歴史を通じて軍隊の撤退あるいは撤収作戦は一番難しいと言われる。だからどれだけ損害を少なくして作戦を実施したかが評価の目安となる。第二次大戦におけるアラスカ州のキスカ島からの日本軍の無傷の撤収は、だから奇跡と言われて語り継がれている。
今回のアフガニスタンからのアメリカ軍の撤収はあらゆる観点から見て最低の部類にはいるだろう。バイデンによる政治的思惑主導のせいなのか。実施する軍隊の無能力(実行能力あるいは政治を補佐助言する機能)だったのか、今後明らかにしなければならない、アメリカ自身の手によって。
相手が幼児的な軍隊ならともかく。撤収時期をピンポイントで明言するなど最低だろう。しかも情勢の変化にもかかわらずそれに固執するなどもってのほかである。もっとも成功していれば政治的効果(芝居的効果と言うべきだろうが)は大きい。バイデンはそれしか頭に無かったらしい。また、同盟国への適切な事前の連絡調整がまったくなされていないようだが、友達作戦をしている相手には、これは犯罪的である。これでは今後共同の軍事行動はとれなくなる。