熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

ちょっとレトロなアール・デコ展・・・東京都美術館

2005年05月25日 | 展覧会・展示会
   緑が萌え始めて美しい上野の杜、イラン人の群れは消えたが、まだ、木陰に沢山のブルー・テントが犇いている。
   東京の文化村・上野は、駅も、美術館も、芸大も、そして、周りの佇まいも、一頃と比べて随分美しく明るくなったが、まだ、世界の一流文化国の文化村からは、少し距離がある。

   東京都美術館で、いま、1910年から1930年代にかけてフランスを中心に生まれアメリカで花開いたアール・デコ芸術を集めた展示会が開かれていている。
   展示品の相当部分が、ヴィクトリア&アルバート美術館より来ており、ロンドンに5年も居ながら、十分に見ていなかったのを残念に思った。

   流線型を多用したアール・ヌーヴォーを嫌って、直線的な構成と明快な色彩を特徴とする機能主義に還元されない最後の「装飾芸術」とかで、1925年パリで開かれた現代産業装飾芸術国際展からアール・デコの呼称が出たと言われている。
   家具・什器、宝飾、衣装、日用道具、絵画、ポスター等など多彩な装飾芸術品が展示されていて目まぐるしい。

   面白いのは、ポスターに使われているさも重大そうにポーズをとって電話を架けている女性の絵「電話Ⅱ」。エジソンによって発明され、当時実用化された電話が、正にモダンの象徴であったのであろう、何時の世も、革新的な技術に飛びつくのは、同じなのである。

   当時、ハワード・カーターが、ツタンカーメンの墳墓を発掘し、夥しい古代エジプトの装飾品を発見したが、これが天下を騒がせ芸術家を触発してカルティエ等に素晴らしい宝飾品を作らせ、これ等が展示されている。

   私が興味を持ったのは、場内のスクリーンに映し出されていた、ジョセフィン・ベーカーの派手で陽気なダンス・シーンで、ああ、あの頃かと思いながら、彼女の舞台に着想を得たポール・コランの「黒い喧騒」よりの12点の図版を見ていた。
   イサドラ・ダンカンが、もう少し長生きしていたらどうだったであろうか、そんなことを思った。

   このアール・デコの頂点、1930年代初期に建ったニューヨークの「エンパイアステート・ビルとクライスラー・ビルを思い出した。エンパイアステート・ビルの入り口からロビーホールなど、正にアール・デコ。
   昨年訪れた時には、爆撃倒壊したWTCの煽りを受けて超満員で、展望台に上るのに時間がかかった。

   アル・カポネが、シカゴの暗黒街を押さえ、ジャズのリズムがムンムンするムードの中で、アメリカのモダン文化が花開き、急激に世界の文化芸術の世界をリードする丁度その頃、起爆剤になったのがアール・デコ、そんな思いで展示会を見ていた。

   
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