~あらすじ~
柳瀬さんが卒業するまであと3日。
八番目の七不思議とも呼ばれる「兼坂(んねさか)さん」が出没し、葉山君は調査に追われる。
卒業生たちも関わったこの謎を卒業前に解けるのか? そして、柳瀬さんにあのことを伝えられるのか?
~感想~
シリーズ第7弾。柳瀬さんがついに卒業式を迎える。
は? 俺達の柳瀬さん(の眼鏡)は2作も前に卒業したんだが?
いやまあ前作までは酷いハンコ絵(※私見です)だったが、本作の表紙くらい描けてるなら今の方でも問題ない。
toi8さん(※前イラスト担当)の亜理紗ちゃんは見たかったけどな!!!!!
私怨はこのくらいとして、ついに柳瀬さんが卒業である。ヒロインが卒業だ。大変なことだ。
そもそもシリーズ二作目で名探偵が卒業するという異例の青春ミステリだから今さらだが、そんなことよりも読者は目次を見て目が点になることだろう。
12年後?? 魔導学院?? 似鳥鶏なにを考えてるの??
読み始めるともっと目が点になる。途中で完全無欠のファンタジーパートが始まり、剣と魔法が学園で魔物が魔神で詠唱な王道……というか嫌に凝った設定の黒歴史そのものの物語が繰り広げられるのだ。
これがもうむちゃくちゃ読みづらい。ふんだんにルビを入れた詠唱魔法や無国籍の名前が入り乱れ、剣と魔法が学園で魔物が魔神で詠唱なのだ。これは痛い。
しかもただのファンタジーではなく、登場人物たちは同級生たちをモデルにしており(痛い痛い痛い痛い)名前もそれをもじっていて(やめてやめてやめて)中高生の頃になにがしかの創作を志した読者は全員が深刻なダメージを負うことだろう。
精神的苦痛はもとより、これ一回こっきりしか出てこないとわかりきっている設定・物語をいちいち覚えるのも苦痛で、とにかくこのパートが進まない。
そのくせ本筋の事件には、密接な関わりがあるといえばあるのだが、だからといってファンタジーである必要性はまるで存在せず、青春ミステリの(しかも7作も続いてるシリーズ作品の)途中で王道ファンタジーが始まるという強烈な仕掛けを思いついてしまったからには、書かずにはいられなかったという作者の思いのほうが強く伝わってきてしまう。
話が長くなったが、本筋の事件はどうかといえば、これがもうとにかく小粒。
いやもちろん曲者の作者だからただでは終わりはしないが、一つ一つのトリックは「よくぞこれで鮎川哲也賞に挑みデビューにこぎ着けたな」と別の意味で感心させたデビュー作を思い出すくらい小粒である。
それよりなにより重要なのは、シリーズの裏に隠されていたある事実と、先輩・後輩・実妹の三人で火花を散らしていた葉山君の正妻争いのほうである。こちらはシリーズファンならば絶対必読の代物で、期待は裏切らない。
……途中でそんなことよりもっと重要な、これから先どんな顔して読めばいいんだよと思うような爆弾が炸裂しているが気にするな。
思い入れの強い作品なのでだらだら書いてしまったが、単品で取り出すとイロモノかつ小粒なトリックの連打でどうしても微妙な内容ではあるのだが、シリーズファンにはたまらない、そして絶対避けては通れない一作である。
21.3.23
評価:★★★ 6
柳瀬さんが卒業するまであと3日。
八番目の七不思議とも呼ばれる「兼坂(んねさか)さん」が出没し、葉山君は調査に追われる。
卒業生たちも関わったこの謎を卒業前に解けるのか? そして、柳瀬さんにあのことを伝えられるのか?
~感想~
シリーズ第7弾。柳瀬さんがついに卒業式を迎える。
は? 俺達の柳瀬さん(の眼鏡)は2作も前に卒業したんだが?
いやまあ前作までは酷いハンコ絵(※私見です)だったが、本作の表紙くらい描けてるなら今の方でも問題ない。
toi8さん(※前イラスト担当)の亜理紗ちゃんは見たかったけどな!!!!!
私怨はこのくらいとして、ついに柳瀬さんが卒業である。ヒロインが卒業だ。大変なことだ。
そもそもシリーズ二作目で名探偵が卒業するという異例の青春ミステリだから今さらだが、そんなことよりも読者は目次を見て目が点になることだろう。
12年後?? 魔導学院?? 似鳥鶏なにを考えてるの??
読み始めるともっと目が点になる。途中で完全無欠のファンタジーパートが始まり、剣と魔法が学園で魔物が魔神で詠唱な王道……というか嫌に凝った設定の黒歴史そのものの物語が繰り広げられるのだ。
これがもうむちゃくちゃ読みづらい。ふんだんにルビを入れた詠唱魔法や無国籍の名前が入り乱れ、剣と魔法が学園で魔物が魔神で詠唱なのだ。これは痛い。
しかもただのファンタジーではなく、登場人物たちは同級生たちをモデルにしており(痛い痛い痛い痛い)名前もそれをもじっていて(やめてやめてやめて)中高生の頃になにがしかの創作を志した読者は全員が深刻なダメージを負うことだろう。
精神的苦痛はもとより、これ一回こっきりしか出てこないとわかりきっている設定・物語をいちいち覚えるのも苦痛で、とにかくこのパートが進まない。
そのくせ本筋の事件には、密接な関わりがあるといえばあるのだが、だからといってファンタジーである必要性はまるで存在せず、青春ミステリの(しかも7作も続いてるシリーズ作品の)途中で王道ファンタジーが始まるという強烈な仕掛けを思いついてしまったからには、書かずにはいられなかったという作者の思いのほうが強く伝わってきてしまう。
話が長くなったが、本筋の事件はどうかといえば、これがもうとにかく小粒。
いやもちろん曲者の作者だからただでは終わりはしないが、一つ一つのトリックは「よくぞこれで鮎川哲也賞に挑みデビューにこぎ着けたな」と別の意味で感心させたデビュー作を思い出すくらい小粒である。
それよりなにより重要なのは、シリーズの裏に隠されていたある事実と、先輩・後輩・実妹の三人で火花を散らしていた葉山君の正妻争いのほうである。こちらはシリーズファンならば絶対必読の代物で、期待は裏切らない。
……途中でそんなことよりもっと重要な、これから先どんな顔して読めばいいんだよと思うような爆弾が炸裂しているが気にするな。
思い入れの強い作品なのでだらだら書いてしまったが、単品で取り出すとイロモノかつ小粒なトリックの連打でどうしても微妙な内容ではあるのだが、シリーズファンにはたまらない、そして絶対避けては通れない一作である。
21.3.23
評価:★★★ 6