~あらすじ~
被害者の顔を偏執的に破壊する殺人鬼「顔無し」が跋扈する中、仁奈の友人で大富豪の引きこもりの照は、MMO内で結婚を約束した相手をアカウント殺しのマーダーに殺されたと憤る。
仁奈もMMOに誘われ、データ分析を得意とするルカと知り合い、やがて顔無しの魔の手は仁奈の周囲に及ぶ。
~感想~
角川ホラー文庫から刊行されたのが不思議なほど丁寧に構築された本格ミステリ。
現実の「顔無し」とMMOの「マーダー」の事件が期待通りに交錯し、現実とMMOの両面で捜査が進む。
ちなみにタイトルの「超巨大密室」はネットの広大な世界を指しているがあまり内容と絡まず上手くないのは内緒だ。
しかし「顔無し」の捜査法と「マーダー」対策がMMOならではのもので、そこに現実の顔とネットの顔にまつわる煩悶のほうは上手く絡み、精緻に張られた伏線できっちり真相と犯人を導き出すのは実に達者。
登場人物が少なすぎて役割を当てはめていくとそれぞれの正体は容易にわかってしまうが、媒体はあくまでもホラーであり、そこまで厳密な本格ミステリを求めるのは野暮な話。しかしホラーとして見れば破格の本格ミステリなことは間違いなく、少しも話題にならなかったのが不思議な佳作である。
22.8.15
評価:★★★☆ 7
被害者の顔を偏執的に破壊する殺人鬼「顔無し」が跋扈する中、仁奈の友人で大富豪の引きこもりの照は、MMO内で結婚を約束した相手をアカウント殺しのマーダーに殺されたと憤る。
仁奈もMMOに誘われ、データ分析を得意とするルカと知り合い、やがて顔無しの魔の手は仁奈の周囲に及ぶ。
~感想~
角川ホラー文庫から刊行されたのが不思議なほど丁寧に構築された本格ミステリ。
現実の「顔無し」とMMOの「マーダー」の事件が期待通りに交錯し、現実とMMOの両面で捜査が進む。
ちなみにタイトルの「超巨大密室」はネットの広大な世界を指しているがあまり内容と絡まず上手くないのは内緒だ。
しかし「顔無し」の捜査法と「マーダー」対策がMMOならではのもので、そこに現実の顔とネットの顔にまつわる煩悶のほうは上手く絡み、精緻に張られた伏線できっちり真相と犯人を導き出すのは実に達者。
登場人物が少なすぎて役割を当てはめていくとそれぞれの正体は容易にわかってしまうが、媒体はあくまでもホラーであり、そこまで厳密な本格ミステリを求めるのは野暮な話。しかしホラーとして見れば破格の本格ミステリなことは間違いなく、少しも話題にならなかったのが不思議な佳作である。
22.8.15
評価:★★★☆ 7