東方のあけぼの

政治、経済、外交、社会現象に付いての観察

あたいはマール

2015-01-18 20:53:42 | 私はシャルリ
「先生、資料は読み込みましたが、お題の『70年前日本でなぜ、私はシャルリ』デモが起こらなかったには結びつかないのですが」

「それはだね、サンダル君、起こせなかったということもある。終戦の詔勅一本であれだけ激しい戦闘を一糸乱れず整然と止めた国柄でもある」

「本当にこんな国はほかにありませんからね」

「アメリカの恐怖の占領統治によることも大きい。アメリカの占領下では言論の自由、集会の自由はありえなかったこともある」

「敗戦というのは日本にとっては初体験でしょう。外国の軍隊に占領されるなんていうのは有史以来初めてですよね。初体験で茫然自失していたんでしょうね」

「それもある。しかし、終戦直後の動乱期には色々な動き、胎動はあったらしいが、冷戦が始まったことで状況が一変した」

「どういうことですか」

「アメリカの当初の占領政策は民間人への無差別爆撃と原子爆弾投下で日本人を絶滅して、すでに崩壊していた日本経済を完全に破壊することだったのは明瞭だが、冷戦が始まり、朝鮮戦争が始まると日本を味方に引き入れて利用するように占領政策が変わったのさ。

日本人もいやいや協力するふりをしながら、これが結構いい商売だと気が付いた訳だ。それが習い性になったわけだな」

「なーるほど」

「つまり日本人は『家畜病』という慢性病を治療する機会を失ってしまったのだ」

「わかりました」

「それともう一つあるな。マール病というのだ」

「なんですかそれは」

「レイモンド・チャンドラーの小説、高い窓、にマール・デイヴィスという若いようなババむさいような女性が出てくる。これが雇い主の鬼婆にマインド・コントロールされている。ありもしない罪をマールに刷り込んで贖罪と称して利用するわけだ」

「なんだか、日米の現状にピッタンコなはなしですね」

「そう、それに悪のりする中韓という端役を付け足せばとんだ幕間狂言が出来あがる」

「それで私がその田舎芝居の劇評を書く訳ですか」

「サンダル君、がんばりたまえ」