地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

鶴見線の黄タキ・扇町との永遠の別れ

2008-08-05 22:15:28 | 貨物列車


 去る3月のJRダイヤ改正を機に、速度制限がある車扱貨物に削減の大ナタが振るわれて以来、早くも約5ヶ月が過ぎてしまいました……。貨物時刻表をたまにパラパラとめくるたびに、「専用」と表示された列車がガクッと減ってしまったのを目にして、寂しさが募るばかりです。
 そんな中、突然仕事にあぶれた車扱の化成品タキ各種は、運用上の主な拠点に疎開して廃車解体の時を待ち、東港や安治川口などでの解体のペースに合わせて次々に回送されていたようです。そしてこのたびついに、鶴見線の扇町を拠点としていたタキ5450=液体塩素用黄タキも、遠く安治川口に送られてしまいました……。
 その回送は、扇町に残っていた11車をごっそり移動させるもの。扇町で黄タキが動いているシーンを眺めるとすれば、現役時代はせいぜい3~4車が連結される程度でしたので、そもそも11車が同時に動くなどというのは空前絶後、まさに最後の別れの打ち上げ花火という展開です。ただ、廃車回送の時刻は通常知り得ないわけで……。しかし今回は、いつも大いにお世話になっているとある方から頂いた情報をもとに、そんな超貴重なシーンを撮影することが出来ました!



 回送時刻の約1時間前に浜川崎から単機で現れたDE10は、黄タキが留置されていた一番奥の側線へと入って行き、一気に11車を引き出しにかかりましたが、長らく走らなかったタキ5450の車輪に錆が浮いていたためでしょうか……ポイント群を渡って手前に迫ってくる編成からは茶色い埃がモウモウと湧き上がります。そして踏切に跨るかたちで停止したのち、ホームから数えて2番目の線路に移動……。この動き自体は現役時代にごく普通に見られたものですが、ファインダー越しに眺める最初で最後の11車連結は圧巻のひとこと……。いっぽう、神奈臨の方々の入換作業はあくまでいつも通り、淡々・てきぱきとしたものでしたが、長年慣れ親しんだ黄タキを操作するのもこれが本当に最後ということで、その表情はどことなく寂しげでありました。DE10を浜川崎方に連結して出発前の点検を行うにあたっても、たった2駅しか走らないにもかかわらず、いつも以上に念入りに時間をかけていたのは……もちろんタキ5450を久しぶりに動かすからでもあるのでしょうが、それ以上に最後の別れを惜しむひとときでもあったのでしょう。
 そして午後2時過ぎ、鶴見からの電車が扇町に到着したのちついにホイッスルが鳴り、タキ11車が扇町を後にして昭和駅を通り過ぎて行きました。浜川崎まではほんの一走りでしたが、東亜石油専用線との分岐を過ぎ、運河を渡り……長年通い慣れた工場地帯に別れを告げる堂々の11車編成の姿は、改めて感無量……。
 こうして扇町駅の車扱は、秩父鉄道の三ヶ尻へと向かう石炭だけとなってしまいましたが、果たして今後改めて、すぐ近くの神奈臨・千鳥町と同じように化成品コキの荷役スポットとして復活する日は来るのでしょうか……。それを知る由もなく、悲観的にならざるを得ませんが、ホームからまたのんびりと入換を撮影できる日が来ることを待ち続けたいと思います。
 何はともあれ、大変貴重な情報をお知らせ下さった方に改めて御礼申し上げます!! また、この日撮影に向かわれた方、暑い中どうもお疲れ様でした。