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ミステリ感想-『神様の値段 戦力外捜査官2』似鳥鶏

2014年04月02日 | ミステリ感想
~あらすじ~
連続放火事件に端を発し、カルト宗教団体が企むハルマゲドン。
例によって戦力外を通告された海月と設楽は捜査を尻目に本庁のお掃除に励むが、くだんのカルト団体には設楽の妹が入信していた。
はたして戦力外の二人は首都に忍び寄る最悪の無差別テロを防げるのか。


~感想~
重い。重いよ。
まさかのドラマ化が叶い、ドラマから入った視聴者が真っ先に手に取るだろう作品なのに、エピソードが重すぎ、そしてありきたりすぎる。
明るくコメディタッチな外見と裏腹に、前作では少女殺害が、他シリーズでも幼女殺害犯やら国家転覆罪レベルの陰謀やらが飛び出す、犯人の凶悪さなら京極夏彦作品にも引けをとらない似鳥作品ながら、見飽きたくらい典型的かつ安直なカルト宗教の死ぬほど類型的な陰謀と、自業自得とはいえそれにはまってしまう少女の悲劇をいつもの調子で容赦なく描くのはちょっとタイミングが悪かった。
冒頭の市井の人々の活躍を示唆する演出は引きが上手く、意外と巧みなバトル描写も多めで、海月警部の暗躍も楽しいのだが、いかんせんトリックやロジックはもちろんのこと、前作にあった物語としての裏切りや意外性といったものがほぼ皆無。
海月も腹黒く立ち回りはするものの、鋭い推理を見せる場面もあまり無く、単なるドジっ娘を主人公にした(でもいろいろ重い)刑事小説なんぞ、新進気鋭の作者がこの大事な時にわざわざ書く意味は無いと思うのだが。


14.3.31
評価:★★☆ 5
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