先日レビューしたファラッド・コスロカヴァール 著「世界はなぜ過激化するのか?」では、流石に、仏社会科学高等研究院の社会学者だけあって、ラディカリザシオンについて、学術書ながら、極めて詳細な研究成果を惜しみなく開陳していて、興味深く読ませてくれる。
やはり、今日のテロが、時代の潮流をはっきりと体現したのは、ICT革命、すなわち、ウエブを駆使したメディア・ジハードとも言うべき傾向であろうか。
アラブの春では、SNSがフル活用されたと言うことは周知の事実だが、過激イスラムのジハード主義者が、如何に、ウェブの魔力を駆使してテロ活動を展開しているか、コスロカヴァールが語っていて興味深い。
過激派イスラムにとっては、ジハード聖戦は、欧米社会に屈辱を与えながら、自らは殉教者の身分を勝ち取り、その行為は、天に昇って報われ、天国の特に選ばれた場所を与えられて報われる。
この論理を、ウェブを通して体得した過激派ジハード主義者が、テロ行為に赴くと言うのであるから、中南米を除いて、グローバルベースで、過激テロが拡散するのは避け得ないと言うことであろう。
ジハード主義は、イスラム教が政治宗教的な正当性を体現して世界全体の宗教の座に就くまで、永続した聖戦を実行すべしと説いたサイイド・クトゥブなどの大知識人が檄を飛ばし、そのイスラム国家と言う理念は、シーア派の革命的な思想家に継承され、
このイスラム教に依る権力を求める戦いは、実現しそうもない理想だと思われていたが、イランのイスラム革命によって、アヤトラ・ホメイニの思想による神権政治国家が出現して現実となり、この革命が、過激化の潮流を奔流へと変え、9.11米国同時多発テロが起きて、イスラム過激派を歓喜させたのと同様に起爆剤になった。と言う。
欧米から人民主権の名で吹き込まれた世俗政治体制に対する容赦ない戦いで、民主主義を糾弾し、
欧米の帝国主義によって、世界各地でイスラム教徒を隷属させられていることに憤りを感じて欧米の支配を拒否し、反帝国主義を神学的内容に盛り込み、
女権拡張や男女平等や同性愛の合法化など家族制度の破壊を断罪して、復古調の新家父長制による家族の安定を説くなど、
ジハード主義者の大知識人の透徹した理論が、欧州に住む沢山の急進的サラフィー主義者の小知識人へと、こだまして行った。と言うのである。
コスロカヴァールが例示しているのは、アメリカで教育を受けた過激なジハード主義者で、沢山のヨーロッパのテロを主導したアンワル・アウラキが、ウエブサイトやフェイスブックなどニューメデイアを駆使して思想を伝播し、
この新しい型の「世界市民」が、多文化性と多国籍を背景として、世界のはるかかなたにいる人々に、対面した説教や説得の必要なしに、決定的な影響力を行使して、「メデイア・ジハード」を可能にした。と論じている。
ヨーロッパの抑圧され阻害されたイスラム系若者のみならず、欧米文明の犠牲に喘いで苦しんでいるイスラム世界の現状に義憤を感じている者など、多くの若者たちに、ジハード主義者の扇動的なメッセージで充満したウェブで、アイデンティティを構築し、興奮を掻き立てる共同体を提供してくれ、無規則状態を吹き払ってくれる。いつまでもネット上をサーチし続けられる無限の画像と映像の中で、ついに、確かな意味を醸成して、それまでと一変した世界を創造して鼓舞してくれる。
まして、ジハードに参画して命を捨てても、英雄として列せられて天国に行ける。と説かれているのである。から、影響は大きい。
あのベルリンの壁の崩壊を引き起こしたのは、ラジオなどのメディアを通じて、豊かで進んでいた西ヨーロッパの現状を知った東ヨーロッパの人たちのエネルギーの爆発だと言うことだが、欧米は、多くの新興国や発展途上国とは違って、メディアが自由に飛び交う別天地であるから、過激的イスラムのジハード主義者の教宣を妨げる方法はないと言うことであろう。
やはり、今日のテロが、時代の潮流をはっきりと体現したのは、ICT革命、すなわち、ウエブを駆使したメディア・ジハードとも言うべき傾向であろうか。
アラブの春では、SNSがフル活用されたと言うことは周知の事実だが、過激イスラムのジハード主義者が、如何に、ウェブの魔力を駆使してテロ活動を展開しているか、コスロカヴァールが語っていて興味深い。
過激派イスラムにとっては、ジハード聖戦は、欧米社会に屈辱を与えながら、自らは殉教者の身分を勝ち取り、その行為は、天に昇って報われ、天国の特に選ばれた場所を与えられて報われる。
この論理を、ウェブを通して体得した過激派ジハード主義者が、テロ行為に赴くと言うのであるから、中南米を除いて、グローバルベースで、過激テロが拡散するのは避け得ないと言うことであろう。
ジハード主義は、イスラム教が政治宗教的な正当性を体現して世界全体の宗教の座に就くまで、永続した聖戦を実行すべしと説いたサイイド・クトゥブなどの大知識人が檄を飛ばし、そのイスラム国家と言う理念は、シーア派の革命的な思想家に継承され、
このイスラム教に依る権力を求める戦いは、実現しそうもない理想だと思われていたが、イランのイスラム革命によって、アヤトラ・ホメイニの思想による神権政治国家が出現して現実となり、この革命が、過激化の潮流を奔流へと変え、9.11米国同時多発テロが起きて、イスラム過激派を歓喜させたのと同様に起爆剤になった。と言う。
欧米から人民主権の名で吹き込まれた世俗政治体制に対する容赦ない戦いで、民主主義を糾弾し、
欧米の帝国主義によって、世界各地でイスラム教徒を隷属させられていることに憤りを感じて欧米の支配を拒否し、反帝国主義を神学的内容に盛り込み、
女権拡張や男女平等や同性愛の合法化など家族制度の破壊を断罪して、復古調の新家父長制による家族の安定を説くなど、
ジハード主義者の大知識人の透徹した理論が、欧州に住む沢山の急進的サラフィー主義者の小知識人へと、こだまして行った。と言うのである。
コスロカヴァールが例示しているのは、アメリカで教育を受けた過激なジハード主義者で、沢山のヨーロッパのテロを主導したアンワル・アウラキが、ウエブサイトやフェイスブックなどニューメデイアを駆使して思想を伝播し、
この新しい型の「世界市民」が、多文化性と多国籍を背景として、世界のはるかかなたにいる人々に、対面した説教や説得の必要なしに、決定的な影響力を行使して、「メデイア・ジハード」を可能にした。と論じている。
ヨーロッパの抑圧され阻害されたイスラム系若者のみならず、欧米文明の犠牲に喘いで苦しんでいるイスラム世界の現状に義憤を感じている者など、多くの若者たちに、ジハード主義者の扇動的なメッセージで充満したウェブで、アイデンティティを構築し、興奮を掻き立てる共同体を提供してくれ、無規則状態を吹き払ってくれる。いつまでもネット上をサーチし続けられる無限の画像と映像の中で、ついに、確かな意味を醸成して、それまでと一変した世界を創造して鼓舞してくれる。
まして、ジハードに参画して命を捨てても、英雄として列せられて天国に行ける。と説かれているのである。から、影響は大きい。
あのベルリンの壁の崩壊を引き起こしたのは、ラジオなどのメディアを通じて、豊かで進んでいた西ヨーロッパの現状を知った東ヨーロッパの人たちのエネルギーの爆発だと言うことだが、欧米は、多くの新興国や発展途上国とは違って、メディアが自由に飛び交う別天地であるから、過激的イスラムのジハード主義者の教宣を妨げる方法はないと言うことであろう。