熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

コニカミノルタのデジカメ・・・インターネット市場の攻防

2006年02月10日 | 政治・経済・社会
   コニカミノルタが、コアビジネスであるカメラとフィルムから撤退することになったが、ホームページを開くとカメラのページには、赤い字で「生産を終了しました。」と言う文字が躍っている。
   自動焦点一眼レフカメラで先鞭を付け一世を風靡したミノルタのカメラが、もうすぐ店頭から消えて行く。
   ライカの心臓部はミノルタが担当していた。私の一眼レフ・ライカF3サファリもシャッターなどはミノルタのはずである。

   初心者向けのデジカメ一眼レフであるαSweet DIGITALが、手ぶれ補正機能と言う強力な差別化技術の武器を持ちながら、Canon EOS Kiss DIGITALやNikon D50の人気に押されて、苦戦していたが、その後、急速に値を下げて、叩き売られていると言う感じである。

   ここで私が言わんとしているのは、このデジカメ価格戦争とその前に、インターネット商戦の結果起こっている急速な価格破壊の現状についてである。
   ロバート・スペクターが、「カテゴリー・キラー」と言う面白い本を書いて、ウォルマート、トイザラス、ホーム・デポ等々カテゴリー・キラーが、如何に価格破壊と言う武器を引っさげて商業革命を起こしてきたか、を教えてくれている。
   
   この中で、スペクターは、インターネットによる年間小売売上高は、既に全体の5%を占めていて、拡大傾向にあり、インターネットの価格比較サイトが花盛りだと言っている。
   一般消費者は、日本でもインターネットの価格comやconeco.netで検索すれば、例えば、先のαSweet Digitalが、いくらで売られていて何処が一番安いかはすぐ分かるようになっている。
   更に、商品毎に、ファンが書き込みをしていて、何処何処で値切ったらもっと安くなったとか、その商品の何処が良くて何処が問題かを克明に教えてくれる。
   言わば、一般消費者は、このインターネットの価格比較サイトで商品の情報を熟知しているので、先のカテゴリー・キラーも、これを無視できなくなって益々価格値下げ競争に狂奔せざるを得なくなると言うのである。

   価格比較サイトが、最も強みを発揮するのは、電化製品だとスペクターは言う。
   何処で買っても製品番号等品物が同じであれば同じものなので、安く買うに越したことはない。
   価格comで検索すると、先のαSweet Digitalであるが、標準と望遠のダブルズーム付きの価格が81,500円で店名はPCボンパーと出ている。
   PCボンパーのホームページにクリックすると80,800円となっている。
   発売当初は10数万円していたのが、生産撤退の時点では、10万円前後だったのがここに至って8万円になってしまっている。
   因みに、このカメラ本体だけの価格は、57,800円で、その差額は、23,000円だが、レンズ2本の希望小売価格は74,000円なので、セット価格だから安いとは言え、レンズの値引き率は69%、価格破壊も極まれりで、コニカミノルタのカメラ事業が持つ訳がない。
   新発売されて、まだ、半年である。
   ところで、驚くなかれ、PCボンパーのホームページへのアクセス数は1700万回を越えている。低く見積もっても、100万単位の客が、インターネットで店を訪れたと言うことである。

   ついでに、興味深い話だが、Nikonが、フィルム用の高級一眼レフの生産を、最高級のF6と低級機FM10に絞って残すが、その中間の一眼レフ数機種の生産を中止してしまったら、F100始め品薄になり値段が上がり始めた。
   聞くところによると、写真を勉強している学生が一番困るようで、それにマニアやニコン・ファンが、買いに走ったのだと言う。
   ミノルタの場合は、デジタル一眼レフは、ソニーが引き取るのだが、あの、京セラもコンタックスを見限ってしまったし、カメラ専業メーカーでなければ、ファンは信用しないのかもしれない。

   元々、老舗のカメラメーカーでも、フラッグシップ機と言われるキヤノンのEOS 1とかニコンのF6などは、採算ベースに乗っていないと言われている。
   デジカメになってからは技術革新が激しくなって、正に日進月歩で、これからは、恐らく、デジカメも淘汰の波が襲ってきて消えて行くカメラも多くなろう。
   カメラが、パソコンの周辺機器になり下がってからは、カメラの運命も寂しくなってきた。
   
   何故、デジタル商品は、止めどもない価格破壊を続けてゆくのか、デジタル化して誰でも安く組み立てられるようになってしまったのも一因かもしれないが、インターネット商戦の加熱も、その一つの要因のような気がしている。

   楽天やヤフーやライブドアが、実体のないインターネット企業で実質を伴わないバブル企業だと榊原先生は仰るが、インターネット商戦の戦場を提供し流通革命をそくした功績は大きい。
   寅さんではないが、「白木屋黒木屋の紅白粉つけたお姉さんが頂戴下さいと言わない」、店舗も店員も、時には倉庫もないインターネットショップが如何にコストを切り詰めて安く売っているか、価格破壊の一側面でもある。

   ついでながら、電化製品の場合は、大型量販店のヨドバシカメラやビッグカメラ等、或いは、ヤマダデンキやコジマ等は確かに安いが、先のPCボンパーの方が、時には遥かに安い。
   このボンパーだが、秋葉原電気街の外れのガード横の小さな倉庫を店にしたような店舗であるが、客は引きを切らない。
   毎日、商品価格を最安値にアップツー・デイトしておりインターネットショップを併設している。
   こんな店が結構秋葉原にあって、楽天やヤフーのインターネットショップを支えている。
   ほんの歩いて数分のところに、ヨドバシカメラが巨大な店を構えている。この数年、見違えるように都市空間を一変させた秋葉原、不思議な街である。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 競いあう 誰が為に咲く 寒... | トップ | ハルドゥンキング咲く・・・... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

政治・経済・社会」カテゴリの最新記事