熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

ADR(裁判外紛争解決手続)の拡充と活性化に向けて

2005年04月21日 | 政治・経済・社会
   多様な紛争解決ニーズに対応し、裁判以外の手続による紛争の解決を促進する為に、昨年12月1日に公布された「裁判外紛争解決手続の利用に関する法律」、すなわち、ADR(Alternative Dispute Resolution)法の活性化と拡充に向けて、昨日、経団連ホールにおいて、シンポジュームが開かれた。欧米では活発に活用されている紛争処理手段で、日本にはあまり馴染みがないが、啓蒙的なシンポジュームであり、興味深く勉強させてもらった。
   
   国家権力による強制的な裁判ではなく、公正な第三者である専門家が関与し、当事者間の話し合いと合意による紛争解決手段としてのADRについては、迅速かつ柔軟に解決が図られ、公開でないので営業上の秘密や企業イメージを損なうことなく多様なニーズに迅速に対応でき解決も早い等の利点があるが、今回、法制化することによって制度に「お墨付き」が与えられたのである。
   
   ADRを担当する機関については法相による認証制度を導入し、未解決でも裁判への道を閉ざさない為に、認証機関が解決手続き中は時効を中断する等の制度整備をしており、政府は、詳細を定める省令の策定作業や広報を進めて、2007年4月を目途に施行、認証の申請受付を始める方針である。
   
   日本には、裁判所の民事や家事等の調停、行政機関や民間団体等の仲裁や調停、あっせん等など、司法型、行政型、民間型入り混じってADRがあるが、古くは、大岡裁きは別として、水戸黄門の印籠まがいのお裁きや村の長のお裁きから熊さんはっさんの大家さんへの身の上相談など、裁判沙汰を好まず、内々に紛争を上手く処理する文化があり伝統がある。斬ったハッタで何事も法律と契約、弁護士を湯水の如く使って紛争を解決・処理しようする欧米とは違う。ADRは、日本でこそ根付く制度だと思う。
   
   認証機関や専門家の育成、反社会的勢力からの防衛等問題もあろうが、グローバリゼーションと急速な情報化産業社会の時代である、何年も何十年も裁判に時間を掛けている時代ではないことだけは事実であろう。
   
   祝・ADR法の成立。順調な前途を祈りたい。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 新・シルクロード展を楽しむ | トップ | 清楚な椿・天賜が咲いています »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

政治・経済・社会」カテゴリの最新記事