今夏のジャカルタ遠征における備忘録的まとめ、なかなか遅々として進まず恐縮ですが、次回もプルワカルタでの見聞ネタを予定してシコシコと記事を仕込んでいた折、とんでもないニュースが舞い込んできました。去る23日、ジャカルタ中心部の西側から南西に向かって走るバンテン線のダル駅(今年4月に電車も走り始めた区間)にて、この日から始まったエコノミー鈍行列車における切符の販売制限に怒り狂った客が線路を占拠し、3時間ほど列車が立ち往生したとのこと……。まず『じゃかるた新聞』Web版のトップページで「何じゃこりゃ!」と驚き、現地インドネシア語のニュースサイト記事をGoogle翻訳で (^^;) 読んだところ、このような事件だということです……はい。決して上尾事件のように、車両がメチャメチャに破壊されることはなく、平穏の内に収まったようですが、輸送環境の激変に由来して乗客がついに決起したという点では似ていなくもないような……。
ここのところ、サービス改善&近代化の名の下に、鉄道用地内の小規模店舗を一気に消し、商店主などが抗議のデモを起こす一方、冷房車の増加と自動改札導入によりエコノミー電車の廃止が断行されるなど、インドネシア鉄道をめぐっては相当ヤリ手な、あるいは荒っぽい措置が断行され、現地ファン及び現地を知る日本人鉄ヲタの間でも固唾を呑む状況が続いているのは、当ブログでも度々扱っている通りです。そんな中とりあえず、電化区間の外側に向かうランカスビトゥン行(バンテン線)とプルワカルタ行(ジャワ縦断本線)の鈍行は、補助金による激安運賃もあって庶民に愛され、行商や流しミュージシャンも相変わらず……という昔ながらの雰囲気を保っているわけですが、インドネシア鉄道はこのたびその客車エコノミー鈍行についても「各駅の切符販売数を制限し、乗車品質を向上させる」という措置に打って出たとか……。しかし、バンテン線新規電化区間の電車運行本数が1日5往復しかない中、ジャカルタと沿線の間を往復する多くの客は寿司詰めの客車鈍行に乗らなければならないわけで、これまで無制限に無座切符が販売されていたはずが、ある日突然予告なく「朝のラッシュアワーにジャカルタに向かう列車のダル駅での切符割り当ては100枚。はいアンタ売り切れ~」などと窓口で言われれば、目の前が真っ暗になって抗議の声を上げるのも当然すぎる成り行きではあります……。
肝心の座り込みデモは、当面の切符販売制限を撤回することで収まったようですが、本質的には先延ばしに過ぎないでしょう。屋根乗車が既に厳禁され、最近はデッキにぶら下がる乗車もウルサく言われる中、抜本的解決策は一刻も早い大増発しかなく、あるいはプルワカルタ鈍行についてもブカシ以遠のフリークエントサービス提供のため大増発する必要もあると思うのですが、果たしてどうなることやら……(205系をスルポン=バンテン線の電化区間に大量投入し、従来のジャカルタ市内~ランカスビトゥン間鈍行はティガラクサで乗換→余剰の客車鈍行編成はプルワカルタ行大増発に充てる……という予感が。勿論正式な今後は分かりません)。間もなく大々的に進められる埼京線205系の輸出は、このような従来列車本数に限界があり輸送力逼迫がボゴール線以上に危機的な区間をどうするのか、という視点からも要注目なのではないかと思います。