~あらすじ~
1989年、最果ての図書館。彼女は一瞬にして短剣で刺された。
1243年、フランス・瑠璃城。6人の騎士は首を切られ、空を飛んだように遠くの湖で発見された。
1916年、ドイツとフランスの国境。塹壕の中で発見された4つの首無し死体は一瞬で姿を消した。
生まれ変わり続ける男女と、彼らを呪う6本の短剣が紡ぐ運命とは?
~感想~
デビュー作「『クロック城』殺人事件」をさらにエスカレートさせた生粋の厨二病ミステリ。
冒頭からして不治の病を抱えた少女と、生まれ変わりを訴える男にクールな司書に天然気味の図書館員(全員DQNネーム)が寒いセリフを応酬するホットスタート。その中で唯一、美希といういたって普通の名前で無個性な女子大生が浮いているなあと思ったのも束の間、舞台はフランス・瑠璃城に飛び、6人の騎士が宙を舞ったように遠くの湖で首無し死体で発見される。
だいたいこんなトリックだろうなあと見当つけたのも束の間、今度は世界大戦まっただなかの塹壕戦へ。なかなかセンスの良い(というか厨二センスがはまった)軍人らしい会話が続き、合間に首無し死体が出たり消えたり、と展開は目まぐるしい。
時代も舞台も次から次へと変わるものの「男女に生まれ変わりと互いを殺し合う運命を強いる6本の短剣」という厨二病全開の素敵すぎるアイテムを軸に、求め合い殺し合う恋人たちの悲哀を描くファンタジーミステリとして一本筋が通っているので、混乱はしない。
物語も唐突に降って湧いたように現れるそのものずばりの探偵や、取ってつけたように起こるのに必要以上に凄惨な密室殺人、ピタゴラスイッチの旗が上がりそうな死ぬほど単純な物理トリックで彩られ、3つの事件をメタな力業でまとめて解決し、月面の人面岩か何かを思い出させるロールシャッハテストで幕を閉じるまでわずか214ページとスピード感抜群。
なんだかんだで個人的には非常に楽しく読めたが、やはり人は選ぶだろう作品である。
14.6.13
評価:★★☆ 5
1989年、最果ての図書館。彼女は一瞬にして短剣で刺された。
1243年、フランス・瑠璃城。6人の騎士は首を切られ、空を飛んだように遠くの湖で発見された。
1916年、ドイツとフランスの国境。塹壕の中で発見された4つの首無し死体は一瞬で姿を消した。
生まれ変わり続ける男女と、彼らを呪う6本の短剣が紡ぐ運命とは?
~感想~
デビュー作「『クロック城』殺人事件」をさらにエスカレートさせた生粋の厨二病ミステリ。
冒頭からして不治の病を抱えた少女と、生まれ変わりを訴える男にクールな司書に天然気味の図書館員(全員DQNネーム)が寒いセリフを応酬するホットスタート。その中で唯一、美希といういたって普通の名前で無個性な女子大生が浮いているなあと思ったのも束の間、舞台はフランス・瑠璃城に飛び、6人の騎士が宙を舞ったように遠くの湖で首無し死体で発見される。
だいたいこんなトリックだろうなあと見当つけたのも束の間、今度は世界大戦まっただなかの塹壕戦へ。なかなかセンスの良い(というか厨二センスがはまった)軍人らしい会話が続き、合間に首無し死体が出たり消えたり、と展開は目まぐるしい。
時代も舞台も次から次へと変わるものの「男女に生まれ変わりと互いを殺し合う運命を強いる6本の短剣」という厨二病全開の素敵すぎるアイテムを軸に、求め合い殺し合う恋人たちの悲哀を描くファンタジーミステリとして一本筋が通っているので、混乱はしない。
物語も唐突に降って湧いたように現れるそのものずばりの探偵や、取ってつけたように起こるのに必要以上に凄惨な密室殺人、ピタゴラスイッチの旗が上がりそうな死ぬほど単純な物理トリックで彩られ、3つの事件をメタな力業でまとめて解決し、月面の人面岩か何かを思い出させるロールシャッハテストで幕を閉じるまでわずか214ページとスピード感抜群。
なんだかんだで個人的には非常に楽しく読めたが、やはり人は選ぶだろう作品である。
14.6.13
評価:★★☆ 5