小金沢ライブラリー

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SCP-2181~2190

2020年10月11日 | SCP紹介
SCP-2181 - Little Lock-a-Doors
※未翻訳

SCP-2182 - The Big Bang (ビッグ・バン)
青銅の杖。無生物に触れると3時間ほど生命を与える。生命は性的な物事を示唆するような行動をする。鏡に使用したところ異常事態が発生し、実験は恒久的に停止された

SCP-2183 - The Ride Never Ends (ライドは決して終わらない)
アイダホ州にある未完成のジェットコースター。線路は途切れており、カートを発車させると途切れている部分からは空中を走行する。人間を乗せて実験したところ、4年に渡り走行し、停止できなかった。カートの墜落後も被験者は空中に静止したままで、回収は不可能

SCP-2184 - Stone Age (石器時代)
巨大なトロゴンテリーゾウ(絶滅した象の一種)。接近した石器時代以降に造られた物品を崩壊させる。時代が新しいほど遠距離から影響を与える

SCP-2185 - The Aquaform Thaumaturgic Union (水体性召喚獣労働組合)
「水体性魔術型召喚獣」を自称する水ベースの半人生物の集団。召喚者の不当な扱いに抗議して組合を結成し、召喚者の家を水攻めしている。財団は彼等と召喚者の調停を担当中

SCP-2186 - Chameleonscaper (ギャクテンカメレオン)
カメレオン。脅威に曝されたりストレスを感じると、周囲の物体を自身の体色と質感へ変換する。落ち着くと次第に元へ戻るが、緊張状態が持続すると、物体の内部構造もこのカメレオンと同一の物へと変換され、元にも戻らなくなる

SCP-2187 - Juĝo Nova(新たな審判)
20世紀中期に創出された異常な技術。未知の技術により世界中から死の間際の人間を回収し、なんらかの処置を行っていた。数百人を回収したところで建屋内が埋め尽くされ、機器が故障し停止したと思われる

SCP-2188 - Life and Times of Joaquín Pablo Izquierdo de San Felipe (ホアキン・パブロ・イスキエルド・デ・サン・フェリペの人生と時)
ホアキン・パブロ・イスキエルド・デ・サン・フェリペという名のウルグアイ人。彼の人生に重要な出来事が起こると、ネブラスカ州ドットソンでそれに関連した芸術活動が行われる。収容と保護のために財団エージェントが派遣され、彼と奇妙な友情を結んだ

SCP-2189 - Clockwork Fruit
※未翻訳

SCP-2190 - Phone calls from Mom (母さんからの電話)
フィリピンの国内通信システムに現れる異常存在。死亡したあるフィリピン人女性の人格・声質・資産を持つ。彼女の娘の居住地から半径100km以内の携帯電話に通話し、娘夫婦を別れさせるようけしかける。彼女は生前から同様の事をしていたという
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ミステリ感想-『ミステリークロック』貴志祐介

2020年10月09日 | ミステリ感想
~収録作品とあらすじ~
暴力団員の野々垣は若頭を自殺に見せかけて射殺。それを目撃した舎弟も同じように殺そうと考える…ゆるやかな自殺
鏡の国のアリスをモチーフにした展覧会の準備中、美術館の館長が殺される。現場は複数のカメラで完全に監視され、屋根から侵入した榎本が容疑を掛けられる…鏡の国の殺人
推理作家が晩餐会のさなかに服毒死。関係者のアリバイは複数の時計で確認され、不幸な事故かと思われたが榎本は異議を唱え…ミステリークロック
船上で刺されサメに食い殺された男。現場は最新鋭のソナーで監視され、意外な犯人が指摘されるが…コロッサスの鉤爪

2017年このミス4位、文春10位、本ミス4位、本格ミステリ大賞候補

~感想~
防犯ショップ店長兼泥棒?の榎本径と、残念美人弁護士の青砥純子が様々な密室に挑むシリーズの短編集。
3大ランキングでベストテン入りと高評価されたが、ほぼ全編に「シラネーヨ」といにしえのAAを貼りたくなる特殊知識が駆使され、脳内イメージでは到底描けないような重箱の隅をつつい…超絶技巧を尽くした密室ばかりなので、非常に好みの分かれる内容である。

順に感想を書くと、冒頭の「ゆるやかな自殺」は倒叙形式で青砥弁護士も登場せずと、一編だけ毛色が違い、そこまでの特殊知識も求められない。ひらめき勝負なので簡単に真相にたどり着いた読者も多いようだ。

「鏡の国の殺人」はもう柄刀一の短編でも読んでいるように、文字だけでは全然理解できない、それこそ「ドラマでやれ」と言いたくなる複雑怪奇な仕掛けと特殊知識のオンパレードである。個人的には途中で理解を放棄した。

表題作「ミステリークロック」は長編ばりの文量で、作中でも言及される鮎川哲也の大傑作「五つの時計」に挑戦した現代版の風格で、モロバレの犯人がわざわざ太文字で強調する現在時刻をいかに欺きアリバイを作ったかという内容。精緻な構成で読めばちゃんと理解はできるが、やはり特殊知識とイメージで理解できない細かすぎるトリックの山で、それが面白いかと聞かれれば「時刻表をどうこうしたらなんかアリバイができました」系2時間ドラマと大差ない印象。頼むからドラマでやって欲しい。

「コロッサスの鉤爪」も特殊知識が飛び出すが、これはその用途が単純で、異世界ミステリのような特殊設定としての使用法なので、非常にわかりやすく絵も浮かびやすかった。個人的には最も好み。

トリック以外に言及すると、こんなにコメディタッチの作風だったかと戸惑うほど筆が軽快で、ギャグマンガの住人のような奇抜なキャラが何人も登場し、榎本はもう泥棒の本性をほとんど隠さず、青砥純子の残念さはさらに磨きがかかり、残念過ぎる推理を次から次へと放っては榎本にばっさり切り捨てられと、ユーモアミステリとして一流の風格すら漂う。
なにがなんだかわからないような複雑な知識とトリックばかり使っておきながら、大いに支持を受けたのはこの読み物としての面白さにも理由があるのかもと思ったり。
いっそ今度はトリックもギャグに振り切って、バカミスでも書いてくれないだろうか。


20.10.3
評価:★★☆ 5
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ミステリ感想-『時空旅行者の砂時計』方丈貴恵

2020年10月08日 | ミステリ感想
~あらすじ~
加茂伶奈の一族はまるで呪いを掛けられたように次々と命を落とし、最後の一人となった彼女も重病で余命宣告されていた。
夫の冬馬はマイスター・ホラと名乗る声に導かれ、不思議な砂時計の力で58年の時をさかのぼる。
たどり着いたのは伶奈の大伯母たちが命を落とし、呪いの始まりとなった連続殺人事件の起こった屋敷だった。

2019年鮎川哲也賞、本ミス7位

~感想~
タイムスリップし、残された事件の記録をもとに未解決事件を阻止する! という魅力あふれる設定は序盤からあまり活かされない。
なんせ事件自体はすでに始まっているし、異常に理解ある協力者を得られてすんなりと探偵役に収まってからは、古き良きガチ過ぎる、それゆえに地味な本格ミステリに切り替わってしまうのだ。
事件は(物語的には)意外な、しかし(読者的には)あまりに予想通りの展開を見せ、読者への挑戦も挟まれるものの、急速にSF設定が山のように飛び出してからは、その肝心のSF設定もかき消すような、そっちの方がむしろトンデモ設定だろと言いたくなる、超すごいサイコパスが大暴れし、様子がおかしくなる。
期待していたSF的仕掛けもあまりに些細なもので、いろいろな要素を詰め込みすぎたわりに光るものの少ない、ガチ本格としてもSFミステリとしてもどっち付かずの中途半端になってしまった感が強い。
書ける力のある作者だとは思うので次回作以降に期待したい。


20.9.26
評価:★★ 4
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SCP-2171~2180

2020年10月07日 | SCP紹介
SCP-2171 - Autumn Shepherds (秋の羊飼い)
特定の地域の落ち葉に現れる異常現象。落ち葉が移動し人型実体を作り出し、意味不明な発言をする。妨害する者を覆い尽くし落ち葉へ変換させる

SCP-2172 - This Light Never Turns Green (この信号は青にはなりません)
フロリダ州の信号機。赤信号のまま決して変わらず、移動させると周辺の現実を改変する。あるカトリック神父が悪魔に魂を売り渡し、バチカンの確実な勝利と永遠の炎を獲得したとする遺書が発見され、信号機はその永遠の炎と思われる。財団はバチカンの確実な勝利の影響を確かめるため、スワジランドにバチカンへ宣戦布告させ、即座にバチカンが敗北宣言を出す計画を準備している

SCP-2173 - An Interdimensional Mexican Standoff (異世界間膠着状態)
メイン州のある地域。ドーム状で内部は異世界に通じており、地球文明よりも優れた技術力を持つ人型実体が軍事兵器を配備していた。にらみ合いが続いていたが第三勢力の介入により双方に大きな被害がもたらされ、異世界の部隊は撤退した

SCP-2174 - "Miranda" ("ミランダ")
自然発生する殺人現場跡。ステレオタイプな「チョークで描かれた被害者の図」が必ず含まれる。周辺の住民は殺人事件が起こったと信じ込むが、影響は数週間~数ヶ月で失われる

SCP-2175 - Are You Going (行くのですか)
イギリスのバークシャーにあるウィンザー橋で起こる現象。歩道に不規則に文書が現れる。橋を渡る人物がその時に考えている重要な事が文書化されると思われるが、異常な文書もしばしば現れる

SCP-2176 - Ghostlight™ (ゴーストライト™)
「ゴーストライト」の名で販売されていた電球。動力源は霊体で、ものによっては危険

SCP-2177 - Yellow Journal Infection (黄表紙禍公論)
図書館に感染するウィルス。ある機関紙を蔵書に加えるよう依頼する文書が現れ、それを承諾すると黄色い表紙の機関紙が届けられる。徐々に複製されて行き、廃棄しようとすると複製速度が増したり、一冊を細分化したりする

SCP-2178 - Great Sage (大聖者)
ヒマラヤ山脈にある巨岩。麓に生きた女性の頭部が付いている。360日周期で周辺の環境を激しく変化させる

※西遊記をモチーフにしたSCPである

SCP-2179 - False Alarm (お騒がせ警報)
改造された火災警報ベル。イギリスのある小学校の周囲120m以内で起こる災害を事前に察知し、警報を鳴らしながら注意喚起するテープを印字する。大袈裟な内容ばかりで放置されたが、異常な事件が発生し、警戒度が上げられた

SCP-2180 - The Living Cave Painting (生ける洞窟壁画)
オーストリアで発見された洞窟壁画。描かれた生物達は生命を持ち、刻々と変化する。観察の結果、過去ではなく近未来を暗示している可能性が高まった
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2/19のNXT #550  ベルベティーン復帰も

2020年10月06日 | 今週のNXT
・アンディスピューテッド・エラとベルベティーン・ドリーム

ベルトがまた減ってしまったがアダム・コールのNXT王座は守り抜いたエラが話していると、ベルベティーンが声だけで割り込み、ロデリック・ストロングに対戦を要求した。


NXTクルーザー級王座戦
ジョーダン・デヴリン ◯-× リオ・ラッシュ
(サイドスープレックス)防衛成功

クルーザー級らしい目まぐるしく攻守が入れ替わる展開が続く。
最後はリバースフランケンシュタイナーからのロープバウンド・スタナーを返されたラッシュが、勝負を急いだのが運の尽き、ファイナルアワーを自爆し、頭突きで意識を飛ばされ、必殺のサイドスープレックスでとどめを刺された。


・トマソ・チャンパのうっぷん晴らし

オースティン・セオリーが対戦相手を待っていると、関係ないチャンパがリングに上がり、ジョニー・ガルガノに襲われた怒りを語る。
業を煮やしたセオリーが襲いかかるとチャンパは返り討ちにし、うっぷんを晴らした。


ラウル・メンドーサ&ホアキン・ワイルド ×-◯ グリズルド・ヤング・ベテランズ(ザック・ギブソン&ジェームス・ドレイク)
(合体コードブリーカー)

ベテランズはNXTに移籍した模様。交代したメンドーサのスピードに翻弄されるが、ドレイクがツームストンの態勢からギブソンのコードブリーカーの上に落とすツープラトンで勝利した。


ブローザー・ウェイト(ピート・ダン&マット・リドル) ◯-× オニー・ローキャン&ダニー・バーチ
(ビターエンド+ニーストライク)

新タッグ王者が凱旋。タッグ歴の長くなってきたローキャン組と容赦なくしばき合う。
ダンがローキャンのヨーロピアン・アッパーカットを喰らいながらも手をつかんで指折りすると、ビターエンドに担ぎ上げた所にリドルが膝蹴りを浴びせる、ビターエンドが全く意味のない例のツープラトンで勝利した。


キース・リー ◯-× コナ・リーブス
(スーパーノヴァ秒殺)

リーブスはマイクを要求し話そうとしたところをパウンスでぶっ飛ばされる。
そのままゴングが鳴らされ、リーがスーパーノヴァであっという間に圧殺した。

そこへ特番で対戦したドミニク・ダイジャコビッチが現れ、力を認め合う両者は友好的に言葉を交わした。


ケイデン・カーター ×-◯ チェルシー・グリーン
(ロバート・ストーンの妨害→ネックブリーカー)

油断からデビュー戦を落としたチェルシーは因縁のケイデンと再戦。優勢に進めるが、そこへビアンカ・ブレアが割り込み、シャーロット・フレアーに襲われた恨みを語る。
ビアンカは去っていき、気を取られたケイデンをチェルシーは丸め込もうとするが失敗し、スーパーキックを喰らう。
リング下へ逃げ、付き添うロバート・ストーンのアドバイスを受けているとケイデンにリングへ放り込まれるが、ストーンは隙をついてケイデンの足を払い、すかさずチェルシーが引っくり返さずそのまま落とすアンプリティアーのような技で仕留めた。


ベルベティーン・ドリーム ◯-× ロデリック・ストロング
(デスバレーボム)

復帰戦のベルベティーンはまだ試合勘が戻っていないようでとにかく間が合わず、しばしば技も掛け損なう。
エラの乱入を阻止し、ストロングの嫁の顔がでかでかと描かれたタイツを披露し、デスバレーボムで勝ちは拾ったが、エラによってたかって暴行されてしまった。
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今週のキン肉マン #323 知性の真の目的!!

2020年10月05日 | 今週のキン肉マン
・そのモニター本当になんなの?
・知性の神の頭悪そうな顔w
・フェニックスの発言を裏付けてしまうビッグボディ
・大穴空けられ滝まで作られる世界遺産…
・味方側が例のワープホール用意する展開は初めて
・3人ずつに分けたが6人タッグ戦とは限らない
・そのモニターは始祖と戦ってる時にも出まくってたから邪悪神関係ないぞ
・神の力ならザ・マンがモニター出してくれてたの?
・ガンマンがピサの斜塔に客席用意したり始祖はサービスいいもんな
・フェニックス「厳罰で済むなら誓いを破ってもOKだな」
・ランペイジマン、ビッグボディの肩を叩いてくのは気の良い兄ちゃんすぎる
・どの読者よりも知性の神を評価している調和の神
・強力チームは正々堂々戦って負けたから散々な目には遭ってないんだよなあ…
・ビッグボディへの依頼は超人予言書を取ってくるとかいろいろ予想されていたw
・神々が王位争奪編決勝のスグルチームみたいに迷路に誘い込まれるという予想は笑った
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ゲーム感想-『十三機兵防衛圏』

2020年10月03日 | ゲーム
~あらすじ~
突如として現れた怪獣が世界を滅ぼそうとする。
十三人の少年少女は世界の謎を追い、そして機兵に乗り、終焉へと立ち向かう。
ジュヴナイル群像劇本格SFアドベンチャー。


~感想~
20年前「ガンパレード・マーチ」というゲームがあった。
個性豊かな高校生たちが普段は学校生活を送りながらも、突然現れる異界からの侵略者と戦うためロボットに乗るストーリーで、荒削りながらも絶大な魅力あふれる作品だった。据え置き機では人生でベスト3に入るほどの時間を費やしたものだ。
続編が揃って大コケし、コンテンツとしてはほぼ死亡してしまったが、ハマった人間は一生忘れることができないだろう。
そして2019年、令和のガンパレと一部で呼ばれるゲームが「十三機兵防衛圏」である。

初めてトレーラー等を見た時は笑った。高校生・ロボット・世界崩壊・怪獣・猫・幼女と隠す気が全く無いほどアトラス版ガンパレで、特にバトルパートはガンパレを意識していないと絶対に説明が付かないくらいそっくりだった。
いくらヴァニラウェアでも正直これはコケるだろうと予想していたが、意に反して発売後は絶賛の嵐だった。ディスク版は(出荷本数も少なかったようだが)入手困難になり、1年経とうかという現在も中古価格はほとんど下がっていない。
ガンパレファンとして見過ごす手はなく、遅ればせながらクリアしたが、結論から言えば歴史に残りうる傑作だった。
以下ネタバレ無し。


1.概要
本編は3パートに分けられ、ADV風に物語を体験する「追想編」と、最終決戦を行うバトルパートの「崩壊編」、「追想編」で得たキーワードが解説され、物語が時系列順に並べられる「究明編」がある。
3パートはプレイヤーの任意に進められ、いずれもシステムが秀逸。
「追想編」は1プレイ10分ほどの短編で、13人のキャラの物語を体験していく。フローチャートとヒント付きで詰まる場面はほぼ無く、それぞれ先が気になる絶妙のタイミングで切られ、短時間で終わる手軽さと相まって次々と読み進めたくなる。
「崩壊編」は全てのストーリーが語られ終えた後の、最終決戦という設定が実に見事で、紆余曲折を経て13人が勢揃いする、それまでに何があったのかと「追想編」への期待と興味が膨らむ。
「究明編」は「追想編」の進行に応じて情報が追加されていき、また「崩壊編」で獲得したポイントで、好きな項目を開放できる。ポイントがむちゃくちゃ余るのでもっとあってもいいとは思ったが小さな不満である。


2.ストーリー
本作の何が優れているかといえばこのストーリーである。
「追想編」で語られる13人の物語は、場所や立場はもちろんのこと時系列までもがバラバラで、複雑に入り組んでいる。しかもどの順番で読むかはプレイヤーに委ねられており、そこへ有名SF要素全部乗せみたいな、山ほどの設定が絡む。ほとんど全ての台詞が伏線だらけで、いちおう「究明編」で体験した物語はキャラごとに時系列順で整理されるものの、全体を貫く一本のストーリー自体は、プレイヤーが頭の中で組み立てねばならない。
しかし恐るべきことに、SFをさほど知らない自分にも、最後にはすっきりと全容が把握できてしまった。
一言では到底表せないほど複雑な設定・物語を、ある程度は好き勝手な順番で読ませておいて、進行に応じて徐々に点と線がつながっていき、終わってみれば全てを理解させる。いったいどれだけの労力を払えばこんなことが実現できるのか。
しかもこれは小説や映画では実現できない、ゲームならではの手法である。大げさではなく表現手法に新たな地平を切り拓いた作品と言えよう。

また小難しい話はおいといて、単純に「少年少女がロボットに乗り侵略者と戦う」というSFロボットバトル物としても熱いストーリーで、厨ニ心を刺激してやまない。


3.グラフィック
ヴァニラウェアおなじみの美麗な背景とよく動くキャラは期待通りの仕上がり。美味そうな食べ物ももちろんある。
ほとんどを社長兼ディレクターの神谷盛治が一人で描いたそうで、その執念と職人芸には感嘆するしかない。
戦闘パートこそただのマーカーで表示される味気無さだが、そこまで描かせたら製作期間が数年単位で伸びる挙げ句にたぶん神谷が死ぬので望むまい。


4.戦闘
マーカーで表示されるキャラ、射程を表す扇形、見下ろし視点と、もう一見してガンパレの影響を否定できない画面構成で、初めて見た時には吹いた。
簡易RTSのいわゆるタワーディフェンス方式で、たった2分間だけ敵の猛攻をしのげばいいシンプルさだが、ちょうどいい奥深さと爽快感があり、「追想編」と同じく10分程度で終わり、負けてもほぼペナルティは無いため手軽に楽しめる。
各バトルにはミッションが設定され、出撃メンバーを絞られたり、数回の出撃ごとに強制的に休ませる仕様で、攻略のためには全員を満遍なく育てる必要があるが、このくらいの縛りはむしろやり甲斐につながっている。
敵も味方もマーカー表示で攻撃も単純なエフェクトのみなのはシンプルすぎるが、それを逆手に取り、物語設定通りの圧倒的な戦力差を表現することに成功しており、終盤戦ではそれでもなお処理落ちするほどの、画面を埋め尽くす敵の物量作戦に驚かされるだろう。


5.キャラクター
個性的な13人だが、ガンパレのようなアクの強すぎる現実離れしたキャラはおらず、全員地に足が着いている。
13人それぞれが別々の目的のために動き、「●●を買う」ために脱出ゲームめいた謎の展開を見せる者もいるが、最終的には誰一人欠けてもここまで来ることはできなかったという結末に至る。
声優陣の演技も抜群で、一人何役かもあるのだが全く気づかないほどの巧みさ。セリフ一つ一つが短いセンテンスでまとめられ読みやすいのもいいところ。
福山潤と小清水亜美が完全にルルーシュと小清水だったが、まあこちらもそれを期待しているし。あと恥ずかしながら初めて聴いた種﨑敦美がむちゃくちゃ上手くて驚かされた。


6.UI
総じて親切設計である。
ロードはほぼ皆無で、台詞はワンタッチでいつでもバックログが見られ、ボイスも再生可能。
「追想編」ではフローチャートはいつでも見られ、分岐のヒントも出るので攻略サイトのお世話になることはまず無いだろう。次に向かうべき方向には操作キャラがだいたい振り返ってくれるので動線も迷わない。台詞はスキップ可能で、しかもR1を押せば全体の流れを早送りまでしてくれる。
またヴァニラウェアはケーブルにつながなくても、ポーズ画面からいつでも説明書が読めるのも良い。これは全メーカーに見習って欲しい。
エンディングが操作不能でボイススキップもできず延々と流れ、PS4のホーム画面を出している間すら進行し続けるが、最悪スリープさせればいいし、一回きりだから問題あるまい。


とにかくSF、ロボットバトル、群像劇、ガンパレ、いずれかが好きならば迷うこと無く手に取って欲しい、プレイ中は心の中心に、プレイ後もずっと心のどこかに残り続けるだろう傑作だった。
ガンパレもこの方式でリメイクとかして欲しい。

2020.10.2
評価:★★★★★ 10
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2/16のNXT TAKEOVER PORTLAND #549

2020年10月02日 | 今週のNXT
NXT北米王座戦
キース・リー ◯-× ドミニク・ダイジャコビッチ
(スーパーノヴァ)防衛成功

放送事故かと思うほどボーカルの声が聴こえないポピーの特番テーマ曲の生演奏を経て試合開始。
挑戦者のダイジャコビッチの奮闘がとにかく光り、コークスクリュー・ムーンサルト、雪崩式デスバレーボム、リーを椅子に座らせて場外へのスワンダイブ式トペ・コンヒーロ、スパニッシュフライを初披露。
リーもハリケーン・ラナを初披露するなど身軽さとパワーを見せたが、隠し玉をいくつも出したダイジャコビッチには及ばない。試合こそダメージの蓄積でフィースト・ユア・アイズを失敗したダイジャコビッチをスーパーノヴァですかさず叩きつけリーが制したが、内容では譲った形か。
通常放送でも名勝負数え唄の風格だが、特番ではそれをスケールアップしたような名試合だった。


ストリートファイト
ティーガン・ノックス ×-◯ ダコタ・カイ
(ラクエル・ゴンザレスのテーブル直下チョークスラム)

ティーガンの入場中にダコタが襲いかかり、場外乱闘で幕開け。
ティーガンがフェンスを突き破りながらスピアーを浴びせれば、ダコタはその倒れたフェンスにDDTで叩きつける。
以降もゴミ箱やパイプ椅子を凶器に使いハードコア戦を展開。ゴミ箱の蓋で思いっきり頭を殴っていたがたぶん禁止事項。
終盤まさかのモーリー・ゴーラウンドを炸裂させたティーガンが優位に立ち、チェーンでダコタの古傷の右脚を殴りつけ、必殺のシャイニングウィザードも喰らわせる。そのままカバーすれば3カウントが入ったろうが、ティーガンは満足せずリングにテーブルを設置し、その上に寝かせたダコタの首を椅子で挟む。残虐行為が起こる寸前、レイナ改めラクエル・ゴンザレスが乱入し、ティーガンをチョークスラムでテーブルへ叩き落としてしまった。
ラクエルは戸惑うダコタの腕を掲げて勝利を讃えた。


ジョニー・ガルガノ ×-◯ フィン・ベイラー
(クー・デ・グラ→1916)

ガルガノが腕攻めを狙えばフィンは足攻めを返し、相手にペースを握らせない攻防が延々と続く。
大抵の持ち技を出し尽くした終盤、場外乱闘からフィンが実況席の上に立つガルガノをジョン・ウーで吹き飛ばすことに成功。
リングに上げてクー・デ・グラを突き刺し、とどめに高角度の1916を浴びせ激戦を制した。


NXT女子王座戦
リア・リプリー ◯-× ビアンカ・ブレア
(リップタイド)防衛成功

パワー自慢の両者はロックアップでも互角の様相。ビアンカが体格で勝るリアを軽々と担げば、リアはそれをパワーでねじ伏せる。
女子離れしたパワーと身体能力を持つ二人は豪快な技を仕掛け合い、終盤にビアンカはノータッチのトペ・コンヒーロで客席を沸かせた。
最後はビアンカのスーパープレックスを頭突きで崩したリアが、雪崩式のサンセットフリップを狙うがビアンカはロープをつかんでこらえる。しかし力ずくで引き剥がすと高角度のリップタイドで叩きつけ、リアがベルトを守った。

その後、勝ち誇るリアをシャーロット・フレアーが襲撃し、ロイヤルランブルで獲得した王座挑戦権を使うと宣言。ついでにビアンカを一蹴し去っていった。


NXTタッグ王座戦
アンディスピューテッド・エラ(カイル・オライリー&ボビー・フィッシュ) ×-◯ ブローザー・ウェイト(ピート・ダン&マット・リドル)
(GTS+延髄斬り)王座奪取

ダンが孤立させられるが、交代にこぎ着けると体力満タンのリドルが手が付けられない暴れっぷりを見せる。危うく1対2で負けかけたエラは連携で対抗するが、ブローザー・ウェイトもローデス杯で培ってきた連携を見せる。
互いに必殺技級のツープラトンを連発し合うが3カウントには至らずも、最後は立て続けにツープラトンを浴びせてリドルがフィッシュをフォールし、ブローザー・ウェイトがローデス杯に続きタッグ王座も射止めた。


NXT王座戦
アダム・コール ◯-× トマソ・チャンパ
(ジョニー・ガルガノがベルトで殴打)防衛成功

タッグ王座も失い追い込まれたアンディスピューテッド・エラを率いるコールは気勢を削がれたか、一方的にチャンパに攻められ続ける。ゲームならもうコールのHP残ってない。
チャンパはハイタッチを求める観客のハゲ頭にキスする余裕を見せるが、ぶっこ抜きジャーマンで実況席へ古傷の残る首を叩きつけられ形勢逆転…かと思いきや、一進一退の攻防が続く。雪崩式シュバイン、実況席へのパワーボム、プロジェクト・チャンパと、大技を受け続けるコールのHPがチャンパの倍はないと計算が合わない。
その後もスパイクDDT、エンジェルウィングス、クロスフェイスを喰らうも返し続け、チームの危機にエラの三人がようやく駆けつけるが、チャンパはハイ・ローとラストショットをキックアウトし、三人を排除。
しかしレフェリーが倒れた隙に現れたジョニー・ガルガノが、何度目かの裏切りでチャンパを殴りつけ、コールが辛くもベルトを守り切った。
ガルガノとチャンパの抗争またやるのか…。またチャンパが怪我するぞ。
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10月の新刊情報

2020年10月01日 | ミステリ界隈
9月17日 光文社
大山誠一郎 ワトソン力


1日 新潮文庫
阿部和重・伊坂幸太郎 キャプテンサンダーボルト ※新装版
京極夏彦 ヒトごろし 上・下

7日 幻冬舎文庫
歌野晶午 明日なき暴走 ※ディレクターズ・カット改題
貫井徳郎 宿命と真実の炎
東川篤哉 探偵少女アリサの事件簿 今回は泣かずにやってます

8日 講談社ノベルス
森博嗣 馬鹿と嘘の弓

8日 光文社文庫
鮎川哲也 りら荘事件 ※増補版
鳥飼否宇 隠蔽人類
東野圭吾 回廊亭殺人事件 ※新装版

9日 東京創元社
千田理緒 五色の殺人者 ※鮎川哲也賞

9日 徳間文庫
中町信 悲痛の殺意 ※奥只見温泉郷殺人事件 改題

14日 講談社
市川憂人 揺籠のアディポクル

15日 講談社タイガ
森川智喜 死者と言葉を交わすなかれ

15日 講談社文庫
三津田信三 忌物堂鬼談

15日 祥伝社
澤村伊智 アウターQ 弱小Webマガジン

15日 祥伝社文庫
近藤史恵 Shelter ※復刊

17日 角川書店
東川篤哉 谷根千ミステリ散歩 中途半端な逆さま問題

23日 角川文庫
アンソロジー(白井智之 他) 平成ストライク

29日 新潮社
吉田修一 湖の女たち
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