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ミステリ感想-『象と耳鳴り』恩田陸

2004年10月15日 | ミステリ感想
~収録作品~
曜変天目の夜
新・D坂の殺人事件
給水塔
象と耳鳴り
海にゐるのは人魚ではない
ニューメキシコの月
誰かに聞いた話
廃園
待合室の冒険
机上の論理
往復書簡
魔術師

2000年 このミス 6位
1999年 本格ミステリ・ベスト10 5位


~感想~
『曜変天目の夜』
まさかまさかこんな着地をするとは。こういうぶっ飛び方、嫌いじゃない。

『新・D坂の殺人事件』
説教臭い。無根拠。

『給水塔』
奇妙な味わい。

『象と耳鳴り』
魅力的な謎が尻すぼみ。

『海にゐるのは人魚ではない』
こう来たか~。親子のかけ合いが「退職刑事」を思い出させる。

『ニューメキシコの月』
どういうつてで集まったんやろ。

『誰かに聞いた話』
小咄。

『廃園』
気どりすぎ。

『待合室の冒険』
これは秀作。謎の提示もなにもないうちに、あれよあれよと解決に持ち込まれる。

『机上の論理』
楽屋オチかよ。

『往復書簡』
趣向をまったく活かしきっていない。結末も余分。なによりこんな手紙ありえねえ。

『魔術師』
……いや、お地蔵は?


~総括~
退職オヤジが主人公というだけでも『退職刑事』を思い起こさせるのに、物語の描き方も意識しているよう。
これは作者の姿勢なのだろうが、筆致に温かさがまったくといっていいほどに感じられない。
無機質な、冷徹な目線で高所からすべてが見下ろされている感。普通の凡人をあざける数々の言動・描写。
好きになれない。


04.10.15
評価:★★☆ 5
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