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ミステリ感想-『法月綸太郎の本格ミステリ・アンソロジー』

2006年04月11日 | ミステリ感想
~感想~
新本格派ナンバーワンの論客・法月綸太郎が日米英の傑作を編んだアンソロジー。
北村薫・有栖川有栖につづく第三弾。ごった煮のように様々な作品を集めた北村、本格物にこだわった有栖川、そして法月はいかにも氏らしい作品を集めてみせた。
正直言って、シリーズ中で最も肌に合わなかった。例えるなら、頭のいい人が小難しい哲学書を読んで爆笑しているような。単純に面白いと思えるものが少ない。また、ごく個人的な問題だが、欧米作品の翻訳文が僕の大嫌いな文体で――1:文意がなにを言っているのかすらつかみづらい 2:(  )付けで状況を説明する 3:専門用語のオンパレード――読み通すことからして辛かった。
いちいち感想を述べてみると、


『ミスター・ビッグ』――ウディ・アレン
これを笑って読む人とはあまり友達になりたくない。

『はかりごと』――小泉八雲
これ知ってる。

『動機』――ロナルド・A・ノックス
一番嫌いな部類の翻訳文。

『消えた美人スター』――C・デイリー・キング
トリックに唸る以前に現状が解りづらい。

『密室』――ジョン・スラデック
いまだにオチが解りません。

『白い殉教者』――西村京太郎
同人ミステリの域を出まい。

『ニック・ザ・ナイフ』――エラリー・クイーン
一番良かったかも。

『誰がベイカーを殺したのか?』――エドマンド・クリスピン
これも文意をつかむのに一苦労。

『ひとりじゃ死ねない』――中西智明
事前にああだこうだ言うからあっさりトリックが解ってしまった。

『脱出経路』――レジナルド・ヒル
これは面白かった。ミステリじゃないけど。

『偽善者の経歴』――大平健
これも良かった。ミステリじゃないけど。

『死とコンパス』――ホルヘ・ルイス・ボルヘス
なにがなんだか解らない。

アホ丸出しの感想になったが、いかにも評論家が「これぞミステリ!」とオススメしそうな代物ばかりで、辟易してしまったのが正直なところ。とにかく娯楽性に乏しかった。
全く関係ないが「アルファがベータをカッパらったらイプシロンした。なぜでしょう?」というクイズに爆笑するドラえもんを連想しました。


06.4.11
評価:★ 2
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