地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

うどんよりも琴電 (6) 限定運用の1070形

2006-07-22 12:47:40 | 地方民鉄 (琴電)


 琴電・片原町駅にて約1時間少々、次から次へと怒濤のように到着する電車を脇目もふらず撮り続けたラッシュアワー撮影において、もちろん最大のお楽しみは長尾線の旧型車だったのですが、もう一つの超お楽しみがありました。それは……元京急初代600形あらため1070形のラッシュアワー限定運用です!
 京急600形といえば、もう最近では多くの方が一部青塗装となったVVVF車をただちに連想されるのでしょうが、小さい頃京急沿線でも過ごしたことがある三十路人間 (^^;) にとっては、やはり何と言っても湘南顔・2扉ボックスシートの快速特急御用達車両です! (「快特」ではなくて快速特急 ^^;) 600形は数が少なく、大部分の快速特急は1000形 (これも「旧」をつけなければならないご時世とは……) でやって来ましたので、たまに600形を見かけるだけでも本当に子供ゴコロに嬉しかったですね~(*^^*)。
 そんな600形も、2000形の登場により1980年代に引退し、琴電に6両が拾われて貫通扉付きの正面とロングシートに改造され1070形となりましたが、80年代に入っても琴電が朝のラッシュの賑わいにもかかわらず2扉車を購入したのは、当時の瓦町駅が急カーブで3扉車では乗降に支障をきたしたからだとか。こうしてうどんの国で生き延びた600形=1070形と、4年前の初訪問で久々に再会し、瓦町から琴平まで約1時間の旅を楽しんだときの喜びは今でも忘れません (*^^*)。
 しかし、その後4年間のあいだに一気に1200形が増えた結果、元買収国電・名鉄・三岐・阪神・琴電といろいろな出自を持つ琴電の2扉車は整理されてしまい、最後の2扉車となってしまった1070形も主力の座から降ろされ、次期廃車候補の限定運用に追い込まれてしまいました……。



 この限定運用は、朝8時台に7分半間隔となる琴平線ラッシュ輸送の隠れた名物と言えるもので、一宮・仏生山と高松築港の間を2往復します。JTB『私鉄時刻表』に載っている列車番号によると、3012→3211→3216→3013レがそれに当たります。
 4年前に訪れたときは、元豊川鉄道の買収国電を琴電オリジナル風に更新した810+820と、かつて「こんぴら号」として華々しくデヴューしたという琴電オリジナルのバス窓車1011+1012の4両編成がこの限定運用の指定席に座っていましたが (案の定、その年の冬に初めて開催された電車まつりを最後に廃車……)、まさか1070形がこの限定運用オンリーとなってしまうとは、そのとき全く予想も出来ませんでした (-_-)。
 しかし考えてもみれば、1070形も新造されてから何と今年で50年!! 実はいつ廃車になってもおかしくなかったわけで……。全検か重検あがりでピカピカな姿の1073+1074を見るにつけ、そして片原町での撮影を一通り終えてぱれっとさんと二人で瓦町までの超ショート・トリップを楽しむにつけ、琴電らしく極めて保守整備が行き届いたその姿は全く車齢を感じさせないものでしたが……。少なくとも、今後しばらく京急からの購入車は長尾線用となるとして、その増備が一段落したら次は1070の廃車か、と予想せざるを得ません。
 その、いつか必ずやってくるXデーまでは、何度でも機会を作って琴電を再訪し、大きな窓がズラリと並ぶ優美な姿を記録したいと思っています。

 というわけで、ほとんど千本ノックのようなノリだった片原町激写ミニオフ会はこれにて終了! 仏生山行き入庫車として瓦町を発車する1070形を見送ったあと、長尾線沿線に出勤されるぱれっとさんとお別れしたのでした。過酷な撮影にお付き合い頂きましてどうもありがとうございました~(^o^)。

うどんよりも琴電 (5) 引退迫る長尾線旧型

2006-07-21 11:21:44 | 地方民鉄 (琴電)


 琴電に残る貴重な旧型車のうち、こちらは今月末のダイヤ改正による離脱が決まっていて、残りあと1週間ばかりの運命となってしまった元玉野市営・760号……。引退目前ではありましたが、訪れた日もラッシュアワーの先頭に立って力強く走っていました。このあと築港から折り返して来た電車が片原町を発車して瓦町方面へ向かうところを後追いしようとしたら、上りの築港行き1250にカブられてしまったのは最大の痛恨事でした (T_T)。他の長尾線旧型車に比べれば、760号はどちらかと言うと大人しいスタイルで趣味性は低かったですが、こんなゼイタクなことを言っていられるのも琴電ならでは (^^;)。シルヘッダーつきの2扉車体に正面の張り上げ屋根が特徴的な小型車なんて……やはり絶品もの! こうしてまたひとつ、ローカル私鉄電車らしい車両が消えて行くのは寂しいことですね……。



 いっぽうこちらは、前にご紹介した丸窓復活300号と同じ琴電オリジナル3000形ながら、たぶん来年夏の冷房化100%達成までに消えるといわれている325号。この電車は前回訪れたときも朝から晩までフル稼働しており、旧型車の中では調子が良く出番が多そうな車両だという印象を持っていたのですが、120・300の2両に比べれば、戸袋窓がHゴム化されている分だけインパクトが弱く、300を延命させるための部品取り用としての運命をたどることになるのでしょうか……。
 他にも、この日運用に入っていなかった2両の琴電オリジナル車315・500といい、4年前に訪れたときは走っていたものの既に消えた62 (志度線65と兄弟ながら、やや丸みを帯びた車体)・67 (木造電車を思い出すもっさりとした車体 *^^*) といい、長尾線の旧型車は本当にいろいろな役者揃いでした。
 消えるのはひとえに残念……といっても、やはりサービスの向上は再建途上の琴電にとって急務であり、しかもそれが京急700系によってなされるという京急ファンにとってはうれしい事情もありますので (^^;)、むしろ21世紀の今までこうして走り続けたことの奇跡をありがたく思いつつ、別れを目前に控えた姿を無事記録できることを喜ぶのがファンとして一番無難な態度なのでは……と思っています。

東急8614F「伊豆のなつ」@伊勢崎線

2006-07-19 13:05:39 | 大手民鉄 (東急)


 先週の土曜日は東武宇都宮線を一番のお目当てとして中央林間からひたすら北上したのですが、その途中、宮崎台駅を通過する一瞬のあいだに、8614F「伊豆のなつ」を見かけてしまいました……! そこで念のため『東京時刻表』を取りだしてみたところ、「伊豆のなつ」は11Kとして運用中で、このあと夕方までの間に中央林間~南栗橋・久喜間を2往復することが分かりました。そこで、私の頭の中は一時、宇都宮線の5050系を選ぶのか、それとも伊勢崎線内で終日粘って「伊豆のなつ」の前照灯点灯シーンを選ぶのか……かなり究極の選択に近い世界となってしまったのですが (^^;)、ここはやはり、いつ突然なくなるか分からない宇都宮線の5050系を優先させることにしました。
 しかし、先日も記しましたとおり、5050系は3本が運用に入っていてくれたおかげで、割とテキパキと撮影が進んでしまいました。そこで改めて国谷駅にて時刻表を取りだしてみると……5050系の栃木行きと区間快速を乗り継げば、春日部~久喜周辺にて中央林間発14:39の1411K久喜行を割と余裕を持って出迎えることが出来そう……(^^)。というわけで、フラットがそれなりにひどい5162Fと、トロさにかなりションボリする区間快速 (しかも登山帰りの山岳会という名の不良中高年共がビール片手に大騒ぎでゲンナリ -_-メ) を乗り継いで、トブコに戻ってきました。
 次の問題は、さて8614Fを一体どこで出迎えれば順光で撮影できるかということですが、少々考えて思い出したのが和戸駅西側の線路脇道路。信号柱や保安機器が少々かかってしまいますが、かつての側線用地があるおかげで、十分手前側の空間を確保しつつ、しかも絶対にカブられずに撮影できるというスポットです。炎天下でヘロヘロになりながらも待つことしばし、ダイヤ乱れによる運番変更などもなく、前照灯を輝かせた8614Fのバリバリ順光姿を無事撮影できました (*^o^*)。
 それにしても……左に「伊豆のなつ」、右に関東平野のド真ん中の緑したたる田園風景……。このギャップが和戸駅の楽しみですね (爆)。



 いっぽう、前から「何とか撮れないものか……」と狙っていた、田んぼのど真ん中の走行シーンですが、正面がちの編成写真は架線柱の間隔が非常に狭いためまずムリであることが発覚 (-_-)、サイドから編成の一部を切り取るにしても駅からかなり歩かなければならないため、酷暑に耐えかねて断念 (-_-;;;)。
 そこで、久喜からの折り返しを和戸周辺で撮影する試みはあきらめ、春日部まで戻って撮影してみました。折悪しく急に空が暗くなり、パラパラと小雨が降り始めてしまいましたが……レタッチにレタッチを加えて何とか見られる画像となりました (^^;)。踏切を通過するシーンはまさに東武線内ならではですが、この暗さ。やはりまた出直さなければならないなぁと思っています。
 とまあこんな感じで、たまたま田都線内で目撃出来たからこそ撮影出来た春日部以遠でのシーンですが、次はいつになることやら……。

うどんよりも琴電 (4) 大正浪漫な長尾線旧型

2006-07-18 10:12:07 | 地方民鉄 (琴電)


 さて、琴電シリーズもいよいよ本命に突入! まずは、琴電開業に合わせて大正15年 (1926) に新造されて以来、ヌシとして奇跡的な活躍を続ける1000形 (120) と3000形 (300) です! 
 1000形と3000形、基本的なスペックはほとんど同じで、如何にも大正末期から昭和初期にかけての地方私鉄開業ブーム華やかなりし頃にお金をかけて作られたという感じの、非常に頑丈なリベット車体に独特のプチなセンスが絶妙に組み合わされたスタイルがこの上もない魅力ですが、特に1000形はウインドヘッダーがなく窓の縁が曲線を描いているあたり、素晴らしい気品が漂ってくる電車です (*^^*)。
 しかもこの日は、1日1運用しかない長尾寄り増結 (→現役の長尾線旧型車は長尾寄りが前パンとなるため、旧型車が前パンを振りかざし快走するシーンを見たいと思えばこの運用を狙うしかありません) に120が用いられ、片原町のカーブを行く最高の晴れ姿を記録できてとにかく大満足でした v(^o^)v 後ろに連結されている600形が「ことちゃん遍路号」ではなく標準塗装車だったらなお良し……だったのですが (^^;)、まあこの際ゼイタクを言うべきではないでしょうね (^^;;)。



 いっぽうこちらは3000形・300号。私が前回訪れた頃は余り調子が良くなかったらしく、瓦町の留置線の一番奥や仏生山の車庫で寝ていることが多かったようですが (実際、朝から動いていませんでした)、その後戸袋窓の丸窓復活!と合わせて徹底的なレストアがなされたようで、今ではすっかり増結車の主力として大活躍! 
 そしてこのスタイル、日本車輌製ということもあり、貫通路を塞げば上田交通の丸窓電車・5250形とほとんど全く同じです! (^^) 思い起こせば今からちょうど20年前の夏、上田交通の5250形は1500V昇圧による廃車を控えた最後の活躍をしていましたが、そんな5250形に乗るにつけ「60年間こんな電車が走り続けたなんて奇跡としか言いようがないよなぁ……」と10代ゴコロに思ったものです。しかし、こうして丸窓が復活した兄弟・琴電3000形は、何と車齢80年!! (@o@) シンプルかつ頑丈に作られた古き良き時代の釣掛式電車は、きっちりと保守さえすればいくらでも走ることが出来るんですね……。
 これはまさに、職人技によって発展してきた工業国家日本の近代史をそのまま物語るという意味で、とてつもなく素晴らしい産業遺産だとしか言いようがないのですが、そんな電車に今まで毎日乗ることが出来た高松の皆さんがうらやましすぎ……(暑いしボロいでイヤだと思われているのかも知れませんが ^^;)。
 そして、恐らく来年になると思われる定期運用の冷房化100%達成・旧型車の運用消滅後も、琴電はこの2両の電車を大切に現役で保存し、イベント走行などで活用するようですから、本当に拍手喝采ものです (ありがたや……)。
 でも、やっぱり何気なく日常風景の中で営業運転している姿が一番魅力的なことには違いありませんので、何とか来年までにもう1回くらい行きたいなぁ……と思っています。

うどんよりも琴電 (3) 京急と京王の合体

2006-07-17 13:39:18 | 地方民鉄 (琴電)


 琴電といえばかつては全国各地の私鉄や買収国電を出自とする電車と琴電オリジナル車が自由自在に手を組んで壮観だったといわれます。私が初めて訪れた4年前も辛うじてそういう雰囲気は残っていて、名鉄・阪神・豊川鉄道→国鉄から来た電車たちも入り乱れて琴平線のラッシュアワーをこなしていた光景は楽しかったですね……(*^^*)。
 そんな琴平線も今では京急が圧倒的勢力となり、しかも4年前は走っていなかった1200形が最大勢力となっているのはまさに隔世の感がありますが (^^;)。1200形入線前の最大勢力だった1080形 (元京急1000形) も相変わらず元気な姿で走っておりました。
 実は、この1000形分散冷房車も既に京急からは姿を消しているわけで……。前回の訪問時は1080形がやってくれば「ああそうですか」という気分だったのですが (^^; しかも多くの場合、撮らずに見送ったという……。当時はポジフィルムを使っていたのでもったいなかったという問題もあります)、今回は無性に懐かしさがこみ上げて来ました。何ともはや現金な話です (^^;;



 いっぽう、京急王国の感が非常に強くなった琴平線で、やや異彩を放ちつつも少数精鋭として活躍しているのが、元京王5000系の1100形。4年前は、どうしてもセンスを疑わざるを得ない「コトデンそごう色」でしたが、今では全車カラシ色の琴平線カラーを身にまとっています。う~ん、こちらの方が断然美しいですし、似合っていますね (*^^*)。
 そして、そんな1100形が元京急の1080・1200形と混結しているシーンは、「何でもあり」な琴電編成の古き良き伝統 (?) をこれからも伝えてくれるものになりそうですね。実は、1080形と1100形はどちらも片開き扉+ドア間は3枚の大きな窓というデザインですので、意外と違和感もありません。というわけで、京急と京王の高度成長時代を華麗に彩った車両たちがともに繰り広げるラッシュアワーは、これからも訪れるごとに大きな楽しみとなりそうです (^^
 ……もっとも、今回は長尾線旧型車と1070形に最大の重点を置いていたので、これらの「新型車」は余り撮れなかったのが残念なところです (^^;