~あらすじ~
謎のアイドル「ドミノ」を探すことになった"おれ"と、次々と有名人を自殺に見せかけて手に掛ける殺し屋の"わたし"。
"おれ"はガセネタをつかまされながらも、次第に「ドミノ」の正体に迫り、そして当然のごとく"わたし"に接近していく。一見つながりそうもない"おれ"と"わたし"が交錯したとき、「ドミノ」を追う"おれ"の冒険譚(?)は、戦時中ある軍人がドイツから日本へ持ち帰ろうとした最終兵器「ゲッベルスの贈り物」の正体をめぐる思いも寄らない方向へ飛び――。
~感想~
おそらく普通に読んでしまっては、不満が多々出てしまうことだろう。ツッコミを入れながら気楽に読み進めていくのが吉。
ツッコミどころは満載。"おれ"の探偵パートに次々と現れる奇矯な人物たち。あ然とさせられる真犯人の犯行動機。最後の最後まで引っぱった「ゲッベルスの贈り物」の正体はもののついでのようにただの一言で片づけられ「それが主眼じゃなかったの!?」と驚かされる。そしてなんといっても目を疑わされるのは、全く必要のなさそうなあのトリック。まさに読者を驚かせるためだけに用意された悪巧みで、呆然としてしまうこと請け合い。
バカミスと称される本作だが、伏線の張り方といいミスディレクションの巧みさといい、実は非常によくできている。特に読者の騙し方は一級品で、大半の読者はそこにトリックが隠されていることにすら気づかないだろう。よくよく振り返ってみれば余計な贅肉の少ない、ほとんどの描写が伏線とミスディレクションを張るために費やされた構造。
それでも「端整な」という言葉がまったく似合わないのは、軽妙(とはまた違うのだが小気味いい、例えるならヘタウマ)な文体のおかげだろう。
あまり"普通じゃない"ミステリを読みたい方には強くオススメしたい。
06.3.27
評価:★★★ 6
謎のアイドル「ドミノ」を探すことになった"おれ"と、次々と有名人を自殺に見せかけて手に掛ける殺し屋の"わたし"。
"おれ"はガセネタをつかまされながらも、次第に「ドミノ」の正体に迫り、そして当然のごとく"わたし"に接近していく。一見つながりそうもない"おれ"と"わたし"が交錯したとき、「ドミノ」を追う"おれ"の冒険譚(?)は、戦時中ある軍人がドイツから日本へ持ち帰ろうとした最終兵器「ゲッベルスの贈り物」の正体をめぐる思いも寄らない方向へ飛び――。
~感想~
おそらく普通に読んでしまっては、不満が多々出てしまうことだろう。ツッコミを入れながら気楽に読み進めていくのが吉。
ツッコミどころは満載。"おれ"の探偵パートに次々と現れる奇矯な人物たち。あ然とさせられる真犯人の犯行動機。最後の最後まで引っぱった「ゲッベルスの贈り物」の正体はもののついでのようにただの一言で片づけられ「それが主眼じゃなかったの!?」と驚かされる。そしてなんといっても目を疑わされるのは、全く必要のなさそうなあのトリック。まさに読者を驚かせるためだけに用意された悪巧みで、呆然としてしまうこと請け合い。
バカミスと称される本作だが、伏線の張り方といいミスディレクションの巧みさといい、実は非常によくできている。特に読者の騙し方は一級品で、大半の読者はそこにトリックが隠されていることにすら気づかないだろう。よくよく振り返ってみれば余計な贅肉の少ない、ほとんどの描写が伏線とミスディレクションを張るために費やされた構造。
それでも「端整な」という言葉がまったく似合わないのは、軽妙(とはまた違うのだが小気味いい、例えるならヘタウマ)な文体のおかげだろう。
あまり"普通じゃない"ミステリを読みたい方には強くオススメしたい。
06.3.27
評価:★★★ 6