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ミステリ感想-『名探偵は最終局に謎を解く』戸松淳矩

2008年08月02日 | ミステリ感想
~あらすじ~
おばけ屋敷で発見した首吊り死体。
だが警察が駆けつけると死体は消え失せていた。
指物職人の圭次郎が取り調べを受けたのを皮切りに、圭次郎の親方が入院し、その病院で火事が起き、ロビーの時計が盗まれ、かわりに稲穂が残されていて……と、不可解な事件が相次ぐ。
江戸の稲田小僧が現代に復活したのか!?


~感想~
前二作ほどの切れ味はないが、それでも膝を打たせる細工はあいかわらずの冴え。
探偵役が作品ごとに代わる趣向で、登場人物も主役の3人以外は入れ替わるのに、これほどまでに魅力的に描き、なおかつそれを使い捨ててしまうのだから恐れ入る。
これも30年近く前の作品だが、名作は古びない。本格冬の時代にひっそりと咲いた佳作である。
解説によると作者は新作を執筆しているようだが、このシリーズだとしたら非常に楽しみだ。


08.8.2
評価:★★★ 6
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