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ミステリ感想-『笑う警官』佐々木譲

2014年01月09日 | ミステリ感想
~あらすじ~
札幌市内のアパートで婦人警官の死体が発見された。道警は犯人を彼女の交際相手の津久井と断定し射殺命令を下す。
捜査から外された佐伯はかつて、おとり捜査で組んだ津久井の潔白を証明するため、有志とともに独自の捜査チームを結成する。
05年このミス5位、文庫化を機に「うたう警官」から改題。


~感想~
無実の警官の冤罪を晴らすため刑事たちがチームを結成するという話の筋は単純だが、それゆえにわかりやすくスピーディな展開を楽しめる。
タイムリミットを設定し24時間足らずで物語を終わらせたのも良好で、刑事 VS 刑事の駆け引きという独自性に、地道な聞き込みと経験や直感による普遍的な捜査がほどよく融け合う。
神算鬼謀の佐伯を中心に、不祥事の巻き添えで閑職に追いやられたベテラン刑事や初々しい新米刑事、PC知識と女性らしい判断力と情報網で佐伯を補佐するバツイチ婦人警官と、チームのメンバーも個性豊か。続編も2つ出ており彼らのさらなる活躍も読まなくてはなるまい。
余談だが映画ファンの端くれとして、映画化に際し角川春樹御大が「150万人動員できなかったら引退する」とメガホンをとったものの10万人にも満たない爆死を遂げた話も見逃せない。
単なる刑事小説としてはもちろん、謀略小説、推理小説と幅広い読み方を受け入れる懐の深い良作でした。


13.1.9
評価:★★★☆ 7
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