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ミステリ感想-『もしもお前が振り向いたら』笹沢左保

2023年01月14日 | ミステリ感想
~あらすじ~
売れない歌手だった女が殺され、荒巻刑事はかつて彼女に告発され懲役8年の憂き目にあった作詞家の沖圭一郎が犯人と睨む。
沖の主張するアリバイは次々と崩されるが、最悪の結末を迎えてしまう。
だが沖に鉄壁のアリバイがあることを告げる証人が現れ…。


~感想~
あらすじではいちおう伏せたが、文庫版解説によるとこうした展開はまだ物珍しかったそうで、革新的な作品だったと思われる。
しかしある証言が駄目なダイイングメッセージのように強引すぎる解釈でしか真相が明るみに出なかったり、その真相もだったらもっと早く着目できただろと思いたくなるそのまんまの代物だったのはがっかり。
また解説はラストシーンに読者は「思わず感動させられるに違いない」と言うが、どちらかというと唐突すぎて呆然である。
犯人の意外性と、終わってみれば一撃でたどり着ける真相の簡明さは買うが、それに至るまでの過程が個人的には少し残念だった。


23.1.14
評価:★★☆ 5
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