~あらすじ~
600万円と目される希少な将棋駒とともに埋められた死体が発見。
かつてプロ棋士を目指した刑事の佐野は、ベテラン刑事の石破と7つだけ作られた将棋駒の行方を追い、現在タイトル戦を争う有望棋士が捜査線上に浮かぶ。
2017年このミス9位、文春2位
~感想~
それにしても柚月裕子は小説が上手い。
ミステリとして意外な展開や裏切りは少なく、地道な捜査活動と容疑を掛けられた棋士の半生を丹念に描き、言ってしまえばただそれだけだが文庫版で上下巻の長編を飽かせず一気に読ませてしまう。
物語に裏切りが無さすぎてこのミス9位、文春2位というミステリ的な高評価はちょっとどうかとは思うが、面白い小説であることは疑いようもないので、興味があればぜひ手に取っていただきたい。
ちなみに文庫版解説は登場キャラのモデルにもなっている羽生善治が務めているが、アマチュアの少年時代に真剣師(賭け将棋師)とトーナメントで戦ったという面白すぎる逸話が紹介されている。
23.2.22
評価:★★★★ 8