中間選挙を迎えて、アメリカのオバマ大統領が何もかもが手詰まり状態となっている。一年前にノーベル平和賞を受賞したがその主な理由は核廃絶を訴えたた めである。ところが先週アメリカはしっかりと核実験をやっている。
何よりも、移民法に関する態度を決めかねている。自らが大きな支持を受けている、ヒスパニック系のアメリカ社会から締め出す法律である。違法入国者の取り締まりの狭間で、態度の表明が中途半端である。中間選挙で民主党が負けるようだと、オバマは一期で終わることになる。どうもその公算が大きいようである。
イランのアフマリネジャド大統領がレバノンを訪問した。イスラエルに対する支持は表明するものの、決定的な支持もなければヒズボラに対してもパレスチナに対しても中途半端な一般論に終始している。クリントンに丸投げである。イランもそれを見透かすような、大統領のレバノン訪問である。イランの核開発にも、一矢も与えることがない。
何よりも、アフガニスタンの撤退の時期は決めてはいるが、政治的な成果をあげているわけではない。タリバンのはほとんど一方的な攻撃にさらされたままである。とりわけEU軍の被害は拡大する一方である。撤退時期が決まっている以上、タリバンも時間稼ぎをすればいいのである。軍事作戦に撤退時期の明確化は作戦としてあり得ないことである。
イラクのアメリカ兵の撤退は国民に歓迎されているが、テロが減っているわけではなく皮肉なことである。イラクの政治的な安定は程遠い。単にアメリカが嫌われているだけのことである。これらはブッシュの負の遺産とも言えなくはないが、オバマの成果がどこかにあるわけでもない。
就任初期には総論だけで充分であったが、成果を求められる時期になっても理念だけでは大統領の資質が問われることになる。オバマは現在そうした現実に直面している。黒人初の大統領はあと2年で終わることになるようである。