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ミステリ感想-『陰摩羅鬼の瑕』京極夏彦

2003年08月12日 | ミステリ感想
~あらすじ~
白樺湖畔にそびえる洋館「鳥の城」は、主の5度目の婚礼を控えていた。
過去の花嫁はすべて何者かの手により婚礼の夜に命を奪われているという。
花嫁を守るよう依頼された探偵・榎木津礼二郎は、小説家・関口巽と館を訪れる。
館に入るなり探偵は叫んだ。――おお、そこに人殺しがいる。

このミス 20位
文春 9位
本格ミステリ・ベスト10 5位


~感想~
喉から手が出かけた待望の新作……も、今回はいつもに比して完成度は下回るか。
ぶっちゃけると「書けそう」と思ってしまった。
いや、無理ですよもちろん。こんなの一生かかったって自分ごときには書けない。
それは百も承知です。
しかし……。50ページで解った犯人・トリックと、どうにも物足りない。
誰の目にも一目瞭然な仕掛けを描くことで、より一層、犯人の哀切を浮き彫りにさせる意図なのだろうが。
メンツはそろわず、事件は入り組まず、細工が解っているだけに論理も切れず……。
氏はもっともっともっともっともっともっともっと……すさまじい話を書ける人なのに。
まあ。要するになにが不満だったかというと。
某助教授の(ネタバレ→)乾電池の話の焼き直しにすぎなかったのが 最たる不満。
あれが念頭にあったため、「同じじゃん」とさっぱり驚けなかった。


03.8.12
評価:★★☆ 5
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