデティ化して殆ど商品に差のない場合の戦略は、有効かつ適切な販売戦略を打てるかどうか、この一点に尽きる。
そして、製品の質の確かさは当然だが、購買後の顧客を裏切らないような十分なアフターサービス体制の確立である。
何処で顧客が悪い印象を持って脱落して行くか知れないからで、如何なることがあっても壊れ窓を作ってはならないのである。
レヴィンが、あのマリリン・モンローの夫君ジョー・ディマジオの感動的な逸話を書いている。
ディマジオは、いつでも力の限り最高のプレーをした。
何故なら、スタンドには彼のプレーをはじめて観る客がいるに違いなく、その客に「私のベストを奉げる」義務があるからだ、と言った。
どんな時でもベストを尽くすことに激しい執念を燃やしたディマジオには、壊れ窓などなかった。
56試合連続安打の偉業は、あの天才イチローもまだ達成していない。