鳩山新内閣は、おおむね好評のようである。これまでの内閣がいかにも頼りなかったから、その分引きたって見えるのかもしれない。官僚に対してはそれなりに頑張っているかもしれない。それも、総論の段階であり各論に入り、専門性が高くなるとかなりきつくなるものと思われる。これからが見ものである。
そうしたぎくしゃくした中で、どうしても気になるのが我が侭で傍若無人な亀井静香の存在である。どう見ても、思いつきのレベルを脱していない発言が少なくない。今回の借金の返済猶予(モラトリアム)は、銀行側に混乱を起こすことになる。即座に全銀協の永易会長が異論を唱えている。さらに、閣内で十分検討された様子もない。
藤井財務大臣や平野官房長官から苦言が出ると、私の仕事の範囲だと民主党が縦割りを嫌って行っている作業が、理解できていないことがばれたりする。郵政事業についても、原田大臣と調整がとれていないようである。行き詰ると、連立協議会を経るような話をする。これでは、指揮系統がぼやけてしまうばかりである。以前から、自己主張と調整が不得意な人物である。
モラトリアムの執行は極めて異例なことである。昭和の初期に僅か3ヶ月ほどやったようであるが、亀井金融担当大臣は2、3年を考えているようである。東京銀行の破たんが、担保を曖昧にして貸し出しをやったおかげで破綻(多分)することになった。借りる方は、モラトリアムの対象になるべく手練手管を用いる。亀井の善意は必ず裏切られることになる。モラトリアムの導入は混乱が生じる。鳩山首相が賢明なら、導入慎重になると思われる。
国家戦略局はまだ機能していない。機能はしていないが、すでに動き出してはいる。国家戦略局は省益を優先させない横断的に予算の骨格を作ることであると位置づけられている。それでは財務省の存在はどのようになるのであろうか。管大臣が言うように、100人もの政治家を集められるのであろうか。従前の事務次官会議に匹敵するものが作れるとは思われない。
前原国交省大臣や岡田外務大臣が、何とか成果を上げたり新内閣の動きと主張を崩さずにやっているが。鳩山内閣にとってのネックは、亀井静香の存在と国家戦略局の在り方にあると思われる。亀井静香が、「やーめた。やってらんないよ」いつ言い出すか見ものではある。
民主党にとっての救いは、こんな暗中模索の状態でも、攻める側の自民党が野党としても存在価値を失いつつあり、すっかり活力がなくなってしまっていることである。自民党総裁選挙で最も注目されるのは、投票率である。30%程度なら20年は復活しないのではないか。多少のもたつきがあっても、しばらくは民主党政権が続くことになるだろう。