~あらすじ~
優しく触れようとしても壊してしまう、大人になりきれない子どもたちは、暗い恋の闇路へと迷い込んでしまった…。同じ大学に通う仲間、浅葱と狐塚、月子と恭司。彼らを取り巻く一方通行の片想いの歯車は、思わぬ連続殺人事件と絡まり、悲しくも残酷な方向へと狂い始める。掛け違えた恋のボタンと、絶望の淵に蹲る殺人鬼の影には、どんな結末が待っているのか。
※コピペ
~感想~
揺るぎない筆、揺らぐ世界。
トリックに驚いたものの、真相にはげんなりしたが、結末で見事に挽回。終わりよければ全てよしといったところ。
例によって二冊にわたる長編だが、この作者は長編を描きなれている。その筆は揺らぐことなく的確に描写を重ね、地味な話を決してだれさせない。
今までになく猟奇的な、ある種、類型的な事件が進行するが、トリックは思いもよらないところから現れる。巧妙にちりばめられた不自然さの理由が明かされたとき、同時に物語がはらんでいた悲哀が立ちのぼり、悲劇が生まれる。
だが構成の妙、トリックのキレと比してつづく真相は正直がっかり。あの映画の真似がしたかったのだろうかと思うようなげんなりの場面が流れたところで、見事な着地。全てをきれいに締めくくってくれた。いつもながらに辻村ミステリは期待を裏切らない。
これだけの力を持った作家がこうも注目されていないのは本当に惜しい限りだ。
08.8.22 上巻
08.8.28 下巻
評価:★★★★☆ 9
優しく触れようとしても壊してしまう、大人になりきれない子どもたちは、暗い恋の闇路へと迷い込んでしまった…。同じ大学に通う仲間、浅葱と狐塚、月子と恭司。彼らを取り巻く一方通行の片想いの歯車は、思わぬ連続殺人事件と絡まり、悲しくも残酷な方向へと狂い始める。掛け違えた恋のボタンと、絶望の淵に蹲る殺人鬼の影には、どんな結末が待っているのか。
※コピペ
~感想~
揺るぎない筆、揺らぐ世界。
トリックに驚いたものの、真相にはげんなりしたが、結末で見事に挽回。終わりよければ全てよしといったところ。
例によって二冊にわたる長編だが、この作者は長編を描きなれている。その筆は揺らぐことなく的確に描写を重ね、地味な話を決してだれさせない。
今までになく猟奇的な、ある種、類型的な事件が進行するが、トリックは思いもよらないところから現れる。巧妙にちりばめられた不自然さの理由が明かされたとき、同時に物語がはらんでいた悲哀が立ちのぼり、悲劇が生まれる。
だが構成の妙、トリックのキレと比してつづく真相は正直がっかり。あの映画の真似がしたかったのだろうかと思うようなげんなりの場面が流れたところで、見事な着地。全てをきれいに締めくくってくれた。いつもながらに辻村ミステリは期待を裏切らない。
これだけの力を持った作家がこうも注目されていないのは本当に惜しい限りだ。
08.8.22 上巻
08.8.28 下巻
評価:★★★★☆ 9