
既にJREの多くの路線を席巻している「走るんです」ボディの車両については、全ての鉄ヲタの皆様がそれぞれに批判と賛美こもごもの感情を抱かれることでしょうが、私の場合、3扉車なら総じて「まいっか」という気分になりつつあります。その一因は、単に飼い慣らされて諦めたということでもあるのですが、別の一因として、4扉車に比べれば安物の押し込まれ搬器らしさが緩和され、スペック・デザインともに「まぁ良いんでないの?」と思うからであります。登場当初は「かつて○ソ50と罵った50系すら超豪華列車に思えるほどの極悪車両」と思った701系ですら、今や「中央貫通顔ハァハァ……ふっくらと座り心地の良い椅子ハァハァ……凄まじいスタートダッシュとフルノッチ爆走ハァハァ……」と思うほどですから (笑)。
したがって、烏山線に登場した大容量バッテリ搭載車EV-E301「ACCUM」につきましては、「走るんです」史上最も洗練されたボディと最新鋭のパワーエレクトロニクスを凝縮した走り装置の組み合わせということで、なるべく早めに一度体験し撮ってみたいと思っていたのでした。

そして今回、烏山まで行った帰りに宇都宮まで乗り、大金での長時間 (?) 停車中にこんな感じで激写することも出来、かな~り満足しております。また車内も、椅子の座り心地がE233と比べても宜しいように思われ、デザインも良好で洗練されている気がしますので、逆に「209やE217・E231を作った時点で何故ここまで手抜きしたのか……」という怨嗟が自ずと沸々とするほどです (爆)。
実際の走りについては、例えば西門子製・歌うVVVFのように「何か特別に異様な音でも発するのだろうか……ワクワク」と期待していたのですが、あくまでフツーのVVVF音がするだけでしたので、ちょっと拍子抜けですな……。ランカーブも、いくら列車番号に「M」が付いているとはいえ、検査日にキハ40で代走させることを考えれば、結局従来のキハ40と全く同じものにならざるを得ないわけで、起動はVVVF車にしてはかなりトロく、宝積寺→宇都宮間でも205系の凄まじい爆走とは全く裏腹の、最高速度も抑えられ軽~く流す感じの走りでした。
というわけで、今のところ2連1本しかなく、ラッシュアワーのそれなりに乗車率が上がる列車を避けた運用をしている以上、当面は大容量バッテリ電車の本格的実用化を前にしたお試し期間という位置づけにとどまるのでしょう。
しかしまぁ……烏山駅の充電設備を除いて架線柱が全く無い田園地帯のローカル線だというのに、本当に最新ピカピカのVVVF電車が走るというギャップには新鮮なオドロキを隠せません。そしてもし今後、とくに短時間の往復でこまめに充電可能な非電化路線で、この大容量バッテリ車が本格的に実用化されるならば、短距離の非電化路線では急速にDCの置き換えが進むでしょうし、さらに極端な話、電化設備を取り払う事例も増えるのかも知れません。具体的には、現状非電化の路線でしたら、烏山線のみならず八高線の高麗川~八王子間とか、久留里線とか……。あるいは電化路線でも、鶴見線とか、房総半島の先端部とか、高崎~横川とか……。あるいは、黒磯のデッドセクションの位置を変え、駅全体を直流化することで、既に貨物列車の黒磯スルー化で余剰になった設備を整理し、黒磯~白河間の運用をEV-E301にするとか……。妄想が止まりませんのでこれにて (汗)。