ハノイで行われた日中外相会議で、日本側は菅首相と恩首相の会談の下準備を行った。前原外相は、レアーアースの輸出制限などしていないとする言質を引き出し、東シナ海での油田開発など話し合いの内容まで取りきめ、これを発表した。中国は突如として、前原が約束以外の内容を発表したとして一方的に、日中首相会談の拒否を発表した。最も効果的な、直前拒否である。
韓国の李大統領の計らいで、ハノイで日中韓首脳会議を行ったが、その後会談の予定とされた日中首相会談は実現しなかった。中国は、中国に強硬な前原を嫌って最も効果的な時期を狙って、会談拒否を行った。
これには、日米外相会談前原とクリントンの会談にその下地がある。前原は持論から、クリントンに尖閣列島が侵略されると日米安保条約の5条を適用して、日本の侵略者を排除すると発表させた。前原としては、大きな戦果を得たと思ったに違いないが、中国側はこれに反発した。前原、楊日中外相会談での話し合い直後でもあり、中国は前原に打撃を与えたかったのではないかと思われる。
前原は、中国がノーべル平和賞問題や、レアアースの輸出制限で中国は外交的に多くの敵を造り出している。ここが攻めどきと見たのであろう。日米関係を背景に中国へ圧力となると勘違いしたのではないか。
外交経験者がほとんどいない民主党の外交戦略は、自説ばかりを主張する結果になっている。これでは、世界各国の曲者と渡り合うことが出来ない。民主党内の最も中国通あるいは、党の枠を外しても最も中国に通じて居るのが、小沢一郎である。前原を嫌う、あるいは前原に嫌われた小沢一郎は、もうかれこれ20年以上にわたって中国と人脈を築いてきている。
ひょっとすると中国は小沢を引き出したいのかもしれない。菅も前原も今更小沢一郎にお願いするわけにもいかないだろう。当分民主党の中国外交は進展をすることがないだろう。
左のフォトアルバムに<晩秋の風連湖>をアップしました。