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小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『花と流れ星』道尾秀介

2009年09月02日 | ミステリ感想
~収録作品~
流れ星のつくり方
モルグ街の奇術
オディ&デコ
箱の中の隼
花と氷


~感想~
真備シリーズ初の短編集……なのだが、別にノンシリーズでもなんの差し障りもないくらい、真備シリーズらしさは感じられない。
というか、せっかくシリーズに属するのに、霊現象がろくすっぽ起きないのが納得いかない。これでは単に事件が持ち込まれやすい職業だからという理由で、真備シリーズになっただけではないか。
とりあえずそのあたりは措いといて、個々の出来はどうかといえば、目ざましい傑作こそないものの、それなりの水準は保っている。
出色といえるのは「箱の中の隼」で、題材こそいまどき新興宗教だが、大量の伏線を凝らした、鋭い一編である。
しかし他の作品は、それこそ長年このシリーズを書いてきた作者がファンサービス的に肩の力を抜いてものしました的な(初の短編集にもかかわらず)、キャラ性を前面に押し出したものまで見受けられ、いまいち物足りない。道尾(作中人物)の造型が地味な石岡和己といったところなのも目新しさがない。
ノンシリーズの「鬼の跫音」といい、この作者、実は短編はさほど得意ではないのだろうか……と個人的には思えてしまった。


09.8.30
評価:★★★ 6
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