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ミステリ感想-『罪色の環-リジャッジメント-』仁科裕貴

2022年08月04日 | ミステリ感想
~あらすじ~
「首絞めピエロ」に脅迫され連続殺人を自供した音羽奏一は、冤罪を訴え無罪を勝ち取るが、世間の冷たい目にさらされる。
そんな彼が孤島にさらわれ、日当400万円で裁判員裁判を模した疑似裁判ゲームに挑まされる。
ゲームの真の目的は? 審理される事件の真相とは?


~感想~
本格ミステリ的な連続殺人鬼に人生を狂わされた共感覚の主人公が、逆転裁判的にデスゲーム的な審理で解決したはずの事件の真相を暴くという、色んな作品のいいとこどり的な意欲作。
「罪の色が見える」共感覚が使われるのが序盤も序盤だけだったり、特に必要ないキャッキャウフフが描かれたりと粗い面も多々あるが、推理の鋭さと中盤で明らかになる物語の構図の面白さはガチで、欠点を補って余りある。
特に最後の事件の真相は、その後の要素も含めてある有名作品を強烈に思い起こさせはするものの、好アレンジかつ斬新な切り口で、バカミス一歩手前で読者を驚嘆させるのに成功している。
逆転裁判的なデスゲーム的な楽しさに、しっかりした推理と討論が加わった素晴らしいミステリで、もっと話題になってもおかしくなかったのだが、やはりラノベ媒体は不利なのだろうか。


22.8.1
評価:★★★★ 8
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