熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

日本製鉄によるUSスチール買収計画の再申請を許可

2024年09月18日 | 政治・経済・社会
   各メディアが、「日本製鉄によるUSスチール買収計画の再申請を許可する」と報じている。
   買収計画は、11月の米国大統領選挙を前に政治的論争の種となっているのだが、対米外国投資委員会は、日本製鉄の提案再提出の要請を認め、買収を承認するかどうかの決定は選挙後まで延期される。というのである。

    ジェフ・メイソン、アレクサンドラ・アルパーによるロイターの「米国による日本製鉄のUSスチール買収の決定、選挙後まで延期」という記事が詳しいので、これによって考えてみる。

   日本製鉄によるUSスチール買収の149億ドルの買収を審査している米国国家安全保障委員会は、両社に買収承認の申請を再提出することを許可し、政治的に微妙な合併に関する決定を11月5日の大統領選挙後まで延期した。
   この動きは両社にとって一筋の光明となる。両社の提携提案は、対米外国投資委員会(CFIUS)が8月31日に、この取引が米国の重要な産業の鉄鋼サプライチェーンを脅かすことで国家安全保障上のリスクをもたらすと主張したことで阻止されるかに見えた。
   関係者は火曜日、CFIUSは、この取引が国家安全保障に与える影響を理解し、当事者と交渉するためにさらに時間が必要だと述べた。再提出により、提案された提携を審査して決定を下すための新たな90日間の期限が設けられる。
   バイデン、ハリス、トランプ、そして、全米鉄鋼労働組合が、この買収に反対していることは、周知の事実なので、ここでは省略する。

   CFIUSは、日本製鉄の合併により、重要な輸送、建設、農業プロジェクトに必要な鉄鋼の供給が損なわれる可能性があることを懸念していると、ロイターが独占入手した8月の両社宛ての書簡で述べた。
   また、CFIUSは、安価な中国製鉄鋼が世界的に供給過剰になっていることを挙げ、日本企業である日本製鉄の下では、USスチールが外国の鉄鋼輸入業者に関税を求める可能性は低くなると述べた。さらに、日本製鉄の決定は「国内の鉄鋼生産能力の削減につながる可能性がある」と付け加えた。
   一方、ロイターが独占入手したCFIUSへの100ページに及ぶ回答書簡で、日本製鉄は、本来なら休止状態になっていたであろうUSスチールの施設に数十億ドルを投資し、「米国国内の製鉄能力を維持し、潜在的に増強する」ことを「議論の余地なく」可能にすると述べた。同社はまた、USスチールの生産能力や雇用を米国外に移転しないという約束を再確認し、不公正な貿易慣行に対する米国法に基づく貿易措置の追求を含む、貿易問題に関するUSスチールの決定には一切干渉しないとした。
   日本製鉄は、この取引は「米国と日本の緊密な関係を基盤とした、中国に対するより強力なグローバル競争相手を生み出す」と付け加えた。

   新日鉄とUSスチールは3月に審査を申請し、CFIUSは6月に再申請を許可し、9月23日に期限を迎える2回目の90日間の審査期間が始まったとロイター通信は金曜日に報じた。12月にCFIUSは、国家安全保障上の懸念に対処する措置を講じて取引を承認するか、大統領に取引を阻止するよう勧告するか、または再度期限を延長する可能性がある。CFIUSの厳格な審査には90日かかるが、審査委員会の懸念に対処する時間を増やすために、企業が申請を取り下げて再提出することはよくある。というのである。

   同じくロイターは、「USスチールCEO、日鉄による買収成立を確信」と報じて、
   デビッド・ブリット最高経営責任者(CEO)は17日ミシガン州デトロイトで講演し、日本製鉄による買収成立に楽観的見方を示した。CEOは買収の審査プロセスは「非常に堅牢」だが、「われわれはそのプロセスを信頼し、尊重している」、とした。
   この統合は、両者の将来のみならず、国家安全保障、経済安全保障、雇用の安定を強化することは非常に明確であり良いことだと強調したのである。
   USスチールのHPは、
   NIPPON STEEL CORPORATION AND U. S. STEEL COMBINATION IS THE BEST DEAL FOR AMERICAN STEEL 一色、疑いの余地なし。

   9月5日に、このブログで、「米国の愚行:日鉄のUSスチール買収反対 」を書いて、アメリカにとって、この買収阻止が如何に愚行かを論じたので、蛇足は避ける。
   いずれにしろ、米国の財務省や国防省でさえコメントを控えていて、アメリカの政治経済社会に大きな影響を与える微妙な問題、
   新大統領の対応如何にかかっていると言うことであろうか。




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