高雄捷運の開業初日を楽しんだあとは、高雄車站=台鉄高雄駅で下車。ここは地下のホームから地上の入口に至るまで、試乗客の皆様が長蛇の列を作っており、捷運関係者がこまめに入場制限をかけていました (ここで横入りするヤツがいないのは、某大陸の赤い国との大きな違い)。いや~、左営を振り出しに自由自在に乗り降り出来たのは、何ともラッキーなことでありました……(^^
鉄活動で高雄を訪れる際に常宿に指定している駅前の宿・建華大飯店にさっそく転がり込んだところ、何と今回の部屋は絶好の高雄駅ヴュー!! 駅の大改造に伴って数十メートル平行移動し、今では「高雄願景館」として保存されている旧・高雄駅舎(昭和10年代に「帝冠様式」で建設された由緒ある建物) を真下に望みながらの高雄滞在は、この上もない贅沢です (^O^)。しかもこれで600元 (=約2100円) ですから安すぎる!! まあ、台湾のこの価格帯の宿はどこでもラ○ホを兼ねており (といっても普通の宿ですから、女性が一人で泊まるのも当たり前)、部屋に入るや否や、調度品のチェックをしてくれた欧芝桑 (おじさん) がニカッと笑いながら「漂亮的小姐給ni介紹~♪」とセールスを仕掛けてくるのは、漢語圏の宿として如何にもありがちだなぁという感じですが (^^;)、断っても別に嫌な顔をされるわけでもありません (笑)。まずは高雄駅の素晴らしい夜景を眺めながらお茶で一服し、徒歩でめくるめく屋台料理ワールド・六合夜市へ!
六合夜市では南台湾名物な食べ物をはしごして、「ふぅ~これだから台湾はやめられん!」と大満足のうちに高雄駅に戻り、2日後に乗るタロコ号の予約をしようとしたところ……時間は19時40分。そういえばこの時間は……と思って電光掲示を見たところ、台北 (松山) まで行く最終列車を兼ねた釣掛自強 (EMU1200形) が19時50分に発車するではありませんか! そこでピーンとひらめいて速攻で時刻表を調べたところ、台南で降りればちょうど嘉義発高雄行きの普快車 (旧型客車) に乗ることも出来る!! とっさの判断で台南までの自強号・無座(立席)切符を購入し、夜の釣掛とんぼ返りツアー敢行決定です (^O^)。
しかし……台南まで110元超の切符を購入した直後に、自分の生半可な思いつきは台鉄の実情に照らして砂上の楼閣に終わりかねないことに気づき、急に「やべぇ……」という気分になりました。と申しますのも……台鉄では列車が定刻通りに走ることは珍しく (?!)、2分から5分の遅れは当たり前、長距離列車になると10分以上遅れることもしばしばだからです。そして実際……高雄始発ではなく屏東からやって来る釣掛自強も、優等列車ながらサラリーマンや学生の近距離帰宅輸送も兼ねているため (台湾には車種を問わず乗車可能な定期券があります)、ホームに来た時点では「2分遅れ」の表示だったところが、入線時には何と5分遅れ……。そして高雄駅でも、速い自強に乗って台南や嘉義に帰ろうとする膨大な数の客がホームにあふれており、結局高雄を7分遅れで発車することになりました。「あぁ……これでは台南で旧客の高雄行に間に合わない。まぁ片道だけでも釣掛を味わって、高雄へは普通にPP自強かキョ光で戻ることにするか」と思った私は、折角釣掛自強にまんまと乗り込み、電動車間の貫通路という最もサウンドが大きい位置に陣取ったにもかかわらず、早くも敗北感を味わっていました……。
だが待てよ ?! 台鉄はいつも遅れる (^^;) ということは……高雄方面の下り長距離列車も遅れていれば、その分お目当ての高雄行普快車も待避などの関係で遅れるに違いない……! そうひらめいた私は、取りあえず運を天に任せるしかない、いや必ずこの勝負に勝つ! (爆) と思い直しまして、まずは全身全霊を足下の釣掛の唸りに傾けることにしました。釣掛自強は、さすが最優等列車ということもあって防音対策が施されており、日本の釣掛式電車のような猛烈な轟音というわけではありませんが、それでも起動から120~130km/hの最高速度に至るまで、目の覚めるような素晴らしい飛ばしっぷりとシャウトを披露してくれました……(*^^*)。
というわけで、7分遅れがいつの間にか2分遅れまで挽回されて台南着! 高雄から台南まで30分を切るとは……釣掛自強の実力恐るべし! そして台南駅の2Bホームにはお目当ての旧客が停車しており、高雄行のPP自強を待避していました。そこで速攻で高雄までの普快車の切符を購入し (自強の半額以下の50元ポッキリ……日本円で175円ほど)、見事に「夜の旧客の旅を楽しむ」という目的を果たしました! 本当は、日本植民地時代からの由緒ある台南駅舎や、史跡も食事も味わい深い台南の街をゆっくりと楽しみたいところですが、今回は消え行く車両に狙いを定めた駆け足ツアーにつき、またいずれということで……(^^;
乗り込んだ旧客(1970年頃までに日本で製造されたスハ44風転クロ客車・SP32700形を冷房改造したSP2300形) は、生暖かい南台湾の春の夜の中でひときわシブい雰囲気を醸し出しており、日本の国鉄旧型客車とほとんど変わらないノリは何度乗っても感激ですが、西部幹線南部に最後まで残った一日数往復のこの車両も、EMU700 (スネ夫) の増備のために果たして来年も走っているかどうか全く分からず、まさに風前の灯火。そこで今回は、旧客の味わいとELの釣掛をともに楽しもうと思いまして先頭車のデッキに陣取り、横棒が一本渡されただけの貫通路越しにE200形の正面を仰ぎながら、オレンジ色のボディから発せられる轟音にうっとり……(*^^*)。そして折に触れて、南台湾の街の灯を眺めながら、デッキの握り棒を頼りに体を思い切り外に反らし (良い子は絶対に真似してはいけません! ^^;)、「あー旧客って良いなぁ!」という気分に浸ったのでした……。
こうして21:50頃、普快車は高雄駅に到着し、約2時間の高雄~台南・釣掛電撃往復を終えたのですが、いや~日本を出たその日の夜のうちにこれほど濃いぃ時間を過ごしたとは……我ながら驚くほどのバイタリティでした (^^;)。そして、このとき乗った旧客編成が高雄駅に留置されているシーンを翌朝5時過ぎに撮影しまして、さらなる満足に浸ったのでした (^O^)。あぁ、この南台湾の夜の楽しみ、いつまでも残って欲しいのですが……。