地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

台湾鈍行の旅 (3) 高雄駅

2005-03-05 13:46:52 | 台湾の鉄道


 話を台湾鉄路局に戻しまして、お目当ての1番目である西部幹線の「冷気平快」は嘉義を約30分遅れで発車しました。発車の時点で、車内の客は何と1両に2~3人という超ガラガラぶりで、そんな8両編成が電気機関車に牽引されて複線を走って行くところは、まさに80年代中頃までの東北線客車鈍行の世界を思い出させてくれます (特に昼間の黒磯~福島間はこんな感じだったなぁ~^^)。そして、ただジョイント音やブレーキ音だけが響く列車に揺られながら、田植えが終わったばかりの田園風景をのんびり眺めたり、デッキのドアを開けて、手すりを強く握って思い切り体を外に出したり (危ないので良い子は真似してはいけません! ^^; )……と、さっそく客車鈍行の喜びを全身に感じまくりました!
 しかし、いかんせん30分遅れで発車したので、このままもっと遅れが拡大し、果たして高雄まで何時間かかることやら……という思いが。ところが、ダイヤ通りなら途中駅で2回あるはずの優等列車待避のための長時間停車が端折られ、しかも究極の挽回策として、台湾名物の単線並列までやってくれました! (要するに、複線を一時的に単線×2という状態にして、速度の違う列車を並走させるという裏技。信号システムはヨーロッパ式に変更した台湾だからこそ出来ることで、私が乗っている列車は最速列車の「自強」に思いっきり抜かされました。ただ、私自身はどうしても、閉塞ミスで対向列車とぶつかるのではないか……という思いが拭えずヒヤヒヤ ^^;)
 そんなわけで、みるみるうちに遅れを回復していった列車は、定刻から僅か3~4分遅れで台南に到着、ここからは一気に車内が高雄に遊びに行く (or台南の大学から高雄に帰る) 若者たちでいっぱいになってしまいました (爆)。台南~高雄間は鈍行でも1時間で、しかも鈍行はものすごく運賃が安いので、特に若者の気軽な足として大いに利用されているのです。というわけで、ガラガラ鈍行の夢はあっけなく崩れてしまいましたが (^^;)、台湾人の乗車マナーは一般的にとても良いので、落ち着いた雰囲気の車内が保たれたまま、何と定刻に (!) 高雄に到着しました。
 高雄駅は現在、新幹線や地下鉄の乗り入れを目指した大改造中で、以前台湾を一周したときに利用した日本時代からの駅舎は数十メートル移動して記念館になってしまい、旧いホームの上屋もあと数年の命と思われます。そんな中、車庫や機関区から出入りしてくる入換は非常に活発で、高雄駅ホームの東寄りに陣取れば、1時間かそこらでも相当シャッターを切りまくることができます (^^)。そしてふと、全盛期の上野駅もこんな感じだったんだろうな……と思ってしまったりして。
 ↑の画像は、鈍行用客車 (かつての座席指定急行用。「冷気平快」はこの車両にクーラーをつけて塗装変更したものです)+2軸無蓋車+キョ光号用客車 (キョ=くさかんむり+呂。キョ光号は自強号の次にエラい、スピード的には特急と急行を足して2で割ったような列車。車内は日本のグリーン車並み) をつなげた、相当無理矢理な組み合わせの配給列車 (?) が駅のはずれに停車しているところに、台北行きのキョ光号が入線してくるシーンです。

台湾鈍行の旅 (2) 阿里山森林鉄道

2005-03-04 22:35:25 | 台湾の鉄道


 北回帰線の街・嘉義といえば、こちらも忘れることはできません。約2000mの高低差を急勾配・スイッチバック・ループ線でよじ登って行く世界屈指のナローゲージ登山鉄道=阿里山森林鉄道です! ただ、この路線はふだん一日一往復しかないので、途中下車して上から下ってくる列車に乗り換えるのでなければ日帰りが出来ないのがツラいところ。しかも今回のテーマは1067mmゲージである台湾鉄路局の鈍行列車ですので、今回阿里山森林鉄道については、嘉義駅の近くにある車庫と、主に団体客がバスで乗り付けて乗車する「北門」駅に停まっている車両を撮影するだけでした (^^;)。
 ↑の画像は北門駅の構内です。ナロー車両と椰子の木、それに背後の高層マンションの組み合わせという、如何にもごった煮な風景は台湾ならではです (^^;)。
 この鉄道、非常に人気があるのでなかなか切符が買えないらしいのですが (立ち席で良ければ直前でも売ってくれます)、是非そのうち乗ってみたいところです。

台湾鈍行の旅 (1) 西部幹線の「冷気平快」

2005-03-02 00:12:29 | 台湾の鉄道


 しばらく更新が止まってしまってすみません。約1週間ほど台湾をぐるっと一周して「鉄」してきました (^^)。特に今回の主なねらいは「客車鈍行」! これまで台湾の鉄道では、日本の国鉄時代の客車列車をナマで覚えておられる方なら誰でも懐かしさで涙が止まらずにはいられないほど素晴らしい客車鈍行シーンが展開していたのですが、やはり近代化・VVVF電車化の流れの中で急速に減ってしまい、ついに台北近辺ではこの1月に完全に消えてしまいました。そこで、辛うじて客車鈍行が生き延びている台湾南部へ向かい、その魅力を味わい尽くしてしまおうというわけです (^o^)。
 まずは台北から一気に特急「自強号」で南下して、北回帰線の街・嘉義へ。ここから南の区間では朝夕を中心に冷房改造された回転クロス車 (SPK2300型。日本のスハ44のノーシルヘッダー版と思って頂ければちょうど良いです。日本製ですし) が走っていますが、白昼堂々と走る唯一の列車を選んで、台湾第2の大都会・高雄まで2時間半の旅を楽しむことにしました。しかし……嘉義で折り返す高雄からの列車は大幅な遅れ! (台湾ではよくあることです) まだかよ……と思いながら、日本植民地時代から多分何も変わっていないホームの光景を眺めること約30分 (爆)、ようやく姿を現したファインダーの中の美しい編成にただ惚れ惚れとしてしまい、危うくシャッターを切るのを忘れそうになりました。(^^;)
 ちなみに、台湾の列車は4階級に分かれていて、速さや車内スペックの違いによって運賃が全く違っています (日本のような、普通運賃に特急・急行料金や指定席料金を加えるというシステムではありません)。この「平快」(敢えて訳せば「安いただの急行」……実際にはこの列車の場合は各駅停車なのですが。^^;) と「普通車」は最低ランクで、冷房がないのが当たり前なのですが、この「冷気平快」の場合は、もともと非冷房だった車両を90年代に冷房改造して一旦1ランク上の「復興」料金適用列車にしたものの、車内スペックの古さゆえに余りにも人気がなく、結局格下げして冷房はそのまま……という、いわば「乗りドク列車」なのです。唯一の難点は、冷房改造の時に窓が固定されてしまったことです。それでも、ドアは手で開け放題! (^^)