地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

常磐線の旅2018夏 (3) 原発区間代行バス

2018-09-27 00:12:00 | 濃いぃ路線バス&車両


 いわきからの快適極まりない651系普通列車の旅があっという間に終わると、当面の中断点である富岡駅に降り立ちますが、駅そのものは新線同様で、とてもここが7年前に津波に飲み込まれて荒廃していたとは思えません。とはいえ、駅の裏にある巨大な (?) 廃棄物処理プラントと、廃炉作業・復興関係者を最大の顧客と見込んだ真新しいホテルの存在が、ここは津波・原発被災地の最前線であることを示しています。
 そんな富岡駅前で、出発直前までしばし昼寝していた、貸切バス会社・浜通り交通に委託した常磐線代行バス (18きっぷで乗車可) を撮影してみました。JRバスと近似の塗り分けが良い感じです……。なお、浪江駅前は富岡駅前と比べて狭いため、撮るなら富岡駅前がお薦めでしょうか。



 その後、私と甥っ子を含めて10名ほどの客を乗せて発車した代行バスは、真新しい建物が目立つ富岡の街をひとしきり進むと帰還困難区域に入りました。除染された道路であっても結構な線量となり、少々道路から外れると未だに凄まじい線量のようですので (日常的な計測データは福島県等のHPでどうぞ)、窓開けは禁止されています。また代行バスの運行当初、車内を撮影するヲタが余りにも多かったためか、同乗の車掌=ガイドさんから「写真撮影は遠慮願いたい」旨のアナウンスがなされます。
 というわけで、窓外も含めて途中の写真を全く撮っておりません。車窓を眺め続けた感想を一言で申しますと、ある日突然世界が終わるとこうなる……という究極のディストピアを見せつけられるかのようでした。事実上、領土の一部を失っているに等しいことを考えざるを得ません。
 途中ところどころ、近い将来の全通を目指す常磐線の真新しい線路が見え、帰還困難区域内にあるはずの双葉駅も、駅周辺のみ徹底的な除染を進めて再オープンするようです。いやはやそれでも、放射性物質の半減期、そして全滅までの非常に長い時間を考えれば、復興の前途遥かと言わざるを得ないようです。