地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

ソウル保存車両周遊 (5) 大統領専用気動車

2018-09-14 14:29:00 | 韓国の鉄道


 韓国での用務やエクスカーションを一通り終えて、帰国する日は夕方までフリータイムでした。そこで、これまた西船junctionどっと混む様で拝見して以来の念願であった、韓国鉄道博物館の新展示・大統領専用電気式DC見物を果たして参りました♪ 
 しかしこの日は、日本の新潟〜秋田あたりで大雨を降らせたものと同じ秋雨前線がソウル周辺にもかかってしまい、午前中から夜にかけて断続的に凄まじい土砂降り……(号泣)。儀旺あらため義王駅から鉄道博物館に向かう際には幸いにして小雨となったものの、途中の舗装工事現場がケンチャナヨな泥水の海となっているのに呻吟したのみならず (それでも強行軍の速度戦方式で正面突破。笑)、いざ到着してガンガン撮影をしていたら、突如ドワーーーッとバケツをひっくり返したように振りまくり、あっという間に鉄道博物館正門前の広い空間が湖となってしまいました……(号泣)。もっとも、撮影を始めてしばらくの間は奇跡的にピタリと止んでいましたので、さてこれは、歴代大統領ニムが○本海 (爆) を乾かし尽くし白頭山をすり減らすほどのエネルギーで保佑して下さったのか (ここら辺の回りくどい修辞を理解出来る方はウリナラマンセー!な方と言えます)、それともウリナラ・サランを欠くイルボンノムを呪って豪雨を降らせたのか……。



 それはさておき、日本の特急型車両に凄まじい重量感を付け足したようなボディに、一時は韓国鉄道公社のオフィシャルカラーであった緑と黄色の塗装をまとったこの車両……何とも強烈な存在感ですが、とりわけ個人的には先頭部分の大型ルーバーの存在感に萌えます。○なつ☆?何ですかそれ、という感じです (笑)。
 そして、一見すると「予備も含めて2本用意した」と思えるこの車両、それぞれ製造元も用途も全く異なります。1枚目の画像左=正門から目の前に見える編成は日車製の真正な大統領特別編成であり、外から眺めるにつけ極めて豪華で品格ある内装です。執務室・会議室・寝室・食堂を取りそろえており、各部分の窓には「ここが○○です」といった掲示があります (韓国語ですが)。ただ、とにかく半端ない雨でしたので、窓にも夥しく水が流れ、仔細に眺めることが出来なかったのは残念! 一方、正門から見て奥の編成は、後から大宇重工で製作された警護員用の編成で、基本的には日本の国鉄型グリーン車と近似のリクライニングシートが並んでいます。
 というわけで、この2編成が連結されると、あたかもE655系のような構成となります (少々違う? ^^;)。あるいは、この車両が製作された1980年代は、まだまだ北朝鮮による襲撃テロの可能性があった時代ですので (実際80年代には、まだソ連という後ろ盾が続いており、北もジリ貧ながら最悪の経済状態ではなく、急速に富みゆく南に対する挽回策としてラングーン[現ヤンゴン]全斗煥大統領襲撃事件や大韓航空機撃墜事件などを起こしまくったものです)、露払い用のダミー列車を用意したということなのかも知れません。もっとも、本当に大統領が乗っているか否かは、正面に掲げられた大統領の紋章から分かるようになっています。
 そんな、ある意味で激動の1980年代韓国を象徴するような大統領専用編成ですが、覆いを掛けられず雨晒しですので、今や鮮鉄・満鉄系の大統領専用客車と比べて塗装の状態がひどく劣化しつつあります……(もっとも、屋根をかけてしまうとこの偉容は楽しめなくなってしまいますが)。今の政権はいくら所謂「積弊精算」のローソク革命政権であるといっても (景気が悪ければローソクも風前の灯火に他ならず……)、せめて時代の生き証人たる車両にはもう少々目をかけて欲しいものです。