地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

台湾鉄路温故知新 (12) 嗚呼、釣掛自強!

2008-07-11 06:21:31 | 台湾の鉄道


 しばらく御無沙汰な春の台湾撮り鉄シリーズ、もう少々お付き合いのほどを (^^;
 台湾といえば、政権交代ですっかり日本との関係に影が差し、端で見ていて「馬氏は馬脚を現したか」とウンザリですが (この点についてのコメントはご遠慮願います)、それ以外は引き続きまったりとした雰囲気のようです。いよいよこの夏に期間限定で実現する、集集線でのSL週4日運転まつりにつきましても、主催者である南投県のHPに「台湾と日本の鉄道ファンがともに楽しめるイベントに!」という文句が添えられているのは何とも嬉しいことではありませんか! (^o^)
 そこで「あーこのイベント行きたい! さらに、春には撮れなかったスポットを巡りたい!」という妄想で頭の中はいっぱい (爆)。台湾の夏は猛烈に暑く、暑さに弱い私には地獄のような世界ですが、それすらも撮り鉄の興奮と台湾名物・木瓜牛乳 (パパイヤミルク) のラッパ飲み (笑) で乗り越えられるのではないかと勝手に思いこみ中……(その前に当分の間、長い有給を入れにくいスケジュールなのが猛烈な悩みの種 T_T 国内私鉄行脚もしたいしなぁ……トホホ)。
 しかし、再訪した折にまた是非撮りたい!と思っていた英国製の元祖釣掛自強・EMU100形が、去る5月中旬のダイヤ大改正を機に定期運用から離脱したのは残念無念です……(号泣)。この電車、登場後間もない80年代初頭に相次いで衝突事故を起こし廃車を出してしまったという不幸な歴史があり、それ以来マスクに警戒色を塗られてしまいましたが、優雅で堂々とした車体はまさに英国の貴婦人。その後どれだけ新型車両が増えようとも、圧倒的に高貴な存在感がありました……。



 そんなEMU100形の最後の定期運用を鶯歌駅で無事ゲットできたのは (1枚目)、3月の訪台における最大の成果のひとつです (^O^)。遠くのカーブから姿を現したEMU100があっと言う間にスロープを登り、10両中2両のMcだけ「グオオォォン!」と猛烈なサウンドを響かせ、残る8両がタタタン!と通過して行く一瞬は、見る者をして陶酔の極みに……(*^^*)。おっと、もちろんウットリしているだけでは何のために来たのか分かりませんので、ぬかりなくズーミングで連写しまくりです! 最近の台湾で如何にもありがちな西洋バロック建築風豪華マンション (汗) との組み合わせもなかなか良い感じに決まりました! 
 ただ、この頃既にEMU100は調子が相当悪かったらしく、もう1本あった定期運用 (日中、樹林=蘇澳間を1往復)はPP自強による代走……(泣)。また、今回撮影した朝の嘉義発松山行も、しばしば故障して大遅延の原因をつくっていたそうで、無事数分遅れでやって来たのは最高にラッキーだったようです……。
 したがって、英国生まれの電車が約30年間にわたり高温多湿な環境のもと長距離高速運用をこなすというのは、余りにも酷なことだったようで、まさに大往生だったのかも知れません。ただ、離脱後全車が廃車となったという話は今のところないようですので、台鉄きっての名車としてせめて5両1ユニットだけでも動態保存されないものか、と思っています。
 EMU100の引退を惜しむ声は台湾の鉄道迷の間でも極めて強いようで、今回の引退に合わせるかのように台湾の模型メーカー「鉄支路」からNゲージのEMU100 (超欲しい!) が発売されましたが、人気沸騰で今のところ品薄っぽい雰囲気……。5両1編成のお値段が日本円で3万数千円という、台湾の物価水準から見ますととんでもないお買い物ですが、TOMIXのハイグレード仕上げを遥かに上回る雰囲気の最高に精密で凝ったつくりを公式HPの写真レポートで見せつけられると、やっぱり清水の舞台、じゃなくて清水断崖(蘇澳の南にある道路の難所)から飛び降りる覚悟で欲しくなってしまう現地鉄道迷が多いのも無理もないことでしょう。
 なお、EMU100が離脱した現在、釣掛自強としては南アフリカ製のEMU1200とイタリア製のEMU300が残っておりますが、とくに後者 (2枚目の画像。山佳駅近くの道路脇で撮影→そろそろトンネル新線切替で過去のアングルに) は数が少なく、タロコ号 (TEMU1000) の増備次第で早々に廃車になるともウワサされますので,撮影と乗車はお早めに! あるいはEMU300も、EMU200→1200と同じく、全面的なアコモ改造や9両固定編成化によってEMU1300になるのかも知れませんが……。実は私もまだこのカットしか撮ったことがないため (滝汗)、再訪した折には是非重点的な撮影対象に……と思っているところです。