安倍政権発足早々にミャンマーに麻生副総理を派遣した。次に岸田外務大臣を、フィリッピン、シンガポール、ブルネイ、オーストラリア訪問している。更に、安倍首相はベトナム、インドネシア、タイの訪問を計画している。
これは民主党政権で就任早々に鳩山が打ち出した、均等外交の延長となる東アジア構想に類似するが、実態は全く異なるものである。
安倍の思惑は、中国の封じ込めあるいは対抗するためのものである。ベトナムフィリッピンとは、領土問題の共有を通じて中国と対抗するためである。
早々と岸田外相は、フィリッピンと相互の海上安全保障連携強化の一致を表明している。
安倍政権がロシアと領土問題を話し合うポーズを見せるのは、ロシアが天然ガスの売り場所を失くしたからである。EUは突如として、天然ガスの価格を半額近くまで値切ってきた。困ったロシアは、北極海ルートの開発などをして、地理的に身近な日本を、何かと問題を起こす中国より売り込み易いと見たからであろう。プ
ーチンは領土問題を、馬の前にぶら下げた人参のように疑似餌にしているのである。
プーチンは中国に、中東やアフリカで出し抜かれている。日本の中国封じ込めを間接的に支援する。
ミャンマーへは軍事政権に対して、西側諸国が経済封鎖する最中に、中国が進出してきたのであるが、これに対抗するための、民主化を褒めちぎったアメリカの後追いとなる形での進出である。
こうした一時の勢いを失くしたアメリカ従属外交と、あらゆる意味で躍進著しい中国の封じ込め外交は、いずれ軋轢が生じることになる。その一つの象徴が、朝鮮半島との関係である。
安倍政権の経済対策と外交は、良くも悪くも民主党政権とは際立っている。こうしたことを背景に、安倍政権は一定の時間国民の支持を受けることになるであろう。
しかしながら、安倍政権の外交は対米従属に他ならないが、オバマはどうやら安倍を嫌ったようである。1月の訪米は流れた。2期目のオバマは、ブッシュの残した中東の軍隊の縛りから解放され、脱新自由主義、脱ネオコン路線にシフトすると言われている。安倍はレーガンとブッシュの影を追い、オバマに袖にされるかもしれない。安倍外交は大きなリスクを背負いながら船出した。