日本の公立学校教育の現状は、教員不足でかなり行きづまっています。その中でも、「臨時的任用教諭(産休代替教員)の不足」と「若手教員の離職」ということが、私の実感として二大問題と感じています。私はどちらの問題も、私が教員になった1987年当時から、将来はこうなるだろうと言い続けてきました。当たり前です。1987年から数年間、日本を代表する東京都の教員採用試験の合格者数は200~300名だったからです。東京都の小学校数は約1200校。教育の未来を考えるならば、少なくともその半分の600名は採用していかないと、この200名採用世代が幹部教員になる頃には、年間採用数を1000名前後にしなくてはならなくなり、結果、若い世代が急増する。若い世代は子育て世代にもなるため、産休代替教員が必要になるが、それをカバーする世代が200名しか採用されていないため、教職経験のある人材がいなくなる。つまり私のような一学生だった人間にも、2020年代のこの教員不足はいとも簡単に予想できていたわけです。
教員の採用は、その年の自治体の予算との関連が深いため、このような状況を生じるわけですが、「教育立国100年の見通し」を時の為政者が自覚していたならば、こうした事態を40年前に予想して、問題回避できていた、もっと強く政治界に働きかけていればよかったと私は後悔しています。
このような現状を解決するために、文部科学省は新たな検討をしているようです。
多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策について
(令和6年12月25日 中央教育審議会 諮問) 【概要】
これを受けて私は、おそらく日本の教育関係者の中で、誰も提案していないと思われることを、ここに書き残しておこうと思います。
(1)新規採用教員を育成する期間を1か月間確保する
今の教員採用システムだと、新規採用教員は十分な研修も受けることなく、4月1日にいきなり学校現場に立たされ、小学校だと4月6日には「〇〇先生」としてプロ教師となる。しかし、そのほとんどは教育技術も社会的経験も不足している状況の中、ほぼ素人教員としてスタートしなくてはならない。学校現場の管理職や先輩教員としても不安だし、新規採用教員自身も右も左も分からない状況で、いきなり責任をもたされる不安がある。
その解決策として、
①2月中には採用通知を出し、3月中の1か月間を研修期間とすることで、4月のスタート時に教員としての自覚と実力を高め、不安感を軽減する。この1か月間の研修で不適切と判断される教員は不採用とすることも可とする。
②4月1日に採用辞令を出すことが避けられないとすれば、学校の1学期スタートを5月1日または6月1日、さらには9月1日にする。新規作用教員は、この間、新規採用教員は教育委員会や学校現場の研修を十分に積み、指導力向上に努め、即戦力として通用するだけの資質能力を育む。5月1日スタートとする場合は、4月の1か月間を春季休業日として時間的余裕を生み出す。かわりに夏季休業日の42日間を削減し、2週間程度にすることで、授業時数を確保する。そのために全国の学校には国家予算で空調機を配置する。
一般企業では、そのくらいの新人研修はしているのではないでしょうか。
どこかの議員がこの記事をつかまえてくれると面白いのですが、その可能性は低いでしょうから、自分で立候補するしかない???(笑)