~あらすじ~
近未来、少子化対策のため妊娠・出産はAUという人工子宮に委ねられた。
そんな中で自力での自然な妊娠・出産を志した妊婦たちは、通称バルーン・タウンと呼ばれる特別区で共同生活を営む。
部外者の出入りは厳重に監視され、安全を確立された街でも、事件は起こる。
1994年このミス15位、本格ベスト57位
~感想~
現在ならいわゆる特殊設定ミステリの枠組みにすんなり入れるが、出版当時はその先駆け的存在である山口雅也「生ける屍の死」は2年前に発売されたばかりで、西澤保彦のSFミステリすら出ていなかった(※4年後)ため、SF雑誌に投稿されたという。
だがそこで評判を呼びシリーズ化され、このミスと本格ベスト100で高評価された。
だが名探偵が謎を解くオーソドックスなミステリではあるものの、元来がSFとして投じられただけはあり、妊婦だけの街の日常や、自然妊娠が異常と見なされる世界観を描くために描写は丁寧で、翻ってミステリとして見ればかなり冗長。
この「もともとミステリとして書かれていない」点がミステリとして読むとネックで、重要な手掛かりが解決編で無から急に生えてきたり、妊婦の世界での常識が説明無しで現れたり(これはバルーン・タウンの常識と外の世界の常識を対比させるための手法だろうが、こちらも手掛かりが無から生えてくる)するのが困ったところ。
また3編目の「亀腹同盟」ではホームズ短編の「赤髪連盟」・「六つのナポレオンの胸像」・「踊る人形」の3作を思いっきりネタバレしているのも厳しい。
まあミステリ界の常識・フェアプレイをSFに当てはめるのは横暴だが、このミスや本格ベスト100でランクインしているのだから、手掛かりやネタバレはもう少しどうにかして欲しかったと思いたくもなるではないか。
ミステリ界でも高評価されているが、主題はそこにないためくれぐれも本格ミステリとしては読まないことをおすすめする。
21.7.10
評価:★★☆ 5
近未来、少子化対策のため妊娠・出産はAUという人工子宮に委ねられた。
そんな中で自力での自然な妊娠・出産を志した妊婦たちは、通称バルーン・タウンと呼ばれる特別区で共同生活を営む。
部外者の出入りは厳重に監視され、安全を確立された街でも、事件は起こる。
1994年このミス15位、本格ベスト57位
~感想~
現在ならいわゆる特殊設定ミステリの枠組みにすんなり入れるが、出版当時はその先駆け的存在である山口雅也「生ける屍の死」は2年前に発売されたばかりで、西澤保彦のSFミステリすら出ていなかった(※4年後)ため、SF雑誌に投稿されたという。
だがそこで評判を呼びシリーズ化され、このミスと本格ベスト100で高評価された。
だが名探偵が謎を解くオーソドックスなミステリではあるものの、元来がSFとして投じられただけはあり、妊婦だけの街の日常や、自然妊娠が異常と見なされる世界観を描くために描写は丁寧で、翻ってミステリとして見ればかなり冗長。
この「もともとミステリとして書かれていない」点がミステリとして読むとネックで、重要な手掛かりが解決編で無から急に生えてきたり、妊婦の世界での常識が説明無しで現れたり(これはバルーン・タウンの常識と外の世界の常識を対比させるための手法だろうが、こちらも手掛かりが無から生えてくる)するのが困ったところ。
また3編目の「亀腹同盟」ではホームズ短編の「赤髪連盟」・「六つのナポレオンの胸像」・「踊る人形」の3作を思いっきりネタバレしているのも厳しい。
まあミステリ界の常識・フェアプレイをSFに当てはめるのは横暴だが、このミスや本格ベスト100でランクインしているのだから、手掛かりやネタバレはもう少しどうにかして欲しかったと思いたくもなるではないか。
ミステリ界でも高評価されているが、主題はそこにないためくれぐれも本格ミステリとしては読まないことをおすすめする。
21.7.10
評価:★★☆ 5