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ミステリ感想-『双頭の悪魔』有栖川有栖

1999年06月03日 | ミステリ感想
~あらすじ~
他人を寄せつけず、奥深い山で芸術家たちが創作に没頭する村。
そこに迷い込んだまま戻らないマリアを追い、英都大学推理研の一行は大雨のなか村への潜入を図る。
江神二郎は接触に成功するが、ほどなく橋が濁流に呑まれて交通が途絶。
村の中の江神とマリア。外に残されたアリスたち、内と外、双方が殺人事件に巻き込まれ、各々の真相究明が始まる。 


~感想~
純粋論理の結晶体。たった一つの手がかりから導き出される完璧にして清冽な真相。
しかもそれを徹底したフェアプレイで描く手腕には素直に舌を巻く。
論理ミステリにおける一つの究極の形、到達点であろう。
例によって下手な文章やら、こうるさい衒学味には辟易するが、論理の面白さを求める向きには格好の逸品。
ミステリ史に残る傑作として、長く語られるだろう。


99.6.3
評価:★★★★★ 10
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