~あらすじ~
招待状を手に芸大生の西大寺俊は黒鳥館と名づけられた壮麗な洋館に赴く。招待客は全員無作為に選ばれたという。ウェルカムドリンクを主人から受け取った西大寺は、館内の完全な密室で怪死。復讐の館を舞台とした凄惨な連続殺人の火蓋が切って落とされる。
~感想~
「やりすぎ感ただよう」という表現は、本格ミステリという「やりすぎ感」が求められる分野ではだいたいにおいて褒め言葉として使われるものだが、それも「やりすぎ感」で済まずに「明らかにやりすぎ」なところまで行ってしまうと、感心を通り越して怖くなってしまうものである。
今作のやりすぎっぷりと来たらもう、作者が倉阪鬼一郎でなかったら精神状態を心配したくなるような有様で、よくいえば偏執的、悪く言えば大馬鹿野郎なバカトリックが連鎖反応を起こして爆発する。
なんせ巻末の著作リストに自ら嬉々として(?)バカミスマークを付けてしまうような確信犯のやることだから、想像を絶する、想像するだにクソ面倒そうなバカトリックが(それも何重に!)張りめぐらされており、好きな人にはたまらない。
一方でおそらく大半の、そして常識的な読者は「可燃ゴミ」と判断するか、あるいは「ストーカーが編んだ手作りセーター」を見たような空恐ろしさを覚えることだろう。
とんでもないバカミスを読みたい方は必見、それ以外の方は委細承知の上で手にとっていただきたい、破格のバカミスである。
……それにしても、やっぱり『紙の碑に泪を』は倉阪氏にしては手を抜いていたよなあ、と思わざるを得ない。
09.9.21
評価:★★★★ 8
招待状を手に芸大生の西大寺俊は黒鳥館と名づけられた壮麗な洋館に赴く。招待客は全員無作為に選ばれたという。ウェルカムドリンクを主人から受け取った西大寺は、館内の完全な密室で怪死。復讐の館を舞台とした凄惨な連続殺人の火蓋が切って落とされる。
~感想~
「やりすぎ感ただよう」という表現は、本格ミステリという「やりすぎ感」が求められる分野ではだいたいにおいて褒め言葉として使われるものだが、それも「やりすぎ感」で済まずに「明らかにやりすぎ」なところまで行ってしまうと、感心を通り越して怖くなってしまうものである。
今作のやりすぎっぷりと来たらもう、作者が倉阪鬼一郎でなかったら精神状態を心配したくなるような有様で、よくいえば偏執的、悪く言えば大馬鹿野郎なバカトリックが連鎖反応を起こして爆発する。
なんせ巻末の著作リストに自ら嬉々として(?)バカミスマークを付けてしまうような確信犯のやることだから、想像を絶する、想像するだにクソ面倒そうなバカトリックが(それも何重に!)張りめぐらされており、好きな人にはたまらない。
一方でおそらく大半の、そして常識的な読者は「可燃ゴミ」と判断するか、あるいは「ストーカーが編んだ手作りセーター」を見たような空恐ろしさを覚えることだろう。
とんでもないバカミスを読みたい方は必見、それ以外の方は委細承知の上で手にとっていただきたい、破格のバカミスである。
……それにしても、やっぱり『紙の碑に泪を』は倉阪氏にしては手を抜いていたよなあ、と思わざるを得ない。
09.9.21
評価:★★★★ 8