地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

東日本大震災1ヶ月・東北の鉄道復興祈念

2011-04-11 08:51:00 | ノンジャンル


 東日本大震災の発生から今日で1ヶ月が経ちました。青森から南関東まで、想像を絶するほどの広範囲に及ぶ激しい揺れと被害、犠牲、混乱……。幸いにして長時間の徒歩帰宅を強いられるのみで済んだ私としましては、何とかこの拙い鉄道ブログを日々更新することで心の平衡を保ち前向きに……と思い続けていますが、やはりこの一ヶ月の間に見聞した出来事は余りにも重く、戦火こそ飛び交わないものの国難の時代に生きていることを改めて強く認識させられます。そんな中、技術職や運輸業など直接現地の役に立つ職業ではなく、東北に親類縁者がいるわけでもない私としては、出来ることといえば義援金の呼びかけに応じ節電等の自制をすることくらいしかなく、情けないほど無力を感じます。しかし考え過ぎても仕方がありませんので、まずは被害が甚大な茨城以北の復興を強く願わずにはいられません。



 そして今後、鉄道の再開が大震災全般からの復興において果たす役割、そして象徴的意味は計り知れないものになるでしょう。あらゆる面で高い精度が求められる鉄道の復旧は道路網に比べ時間がかかることは否めませんが、何はともあれ銀色に光る鉄路が全国と再び結ばれ、ジョイント音も軽やかに再び列車が走り出す……という報せが流れるごとに、多くの日本人が鼓舞されることになるでしょう。JREが原則全線復旧を掲げ、破竹の勢いで運行再開区間延長を続けているのは本当に目が覚める思いですし、今日はついに常磐線がいわきまで開通とか! そして今後、東北線と東北新幹線が全通すれば俄然注目を集めることになるでしょうし、僅か1日違いで果たせなかった新幹線による青森~鹿児島間の連結は (但し東京・新大阪乗換)、復興を目指して少しずつ起ち上がる日本人の団結を象徴するように思われるのです……。JRKが九州新幹線開通に際して用意したCM (公式HPで閲覧可) は、沿線民の心を繋ぐ名作といわれますが、このお蔵入りCMをリメイクして「鉄道・日本人・復興」というテーマをアピール出来ないものか?などと勝手に思ったりもします。
 いっぽう、阿武急や三陸鉄道、そしてひたちなかや鹿島臨海、各臨海鉄道など、民鉄の復旧は費用面で相当の困難を抱えているようですが、少しでも長い距離が復活し、地元の足として再び活躍する光景が展開するならば、ローカル私鉄ファンとして無上の喜びです。とは言え、報道を通じて伝えられる三陸鉄道の惨状は言語に絶し……遠いという理由で訪問を後回しにしていた自分を責めるのみです。
 何はともあれ……今回アップした画像は4年前に東北線筋で撮影したもので、455系はもう既に存在しませんが、また落ち着き次第東北を訪ねたいなぁ……と思います。しかし、455系が全廃となることは撮影の時点で分かりきっていたとは言え、まさか首都圏のファンにも馴染み深い「原ノ町」という行き先が、この先少なくとも数十年にわたり見られなくなる可能性もあるとは想像だにしませんでした……。かの宮崎駿監督は『朝日新聞』にて、「原発事故のために国土の一部分を事実上失いつつある国で作品を作っているという自覚がある」と語っていましたが、かつて数々の名列車が走り抜けた伝統の幹線である常磐線の一部区間が無期限運休になるということは、まさに国家の動脈の一部分と、その路線・沿線にまつわる記憶の束をみすみす失ってしまうことを意味するのだということを思い知るにつけ、改めて心が痛みます……。