タイ国鉄メークロン線では先日、バンコク側の起点であるウォンウィエンヤイ駅の次にあたるタラート・プルー駅にて列車が脱線し、タマ数が少なく貴重なエアコン付き2等車の屋根がホーム上屋の屋根にめり込みまくったとか……(T_T)。その一因は、整備状態最悪な線路にあり、線路の凹みで激しくバウンドした列車が脱線し屋根に衝突したためとか。実際にメークロン線の揺れは、バンコク側(マハーチャイ線)でも相当のものがありますので、線路・枕木交換の一刻も早い推進を期待したいものですが、補助金頼みのタイ国鉄にそんな体力があるのかどうか……。
さらに、川を渡ったバーンレームから終点のメークロンまでは、さらに驚愕の線路状態……というわけで、今日はその上を列車が走るシーンをアップしてみます。
この区間は1日4往復という超過疎ダイヤであり、もっぱら地元の少数の買い物&行商客と、物好きな観光客のために運行されている保存鉄道的な存在としか言い様がありません (苦笑)。そんなメークロン行の2本目は時刻表上10時10分発ということで、折角なので乗るついでに是非、限りなく併用軌道に近い雰囲気のヘロヘロな線路をTHN系DCがガタガタ揺れながら迫って来る光景を撮ろうと思いまして、約20分以上前から綿密に立ち位置を検討し、今か今かと待ち構えていたのですが……到着予定の10時を過ぎても全然来ねぇ……(鬱)。3月のバンコク近郊は暑季真っ盛りに突入ということで、頭上から情け容赦なく鬼のような直射日光が照りつける中、逃げ場らしい逃げ場の日陰もなく、じっと「その時」を待つしかありません。しかし……20数分遅れになった頃からイイ加減「まさか突然故障して運休では?」という焦りが募ります……。
とはいえ、それは杞憂で済み、何と約40分遅れでようやく2連がノソノソと登場!! 今にも脱線しそうなデンジャラス軌道を重い20m車がやっとこさ走る光景……これこそ「激濃ディープ終わってる系鉄道趣味」 (何じゃそりゃ) の真髄です♪
というわけで、背景の寺院との組み合わせをGoodな感じで後追い撮影した後は、恐らく折り返し時間が極めて少ないだろうと思い、猛ダッシュでバーンレーム駅へ。すると驚くべきことに、ホーム上は外国人観光客がウジャウジャ!! (@o@;;) ドッヒャー!停止位置次第では完全にヤツ等とのボックスシート争奪戦に敗北してしまう……。しかし幸いなことに、列車は彼らが雲集していた駅事務室・売店周辺よりも大分手前で停車し、幸いにしてドアの前に一番乗り♪ ドアボタンを押して速攻でボックスシートを占拠し目出度し目出度し……(笑)。懸念された座席争奪戦も、大体1グループが1ボックスまたはロングシート1列を占拠するようなかたちで自然に収拾し、いざメークロンへ出発です! 見たところ、如何にもロンプラで情報をゲットしましたという風情の白人観光客が約半分、如何にも成金風情な中国人観光客が約半分、そして地元客がちらほら……といったところでしょうか。
それはさておき、メークロン線・メークロン側の最大の見どころは、どこまでも長閑~な農村、マングローブ生い茂る湿地帯、そして塩田の眺めもさることながら、圧倒的にヤバ過ぎる線路状態そのものであるのかも知れません。マハーチャイ線に乗っただけでも、かなりひどい縦揺れ・横揺れに仰天しまくりでしたが (それでも飛ばすところは時速50~60kmくらい出ます。確かワット・サイ駅の手前だったでしょうか、運河を渡る際に鉄橋とアプローチ部の線路の接合状態が悪いためか、思いっきりガコォォォン!と車体が上下に揺れ、そのままGがかかって運河に転落するのではないか……と肝を潰しそうになるシーンもありました)、メークロン側はもっとひどい……。とにかく荒波の上を列車で揺られている、という表現がぴったりなほどギシギシガガガと揺れ放題! そして……マングローブの湿原と道床の境目がほとんど判然とせず、雨期になれば少々の雨量でも間違いなく冠水しまくりだな……と思われる区間が結構長く続きます (というわけで、恐らくメークロン線は雨期になると水中列車状態になるはず。水中列車といえば、You Tube上のフィリピン国鉄動画が余りにも有名ですが、ここも負けないくらいスゴいことでしょう……滝汗)。したがって、薄っぺらなバラストの下も自ずと湿気を帯びてフカフカな状態であるわけで、当然のことながら最徐行せざるを得ません。
そこで、列車は別に特定の駅で長時間停車するわけでもなく、ひたすら前進し続けているにもかかわらず、次第に遅れが拡大しまくり……。時刻表上ではバーンレームからメークロンまで1時間ですが、結局80分近くかかりました。なるほど……そもそも時刻表がメークロン線の軌道状態の現実を反映せず、片道を走るごとに20分以上遅れるということで、メークロンからの列車が約40分遅れでやって来たのは当然ということになりますな (滝汗)。
抜本的な対策は、大胆に設備投資=保線工事を実施して道床を嵩上げし、レールを太くすることしかないでしょう (THN系そのものは軽く時速110~120km程度出ます)。しかしメークロン線の運賃は、ウォンウィエン・ヤイからメークロンまで全線乗ってたったの20バーツという激安さ。しかも普通列車の3等車運賃は、補助金によりタイ国民無料とか何とか……(途中駅で撮り鉄した際、窓口に無料切符が大量に積まれており、余程「オレもこれで乗って良いのか……?」という誘惑に駆られました。まぁ信号扱いをしていた駅員に「オレは外国人なので切符売って下せぇ」と申し出て有料の切符を売ってもらいましたが)。これでは、超零細なローカル線の保線費用を容易には捻出できないでしょう。今回タラート・プルーで起きた事故は、車両屋根がホーム上屋にめり込むというものでしたが、下手すりゃ列車が横転する可能性もゼロではないと思いますので、「壮絶なデンジャラスさも良いけど、事故が起こる前に何とかならんものか」とも思った次第です……。