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ミステリ感想-『聯愁殺』西澤保彦

2014年06月14日 | ミステリ感想
~あらすじ~
4年前、私はなぜ見知らぬ男に襲われたのか――。
事件のトラウマに悩まされる梢絵は、担当刑事の勧めで「恋謎会」に赴く。
そこでミステリ作家、犯罪心理学者、元刑事らが繰り広げる推理合戦の果てにたどり着く驚愕の真相とは?

2002年本格ミステリ大賞候補、本ミス9位、1990年鮎川哲也賞候補


~感想~
無いわー。これは無いわー。コレジャナイ。思ってたんと違ーーう!!

どうやら本作に取り掛かるにあたっての姿勢が間違っていたようだ。
傑作「丸太町ルヴォワール」のような問題編2割、解決編8割で喧々諤々の推理合戦のさなかに仮定が崩れ、意外な伏線が明かされ、思いもよらない仕掛けが飛び出すような作品かと思っていたら、まず問題編からして全体の1割にも満たず、推理が始まってから読者が知りようもない新事実が次々と現れるのはもちろん、そもそもの設定自体が小出しにされていく構成。
そして最終最後の解決編が新事実のオンパレードで、前提条件のほとんどをひっくり返してしまい、悪い意味で度肝を抜かれた。
驚いたには驚いたが、こういう驚き方を望んでいたわけではなく、これまでの展開や推理をまとめて無効化し、ジャンルごと変えてしまったような豪快な力業にドン引きしてしまったのだ。
とはいえ終わってみればいかにも西澤保彦らしい幕引きで、推理合戦も(小出しにされる新事実をアンフェアと思わなければ)二転三転し、作者の評価を下げるだけの余計なジェンダー論も皆無と、僕のように偏った先入観を持たず、無心で読めば楽しめることだろう。


14.6.10
評価:★☆ 3
コメント (2)